迷い込んだ勇者達

〜ボンゴを去勢するまでの経緯〜

7月4日

これがきっかけだったのかどうかはわかりませんが・・・この日のことからお話ししましょう。


コンガが去勢をして、1週間がたった。


いたって元気なコンガだったが、すぐ、走ったり、飛び跳ねたりしたのがいけなかったのか、

少し、切ったあたりがイチジクの様にぷっくりふくれてきてしまっていた。

以前、診察の時、多少水が溜まってブヨブヨしてくるが、徐々に治まるからとは聞いてたんだけど、

あまりにもぷっくりしてきたので、心配になって、病院で診てもらった。


やっぱり水だったんだけど、思ったより一カ所に集中して溜まってしまったらしい。

暴れたせいで傷が悪化したとかだったら、もっとひどくなるので、4〜5日様子見てとのこと。


今までほんと心配しなさすぎだった私達は、少々反省し、

しっかり腫れがひくまでは大事にしてやらなくちゃと、急にコンガを気づかう様になった。

7月5日

昨日コンガをかわいがりすぎたからか、ちょっとボンゴの様子が、おかしくなった。

コンガがトイレシートにオシッコをすると、それをなめに行ったり、オ○ンチンをなめに行ったり。

そのあと、コンガの後をつけ回し、ひっくり返そうとしたり、マウンティングしようとしたりする。

関係ないかもしれないが、朝も突然ゲロゲロした。何か精神的にストレスがかかったのかな?


でも、まあ、小さな嫉妬なんだろうと、そのボンゴのサインを、さほど気にすることもなく、

相変わらずコンガばかり気にかけていた。

7月6日

ボンゴがますますおかしくなってきた。本格的にマウンティングをする様になる。

しかも、かなりしつこい。激しい。

あまりのすごさに、コンガが怯えてバリケンに逃げ込むほど。

こちらも必死になって止める。

でも静かな時もあって、散歩もまだなんとか一緒に歩けるが、まあ、あまり雰囲気はよくない。

嫉妬にしてはキツイなぁ・・・・。おかしいなぁ・・・・

少し不安な気持ちが膨らみ始めた。

7月7日

しつけ教室でさりげなくこの状況を話してみたが、へえ〜そんなことになってるの?って感じ。

あんまり、そういう事例はないのかなぁ。


家に帰ってからも、似たような話や参考になる話などないかどうか、ネットで検索してみた。

しかし、こういうケースはあんまりみつからない。やっぱり、めずらしい事なのかなぁ?

もちろん今までだって、ボンゴがコンガにマウンティングすることはあった。

でも、今のしつこさは、ちょっと異常なんだ。


ボンゴの友達に去勢した男の子なんだけど、やたら他の男の子に追いかけ回される子がいる。

まるで、ヒート中の女の子の様に。

ボンゴもその子に会うと夢中になってしまうのだが、その時と同じとは言わないけど、

ちょっと、近いものがある。


なんとなく、いやな予感がしてきた。

7月8日

残念な事に、その予感が的中してしまう。

ますます表情もおかしくなり、一日中追い回すようになる。

名前を呼んでも聞こえてない。必死で止めるが聞かない。血走った目で延々とコンガを追いかける。

もうその状況は、今までのお遊びプロレスではなかった。

あんなに楽しく仲良く暮らしていた日々がウソの様。


どうしたらいいかわからなくなり、何か一つでもアドバイスが欲しくて、

しつけ教室の先生と病院の先生に、状況をメールで報告した。

そして、対処法がないか、ネットであちこちのサイトを検索しまくった。

今から思えば、この日あたりが最高に凹んでいたかも。

7月9日

病院の先生が、お昼に電話して来て下さった。

去勢して、男としての勢力がなくなったコンガに、一生懸命権勢しているのだろう。

むやみに止めさせたり、コンガをかばうような態度は取らないようにして、様子見てとの事。


いやぁ・・・そんな権勢行為だけじゃなさそうなんやけど・・・と思いながら、仕事から帰り、

試しに好きなようにさせてみたら、その時は意外とすぐおさまった。

そうか、止めるのがいけなかったんかなぁ?

夜、病院に相談に行った時も、比較的おだやかだった2頭。

きっと、気が済むまでやらせたら、そのうち治まるのかな。ちょっと様子、見てみるかな・・・

7月10日

昨日より、さらにひどくなる。

放っておいても、止める気配は全くなく、ひたすら追いかけまくる。

その様子はどことなく、悲壮感がただよっていて、見ていてこっちまで辛くなるほど。


止めてはいけないと頭では分かっていても、ついつい止めてしまう。

やっぱり、おかしい。ただの勢力争いではない・・・


考えられないことだけど、去勢したことで、コンガの体内のホルモンバランスが変わり、

女の子のような臭いかなんか・・・それに近いものをボンゴが本能で感じ取ってるとしか思えない。

そんな、バカな話、あるわけない〜〜〜と、思われるかもしれないけど、

そう思っちゃうほどの状況なのだ。


本当の女の子に対しての事なら、その期間がすぎれば必ず治まるのだろうけど、

この場合、もしかしたら、ずっとこのままなのかもしれない。

だとしたら、こんな精神的ストレスを、ボンゴはこれから毎日抱えて過ごして行くのかと思うと、

めちゃくちゃ心配になってきた。

7月11日

このところ、暑いのと仕事が忙しいのとで、ゆっくり遊んでやっていなかった。

コンガも完治したことだし、家族で先月楽しく遊んだ、生野の川へ出かけた。

思いっきり水遊でもして発散したら、少しは気持ちも落ち着くだろうと思ったんやけど・・・


あまかった。


やはり、コンガしか眼中にない。

泳ぐコンガの上にまで乗っかろうとしたもんだから、あやうく溺れるとこだったコンガ。


こりゃ、もう・・・だめだ。なんとかしなくちゃ・・・


帰りの車の中、コン父といろいろ話し合い、考えに考えて・・・・

すぐに、ボンゴを去勢することにした。


実は、ボンゴの去勢については、少し前から決心していた。

仕方なくとはいえ、コンガを去勢したことで、手術を少し前向きに考えるようになり、

もう繁殖もしないし、病気の不安を少しでも取り除いて、穏やかに長生きして欲しいと思っていた。

ただ、まぁそのうち、秋ぐらいにでもと、のんびり考えてたんだけど。。。。


本能の部分は、私達人間には、計り知れない。

今の状況も、去勢したからといって、変わるかどうかもわからない。

でももし、今苦労してこの状況を乗り切っても、後に去勢した時に、また何か起こるかもしれない。

たとえば、コンガがボンゴに勢力争いを挑むとか・・・

今の状況も、コンガの態度も、変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。

なんの解決にもならないかもしれないけど、もう、する決心がついてるなら・・・

今、去勢して、ちゃんと条件を整えて、その上で彼らに答えを出させてやりたい。


こんな思いをするのは一度で十分。

このままの状況が続くか、はたまた決着がついてもコンガが上になるか。

私達も、今までと暮らし方や考え方を、大きく変えなきゃならない事になるかもしれない。

それでもいい。

どんな答えになっても、しっかり受け止めてやりたい。家族なんだから。

ずっと後ろ向きなことばっかり考えていたけど、とにかく、前を見なくては。

そう、決心した。

7月12日

昨日の夜から、2つのバリケンをリビングに並べた。時間交代で出し、散歩も別々に行く。


不思議とコンガがバリケンに入っていると、扉が開いていても何にも言わない。

コンガをフリーにしたり、散歩に連れて行こうとすると、切ない声で泣き叫ぶボンゴだが、

自分がフリーになると、コンガのバリケンには目もくれず、必死で私にまとわりついたり、

さっき、コンガがウロウロしていた廊下やソファを必死にチェックしたりした後、

悠々とヘソ天でうたた寝するのだ。

そんなとこを見ると、やっぱり、ほんとうに女の子を感じてるのではなくて、

ただ征服欲がエキサイトしすぎて、女の子を追うほどの興奮状態になってるだけなんかなと思う。


ボンゴの去勢が木曜日に決まった。

これで少しでも興奮の量が減って、ボンゴの気持ちが楽になることを、ただただ、祈るだけ。

7月13日

今日も相変わらずの光景。

散歩も別々に行くと、ボディケアの時間も含めて、最低朝2時間、夕方2時間かかる。

仕事も忙しいし、かなりバテ気味の私。泣き言を言いたい度も100%を超えそう(苦笑)


みんなも思うだろう。

あんなに今まで仲良く暮らしてたのに、なぜ?と。

私も不思議でしかたがないんだけど・・・・


思うに今まで、ボンゴもいろいろ我慢してたのかもしれない。

コンガの生意気な態度、私達の曖昧な優先の仕方。

そんな中、彼は一生懸命我慢し、譲れる所は譲り、平和を保ってくれていたのだろう。

でも、それは優しいあの子の「気持ち」であったわけで・・・

「生理的」に優位に立ってしまった今、心とは別に、本能の部分での支配欲が爆発してるんだろう。


あんなにやさしい子だったのに・・・・

いや、やさしい子だからこそ、噛んだり、唸ったりという攻撃に出なかったのかも。

そう思うと、ますますボンゴがかわいそうで、愛おしくて、仕方がない。

ま、全部推測にすぎないけど・・・


ほんま、ワンって不思議だ。

人間って、ワン達の心の中を、真意を、いったいどれだけわかっているのだろう。

私なんか、きっと半分も理解してないんだろうな。

自分勝手な想像と理想をいっぱい押しつけて、本当はどうなのか、どうしたいのか、

ちっとも理解していないんだろうな。


それでも。


これからも彼らと共に暮らして行きたい。

うれしいことも、悲しいことも、楽しいことも、つらいことも、全部ひっくるめて・・・

犬と共に、ずっと暮らしていきたいと思っている。

7月14日

いよいよ、明日ボンゴの去勢手術だ。

なんかコンガの時よりドキドキする。なんでだろう。


手術終わって落ち着いたら、キャンプに行こう。おっとその前に楽園だったね。

ディスクだって長いこと練習してないね。

そういやコンガ、庭のベビープール大会、まだ知らないよねえ。

一緒に遊べるように、もう少し大きいの買わなくちゃね〜


そう、これからも楽しいことがいっぱい、いっぱいいっぱい、待ってるんだ。

だから、ボンゴ、頑張れ!!


もう一度・・・・・みんなで一緒に肩を並べて、散歩しよう!


試練の塔