Rosalia




Rosalia Lombardo
(Nata 1918_Morta 1920)

(ロザリア・ロンバルド)

 シチリア島パレルモ市のカプチン修道会の地下墓所(CATACOMBE)は、世界に名高い
「ミイラの森」である。約8000体のミイラが眠っているが、ミイラとして防腐処理され華やかな
衣装まで身にまとうことができたのは軍人、医師、弁護士といった身分の高い人々であった。
ほとんどのミイラが白骨化しているなか、一際異彩を放つ少女が眠っていた。少女「ロザリア」
は1920年に2歳でこの世を去った。100年近くの歳月が経つというのに彼女はずっと腐敗せず、
まるで眠っているようだった。軍人であった彼女の父は医者に特別な防腐処理をほどこさせ
た。医者は終にその処置方法を後世に伝えることなくこの世を去った。その方法については
記録がなく未だ謎のままである。これが彼女が世界で最も美しいミイラといわれる所以なの
である。

 私は一輪の花を彼女に供え、この地を後にした。彼女は私が骨になり、土に返った後でも
永遠に美しい姿で生き続けるであろう。