Water Boys

最終更新日:2002.11.13 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

2001年矢口史靖監督作品 東宝配給 1時間31分

主演: 妻夫木聡 & 平山綾

真夏のプールに弾ける男のシンクロ!「ウォーターボーイズ」

廃部寸前の唯野(ただの)高校水泳部。部員はやる気もなくズルズルと続けてしまった3年の鈴木(妻夫木聡)だけ。ところが、そんな水泳部の顧問に、ピチピチの新人女教師・佐久間恵先生(眞鍋かをり)が就任したことから部員は一挙に28人に膨れあがった。そう、空手部に陸上部、3年で引退して暇をもてあました有象無象の集まり。しかし、佐久間先生が本当に教えたかったのは、競泳ではなく、なんとシンクロナイズドスイミングだった。

佐久間先生の熱い思いを知った途端、生徒達は恐れを出して逃げ出したが、鈴木を含む間の悪いへなちょこ5人が逃げるタイミングを逃したまま言いくるめられて渋々シンクロをすることに。その上、佐久間先生は勝手に文化祭でのシンクロ発表会まで申請してしまった。もう、後には引けない5人、部長の鈴木、ちゃらんぽらんな元バスケ部員・佐藤(玉木宏)、ガリガリのダンス少年・太田(三浦哲郁)、カナヅチでガリ勉の金沢(近藤公園)、そして、ちょっと女っぽい早乙女(金子貴俊)。

ところが、練習初日、水着に着替えて颯爽とプールサイドを歩いてきた佐久間先生。「なんかこう、胸が…ムカムカするわ」と隅に行って吐き始める。なんと妊娠8ヶ月。すぐに産休に入ってしまうことに…

これ幸いにと5人は生徒会であっさりシンクロ発表会を取り下げ、プールは例年通りバスケ部が釣り堀として使用することになる。目的を失った5人、「ムリムリ。スケベ心丸見えのあんな奴らにできるわけねえよな!」と陰口を叩かれ「やっぱりシンクロやろう!」とプールに走ったら…、なんとすでに魚が放流されていたのだ。「お前らみたいな中途半端な奴らに何ができるってんだよぉ。この魚、全部捕まえたらプール使わせてやるよ」というバスケ部員の挑発的な言葉にプールに飛び込み、網を振り回す5人だったが、全く魚を捕らえることはできない。

なんとかしなければ…。夜、プールに忍び込んだ5人はプールの水を抜き、干上がったプールでパタパタしている魚を捕まえることに。ところが、佐藤らが魚を投げ合って遊び始める!「ふざけてる暇があったら、さっさとやっちめばすぐ終わるのに!」と怒る金沢。と、そこに警備員がやってくる。慌てて逃げ出す5人。

翌日、プールに水はなく、多量の魚の死体が散乱していた。「貴様ら何やってんだ。父兄に連絡するしかないな!」体育教師の杉田先生(杉本哲太)が怒る。「魚は文化祭のシンクロで入場料取って弁償します!」と唐突に言い出す鈴木。それに杉田先生と怪しげな魚屋のおっさん(竹中直人)が条件をつける。「ホントにシンクロなんかできるのか?だったら見せて見ろ」。それになんと、佐藤が調子に乗って「1週間後」と言ってしまう。さて、猛練習するしかない。

ところがプールに水はない。とりあえず前売り券で水代稼ぎを始めた5人だが、誰も取り合ってくれない。和菓子屋の主人に「あそこなら」と紹介されたのがおかまバー。「卒業したら、誰か1人うちに入るって約束できる?」とママに脅され…ようやく買って貰う。「ところでシンクロの練習って何すりゃ良いんだ?」。本を参考に「ベント、バレーレッグ、フラミンゴ」とやってみるのだが、水の中では全く自由の利かない5人。そして、アッという間の1週間。カナヅチの金沢はシュノーケルをつけて参加。佐藤のボロカセットが火を噴き、佐藤の自慢のアフロヘアが火事に。その上、海パンの紐が切れた早乙女が演技の中につっこんでいく。「何やってんだぁ!!お前らプール使用禁止だ!」とどなる杉田先生。「じゃあ、弁償ってことで」と立ち去る魚屋。そして、様子を見に来ていたバスケ部員が空き缶を投げ込む。

ついに夏休みがやってきた。といっても3年生の5人には受験勉強しかない。予備校に夏期講習を受けに行った鈴木。お金を入れても出てこない自動販売機にがっくり来ていると、「オリャー」と女の子が跳び蹴り一閃「こつがあるのよ」。出てきたコーラを嬉しそうに降って泡だらけになった鈴木に、彼女は自分が飲んでた「きりり」を差し出す。『これって間接キッス?彼女が名乗って、ずっと好きだったんです。付き合ってくださいだって』と妄想する鈴木君。彼女は木内静子(平山綾)、空手をやっている近くの桜木女子高の3年生。「熱々だね」と絡んできた奴らを追い返したのも静子の方だった。

良い雰囲気で商店街を歩く二人の後を、あやしげなおじさんがついてくる。なんと、おかまバーのママ。シンクロの話が出て、静子から「見に行っても良い?」と聞かれ、「決まってないし、やらないかも」とウジウジした態度の鈴木に静子は立腹!それでも、2人は一緒にデート。行った先が水族館。プールを埋めた魚のことを思って躊躇う鈴木を、「ウジウジウジウジ、はっきりしなさいよ!」と静子がどやしつける。それで2人でイルカショーを見に入ると、あの魚屋のおっさんがイルカの調教師をしている。ショーが終わって「イルカって格好良いね」と鈴木に声をかける静子だが、そこに鈴木はいない!(^_^)/0キーック

その頃、鈴木は調教師・磯村を訪ねていた。「教えてください。どうやったらあんなショーができるのか?」。磯村の言うことは何でも聞くという約束で、三度5人が集結した。「シンクロやるぞ。当日はゲリラで!」。ところが磯村の指示は水族館のガラス磨き。え?その上、小さい子供に魚の名前を聞かれて答えられず「バカバカバカ〜」。

そして、2週間。ひたすらガラス磨きが続く。いつしか5人は全ての魚の名前を覚えていた(って、だからどうした)。「もしかしてだまされてるんじゃないの?」と誰もが疑心暗鬼。気晴らしにイルカのプールに飛び込む。そこにやってきた磯村「何やってんだ。え?全部磨いたの?あら?参ったなぁ。おい、腕見せてみろ」。5人の腕の筋肉を確認した磯村は「よーし、バンドウイルカやってみろ」と言うと、なんと全員できてしまう。「そ・そ・そんなの基礎中の基礎!次、バンドウイルカら、ラッコ、イカ、そしてフラミンゴ!」にも難なくこなしてしまう。「こういうことだったんだぁ。あしたからはどうするんですか?」と言う鈴木に「いろいろやるんだ」とどぎまぎしながら答える磯村だった(え〜い、タダでガラス磨きさせるだけだったのにぃぃ)。

次の日、磯村は、5人を連れてゲーセンにやってくると、鈴木に5000円を渡し、「5人のリズムが大事なんだ」と踊らせている間に、さっさと逃げ出す「置いてきぼりぃぃ。ざまあみそ漬けぇぇ」。ところが、ガス欠でエンスト。見捨てれないのね…

「ラッコからオウム貝で回って脚上げる!」。磯村の指示はどんどん難しくなるが、それをこなしていく5人。「「自分に足りなかった者がつかめてきたようです」。自信を持って演技する5人。そんな時、静子が鈴木を訪ねてきたり、早乙女が佐藤に告白…(?)。

そして、夏休みの水族館での合宿もついに最終日を迎える。5人が海で練習をしていたところ、レスキュー隊がやってきてしまう。観光客が水難事故と勘違いしたというのだ。その上、なんとそのことがテレビで放送されたから、さあ、大変。学校にはひっきりなしに男子シンクロの確認の電話が入るようになったのだ。杉田先生から呼び出された5人はプールの使用許可を渡され、晴れて文化祭の大舞台に立つことに。そして、「俺たちも混ぜてくれよ」とあの逃げ出した1日限りの元水泳部員たちが。そして、太田、佐藤の指導の元、28人の群舞が組み立てられる。

文化祭前日。なんと唯野高校(男子校)と桜木女子高の文化祭は同じ日になってしまったのだ。公園で会った鈴木と静子。「行けないんだ。ゴメン」と自分のシンクロを静子に見られずに済んでほっとしている鈴木。「近いから抜け出していこうかな」と静子。そして、二人が何かを言いかけた時、遠くで消防車の音!なんと、唯野高校で文化祭の準備をしていた生徒の花火で火事が起きたのだ。「危ないから、来ちゃダメ!」と静子に言い置いて走る鈴木。そして、彼が見たのは消火に使われてなくなったプールの水。

しかし、翌日にもプールには満水にはならなかった。「せっかく練習したのに!」と涙を流す早乙女。そこに「あの〜」と3名の女の子が…。彼女らは桜木女子高の文化祭実行委員だった。「良かったら、うちのプールで、いかがでしょうか」。

急遽、会場が桜木女子高のプールに変更され、困ったのは鈴木。静子に見られちゃう!いきなり「俺やめる」と言い出す鈴木に、佐藤が「お前がシンクロを一番恥ずかしいと思っているんだろう!ここまで来たら、腹決めろ」と叱咤する。

しかし、音楽が始まっても動かない鈴木。そこに「何やってんだ」と磯村がやってくる。「ホントに教えてくれるつもりだったんですか?」と言う鈴木に「恥かく方が一生情けないままより良いだろう!」。鈴木がジャンプ一閃、観客席からプールに飛び込む。そして、演技が始まった。躍動する肉体。一糸乱れぬ泳ぎ。応援に駆けつけた佐久間先生も大興奮。そして、最期のピラミッドで…なんと、鈴木のパンツが脱げてしまった。代役としてプールに飛び込もうとする磯村。その時、静子がプールに投げ込んだのは…

何をやっても中途半端な5人の男達が自分に足りないものを見つけ、自信を持つに至るドラマ…と云うととても堅苦しいのだが、ホントに笑いの連続。そして、ただ面白いだけでなく、最期のシンクロのシーンの見事さには息をのんでしまう。楽しめる作品。 

シンクロと言えば、一般的には女性たちが華やかに舞う水中競技を想像するが、この映画でお届けする“男のシンクロ”は、想像を超えた全く新しいパフォーマンス。 はじめて聞いた人は、「気持ち悪い」「スネ毛処理は大丈夫?」などの心配をするかもしれないが、百聞は一見にしかず。アクロバティックで、華麗なフォーメーションや楽しいダンスが盛りだくさんの、男子ならではの爽やかなシンクロだ。

モデルは、テレビニュースでも取り上げられた埼玉県立川越高校水泳部。文化祭限定の人気演目で、2001年で14年目を迎えるシンクロパフォーマンスが、 映画『ウォーターボーイズ』に大きなインスピレーションを与えた。

そして、この“男のシンクロ”というイキが良すぎるほどの素材を、なんとも鮮やかに料理してしまったのが、『ひみつの花園』『アドレナリンドライブ』などで高い評価を集める、若き天才監督・矢口史靖。ふとしたことから学園祭でシンクロを発表する約束をしてしまった平凡な男子高校生たちのひと夏の物語として脚本を立ち上げ、独特の矢口節で新時代のエンタテインメントを作り上げた。製作には『Shall we ダンス?』『がんばっていきまっしょい』など、数々の上質な作品を手がけるアルタミラピクチャーズがあたっている。

キャストには、妻夫木聡、眞鍋かをり、平山綾など、今(2001年当時^_^)をときめくフレッシュな顔ぶれに、竹中直人、杉本哲太、柄本明などの個性派、実力派も強烈インパクトでスクリーンに炸裂!

ユニークな題材、そして最高のスタッフ・キャストで贈る、新しい青春映画の傑作『ウォーターボーイズ』。真夏の光輝くプールで、ズッコケながらも頑張るボーイズたちの姿に、青春真っ只中の高校生はもちろん、ちょっぴり青春が懐かしい大人の方々も、思いっきり笑って、ジーンと胸があつくなり、劇場を出たあと元気になること間違いなし!!とは、宣伝文句ですが、確かに面白い映画だと思いますし、アニメだけでなく、『Shall we ダンス?』にも並び、世界に誇れる いい映画と私は思います。

ただ、竹中直人には、賛否両論であるようですね。

日本公開は01/09/15。

草模様

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