The Rock

最終更新日:1998.11.15 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

1996年マイケル・ベイ監督作品(R) ハリウッドピクチャーズ配給

主演: ニコラス・ケイジ & ショーン・コネリー

アルカトラズ島に立て籠ったテロリストの元に潜入「ザ・ロック」

オープニングタイトルに重なる冒頭のシークエンス。現役将校でアメリカ軍の英雄ハメル准将(エド・ハリス)が部下と共に、海軍武器庫から毒ガスVX15発を強奪する。一味は警備の兵を射殺するのではなく、麻酔で眠らせる手段を取り、むやみに人の命を奪おうとはしない。ハメル准将は特殊任務に就き、人知れず死んでいった仲間が国から何も補償されず、軍葬すらされていないことに対して、政府に対して失望し、行動を起こしたのであった。

そして舞台はサンフランシスコ。サンフランシスコ湾の中、四方を冷たい海に囲まれ、決して脱獄することの出来なかったかつての刑務所アルカトラズ。人々は、ロックと呼び、現在は閉鎖され、観光客が訪れるほどのどかな島となっている。その島に、ハメル准奨が武装集団12人のリーダとなって、観光客81人を人質にしてたてこもり、奪った毒ガスを搭載したロケットミサイルの照準をサンフランシスコへ合わせる。ただ、観光客を人質に取る前に、小学生の見学グループだけは先に脱出させており、政府に対してサンフランシスコを毒ガス攻撃すると脅している身でありながら、それでもアメリカ合衆国の軍人であり続けようとするハメル准将の矛盾した行動の中に、彼の止むに止まれぬせっぱ詰まった立場が伺える。

ハメル准将の要求は、戦士した部下に敬意を払い、1億ドルを支払えと云うもの。40時間以内に要求に応えない場合サンフランシスコ近辺の多くの市民が科学兵器の犠牲となる。しかし、アメリカ政府は一瞬たりともそれを支払う可能性を検討しない。テロに対するアメリカの立場は、相手が誰であろうと一貫しているのだ。

残された道は、ただ1つ。敵に悟られずにアルカトラズ内部に潜入し、毒ガス装置を除去すること。だが、複雑な設計の上に増改築をくり返したため、刑務所閉鎖30年たった今、その内部構造を知る者は1人もいない。そこで、33年前アルカトラズを脱獄した唯一の男パトリック・メイソン(ショーン・コネリー)に作戦への協力を依頼。そしてFBI科学兵器のスペシャリストであるグッドスピード(ニコラス・ケイジ)にも協力の要請が。しかし、グッドスピードは、FBIとはいえ、訓練以外で銃を撃ったことがないようなインテリ。果たして彼がそんな任務を果たせるものか。

メイソンは元イギリス諜報部員であったが、アルカトラズ脱獄後逮捕され、極秘情報を隠匿したためアメリカ政府の管理下におかれ、過去も現在も消され、30年間幽閉されていた。当然素直に協力を引き受ける訳がない。しかし、メイソンはアルカトラズの地下通路を熟知しており、彼なくしては潜入できない。協力するふりをしながらサンフランシスコのフェアモントホテルで散髪をするメイソンは、スキをついて逃走。サンフランシスコの坂道を車で逃げ回り、ケーブルカーを吹っ飛ばせながら、一旦は逃げ切る。

しかし、グッドスピードに30年間音信不通だった娘との再会を察知され、娘の前で連行されるが、娘に協力者だとかばってくれたグッドスピードにこころを撃たれ、アルカトラズへの潜入に同意する。

メイソンの案内で、アルカトラズに潜入した海兵隊の特殊部隊。しかし、潜入は察知され、シャワールームでハメル准将一味に待ち伏せを喰らう。武器を捨てて投降しろと呼びかけるハメル准将に、潜入チームのリーダー(マイケル・ビーン)は「合衆国の軍人としてそれはできない」とつっぱねる。共に同じ国に忠誠を誓い、同じ憤りを胸に抱きながら、今この場所で銃を突きつけ合わねばならぬ両者の対決は、この映画の中でもっとも悲壮な場面とも云える。目の前で次々と倒れてゆく仲間たちを目の当たりにして、自分も命を落とすとわかっていながら弾丸の中に身をさらす若い兵士も・・・

アルカトラズ潜入組の生き残こったのはたったふたり。グッドスピードとメイソンは、最初は国のため、命令されて、強いられてだったのだが、海兵隊が全滅して命令系統が遮断されてからは、自分たちの家族を守るため、彼ら自身の判断で行動し始める。徐々に毒ガス装置を破壊していく二人だが、やがて時間切れ、一発の毒ガスミサイルがオークランドのフットボールで満員の競技場に向けてついに発射される。

アメリカ軍人であることをつらぬこうとするハメル准将だが、ここでついに部下との間に齟齬が生じる。そして、最後の毒ガス装置を破壊しようとするグッドスピードとメイソン。また、沢山の市民を守るために、人質の命を諦めて、攻撃に移るアメリカ軍。

果たして、如何に2人はこの危機を乗りきるのか?

印象的なのは、ハメル准将の決起、そしてメイソンが収監されていた理由から感じられる政府、権力に対する不信感。この映画の真の悪役は、アメリカ政府に代表される「権力」かも。ハメル准将が主張していること、何が彼をテロリストにまでしたのか。軍の英雄が政府に主張するもの,それは紛れもない正義であり、この戦いの裏ではハメル准将vs政府、メイソンvs政府と言う裏のバトルも存在しヒューマンドラマ的な要素も含まれている。

また、必見なのは幽閉されているメイソンが連れ出される際の面立ち。かっこいいことこの上ない。ショーン・コネリーは髪がなくてもかっこいいのに反則級にかっこいい。

日本公開は96/9/14。

草模様

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