The Matrix

最終更新日:1999.9.23 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

1999年ラリー&アンディ・ウォシャウスキー監督作品(R) ワーナーブラザース配給

主演: キアヌ・リーブス & キャリー=アン・モス

人工知能の支配する地球で、人類解放の救世主とみなされたハッカー青年が、仮想現実空間での戦いに身を投じていく姿を描いたSFアクション「マトリックス」

いきなり黒いボディスーツのキャリー=アン・モスが警官隊に踏み込まれ、次元を超えるカンフーで制服組を一蹴する。その後、訳の分からぬ私服組に電話ボックスに追い詰められ、トラックで電話ボックスごと潰されたように見えるのだが・・・

ある日、凄腕のハッカー、ネオ(キアヌ・リーブス)の自宅のパソコンのモニター画面に、不思議な文字列が浮かび上がる。「起きろ、ネオ」「マトリックスが見ている」「白ウサギの後をついていけ」…。

頼まれていたハッカーの仕事を取りにきた連中に一緒に踊りに行こうと誘われたネオ。一旦は断るが、そのうちの1人の肩の白ウサギの入れ墨を見て、気を変える。そして、そこで出逢った不思議な女トリニティ(キャリー=アン・モス)。

次の日、ネオの表の顔であるコンピュータプログラマー、トーマス・アンダーソンとして出社した彼の元に携帯電話が届けられる。そして、かかってきた電話は「おまえを捕らえようとしている男たちがいる。ただちに指示にしたがって逃げろ〕と。そして、オフィスの入り口にはすでに冒頭の場面に登場した私服組の姿が。訳が分からないまま逃げようとするネオだが、やがて逃げ場を失い彼らに捕らえられる。

捕らわれたネオはエージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)らに尋問を受け、協力を求められる。しかし、弁護士を呼ぶようにと主張する彼に、口がなければ喋れないだろうと云う彼ら。そして、本当に彼の口は塞がれ、そして、機械の虫が彼の体内に・・・

目覚めた彼は自分のベットにいた。夢としか思われない。しかし、再びネオの前に現れたトリニティーに云うことに従うと、その虫は本当に彼の体内から取り出された。夢ではない! トリニティーの導きで探し求めていたモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)と出会ったネオ。彼もネオを長い間探していたと云う。そして、ネオに真実を知ることを選ぶか、元の世界に戻ることを選ぶか、2つに1つを選択するように告げる。

そして、真実を知る方を選んだネオに見せられた世界の真実の姿は、驚くべきものだった。今は1999年ではなく、2199年ごろ。人間たちが“現実”だと思っているのは、「マトリックス」と呼ばれる仮想現実。実際には、人々はバイオメカニカルな“発電所”で羊水のような液体の中に浮かび、コンピューターによって“栽培”されている。自分の足で立つことも、自分の目でものを見ることもなく‥‥

そう、この世界は、コンピューターによって脳に送られた電気的な刺激が作り出した、スーパーリアルな幻なのだ。21世紀の初め、A.I.(人工知能)が単一の意識を持つようになり、自分たちが主導権を握ろうと反乱を起こした。当時、コンピューターは 太陽エネルギーを動力源としていたため、人類は太陽光を人工的に遮るという対抗手段に出た。戦いに勝ったコンピューターが、新たな動力源として選んだのは人間だった。人間を計画的に“生産”し、その身体が吐き出す熱を動力源とすることにしたのだ。その事実を知り、A.I.による支配と戦っている少数の人間たちは、長い間、予言者が語った人物の出現を待ち望んでいた。そしてネオが選ばれた。この世を人間の手に取り戻すことのできる“救世主”として…。

はたして自分は本当に救世主なのか?確信が持てないまま、ネオはコンピューターの中枢に直結した監視プログラムであるエージェント・スミスらとの戦いに参加する。スミスにはすべてが可能だ。驚異的なスピードと力を持ち「マトリックス」の中の誰にでもなりかわれる。そんな敵に対抗できる手段とはいったい何なのか。救世主であるためには、何をなせばいいのか? 戸惑うネオにモー フィアスは言う。「既成概念を捨てろ。心を解き放て。心が仮想現実を現実にするのだ」と。

コンピュータプログラムによって、あらゆる武道の訓練を受けたネオは、モーフィアスに連れられて仮想世界中の予言者を訪ねる。しかし、彼女は云う、ネオは救世主ではない。でも、モーフィアスが彼をそうだと信じることは変えられない。そして、彼の命か自分の命か、どちらかを選べなければならないことが起きるとも。

そして、戦いは始まる。モーフィアスが犠牲になることによって、一旦は逃げ出した一行だが、現実社会の激しい戦いの毎日に疲れたサイファー(ジョン・パントリアーノ)が裏切り、一歩先に現実世界に戻ると、機器を操作していた仲間たちを撃ち殺し、仮想社会に残った仲間たちのコンタクトを切っていく。どうしようもなく、次々と倒れていく仲間たち。そして、残るトリニティーとネオの命もあとわずか。

しかし、その時、サイファーに撃たれたタンク(マーカス・チョン)がまだ生きていた。気を取り戻した彼は、間一髪サイファーを倒し、トリニティーとネオを連れ戻す。しかし、戻ったネオはモーフィアスを連れ戻しに行くという。モーフィアスは現実社会に最後に残る人間の秘密都市へ入れる暗号を知っているため、エージェント・スミスらはその情報を彼から得ようと殺さずにいるのだった。しかし、いつまでモーフィアスがそれに抵抗できるかは時間の問題でもある。

ネオとトリニティーは、多量の武器と共に敵の本部に乗り込む。襲ってくる兵隊を次々と倒していく2人。そして、これまで誰もが倒せなかったエージェントも一旦は倒したネオとトリニティーは、ヘリコプターを使い、モーフィアスを救出。現実社会に向かう。

しかし、まだまだ終わらない。モーフィアスとトリニティーが戻った直後、エージェント・スミスが再びネオを襲う。さらに、現実社会ではモーフィアスたちが戻った船をコンピュータの攻撃部隊が襲う。さて、ネオは本当に救世主たるのか・・・ 彼らの運命は如何に。

モーフィアス救出シーンでは、ビルの谷間をサングラスに黒いセクシースーツの女が操縦するヘリが動き、ロープでつながれた男キアヌ・リーブスとローレンス・フシュバーンのふたりがビルの屋上に飛び降りる。その刹那、ヘリは炎上開始、ゆっくりとビルの一角に激突して吸い込まれるように落下する。キアヌは操縦する女とつながった命綱を必死でたぐりよせる。このシーンは見事との折り紙付き。従来の破壊物量で見せるスピードとスリルのみのアクションとは一線を画す斬新さ、つまり、次元を感じさせるアクション。ヘリからキアヌが着地するときの、滑らかさ。ヘリがビルに激突したあと、ビル自体に吸収されていくような、次元のゆがみを見せるような感覚。このいままでにはなかったものを楽しんでください。

「現実の世界」に出入りする手段が「電話」の回路というのも面白い。現実の世界からもどるには「電話」を見つけ、そこの回路からもどる寸法。携帯電話ではダメという発想も面白い。

主役のキアヌ・リーブスはネオは最初から彼を想定して書かれたと云うだけの嵌り役。彼も4ヶ月のカンフーの特訓をこなして、全てのシーンをスタントなしでこなしたとのこと。

SF好きやアクション好きはお見逃しなく。

日本公開は99/9/11。

草模様

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