Executive Decision

最終更新日:1999.7.20 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

1996年スチュアート・ベアード 監督作品(R) ワーナーブラザース配給 2時間13分

主演:ート・ラッセル & スティーブン・セガール

ジャンボジェット機がテロリストにハイジャック。大統領はジャンボ機の爆撃を決断する「エグゼクティブ・ディシジョン」

旧ソ連軍の神経ガスがテロリストに盗み出される。陸軍特殊部隊のトラビス中佐(スティーブン・セガール)率いる部隊が奪回の任務にあたるが 図らずも失敗に終わる。3か月後、テロリストのリーダー、ヤファを逮捕する。これで事件も解決かと思われた矢先、テロリストにアテネ発ワシントン行のジャンボ機をハイジャックされる。ハイジャック犯のリーダー・ハッサン(デビッド・スーシェー)は、米国に対し乗客の命と交換に、逮捕されたヤファの釈放と5,000万ドル分の金塊を要求する。

ワシントンでは 緊急会議が招集されその席にはトラビス中佐、そして陸軍の情報分析顧問のグラント・コリンズ博士(カート・ラッセル)も同席する。グラントは、ハイジャック犯の本当の目的は、金や仲間の保釈じゃなく、盗み出した神経ガスによる、ワシントンへの毒ガス攻撃と分析する。それが事実なら、ジャンボ機をワシントンに着陸させることは出来ない。そのためには、400人の乗客を犠牲にして爆破すべきなのか。

政府が判断に苦しんでいる時、トラビスが奇想天外な作戦を提案する。それは、新開発のリモーラ・シャトルと云う空中輸送機を空中8000メートルの上空で、ジャンボ機にドッキングさせ、特殊部隊のメンバーを送り込み、催眠ガスで全員を眠らせて旅客機を奪還すると云う作戦だった。

作戦は決定され、特殊部隊を指揮するのは、作戦を提案したトラビス中佐で、いつも行動を共にする特殊部隊の数人と、爆弾処理の専門員が集められる。リモーラ・シャトルは、トラブルを起こして飛行中の軍用機の救出用に開発されたステルスタイプの輸送機で、民間機とのドッキングは初めてであり、シャトルの開発責任者・ケイヒル(オリバー・ブラット)もこの作戦にかり出され、神経ガスの奪回作戦の計画を立てたグラントも加わることになる。地上8,000メートルの空中戦、タイムリミットは、3時間50分。神経ガスがばらまかれれば数千、数万の命を失うことになる。もし、作戦が失敗すれば人質もろとも 飛行機を爆破しなければならない。

ドッキングは成功し、部隊は旅客機の貨物室に潜入するが、乱気流でドッキング装置が破壊し、気圧低下でシャトルは操縦不能になり、空中分解。特殊部隊は地上との連絡を断たれてしまう。もし潜入失敗なら、米国領空内に入った時点で旅客機を撃墜する計画であり、部隊はとにかく残りわずかな時間で旅客機を奪還しようと考える。 が、作戦のかなめの催眠ガスは移送に失敗して無く、武力で制圧するにはハイジャック犯の配置を調べる必要が有り、時間ばかりかかってしまう。 おまけに、貨物室に仕掛けられた毒ガスの発散装置と自爆装置は、かなり高度なシステムで、爆破装置の解除をしようにも、爆弾処理の専門員は乗り移る際に大怪我をして動けない状態。グラント達は、ハイジャック犯に見つからないように、スチュワーデスのジーン(ハリィ・ベリー)にこっそり接触し、協力を求める・・・           

一方、地上の危険対策委員会は作戦が失敗したと判断、大統領は予定通り、米国領空内に入った時点でジャンボ機の爆撃を決断する。果たしてグラントと特殊部隊は、テロリストからジャンボ機を奪い返し、さらに爆撃を食い止めることができるのか…。

映画が始まって最初の30分はエンディングへのすべての伏線といっても過言ではない。グラントがセスナの操縦の練習中で、次は単独飛行という時に事件が起きる。また、パーティで女の子を口説いている時にグラントは呼び出されるが、ラスト近くで、同じようなシ−ンが繰り返されることになるのは、いうまでもない。

テロリスト対策のスペシャリスト班の隊長役でスティ−ブン・セガールが出演している。見る側は「沈黙の戦艦」や「沈黙の要塞」のノリで、テロリストをバッタバッタと倒していくのを期待するが、映画が始まってほどなく輸送機とともに空に散ってしまう。このへんの裏切りはうまい。私は、最後まで、それっきり消えてしまうとは思ってませんでした。

最後の30分が犯人との戦い。犯人に直面しそうになったりするが、ぎりぎりのところで切り抜ける。犯人の一人が乗客の中にいて起爆装置を持っていることが分かり、スチュワーデスのジーンの活躍。ここもハラハラさせられる。グランドと交信をしている際に名探偵ポワロのポワロのおっさんにみつかったり・・・。

タイトルの「エグゼクティブ・デシジョン」は大統領が下す最終決定のこと。宣戦布告や核兵器の使用なども“エグゼクティブ・デシジョン”にあたる。それにしても、アメリカ人は国家や尊い人命が危機にさらされた時、ひとりひとりが勇敢に英雄的な行動をとることを理想としていることがよく分かる。パイロットやスチュワーデス、それにたまたま乗り合わせた保安官までも、テロ対策班員に負けず劣らずだ。

とにかく、ハラハラドキドキと2時間余りを楽しませてくれるでしょう。

日本公開は96/10/26。

草模様

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