The Devil's Own 

最終更新日:1998.3.4 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

1997年アラン・パクラ監督作品(R) コロンビア・ピクチャーズ配給

主演: ハリソン・フォード & ブラッド・ピット

IRAのテロリストをブラッド・ピットが、そして彼とやがて戦う運命にあるニューヨーク市警察官をハリソン・フォードが演じ、亡き父の影を異国で見つけた若者の「癒し」と「運命」をも描く悲しい物語「デビル」

父と漁から戻り、家族と食卓を囲んでいた8歳の少年。そこへ突然武装した集団が一家を襲撃し、父はIRAを支援しているという理由で、撃ち殺された。目の前で父親を殺された少年の人生は少しずつ変わっていった。時間が流れ、青年になったその少年、フランキー・マクガイヤー(ブラッド・ピット)は、暗号名「エンジェル」と呼ばれるIRAの特殊工作員となり、数々のテロ活動を実行、S15、米国務省、FBIなどから追われる国際テロリストになっていた。

ある日、フランキーはテロを指揮し、ある人物を狙う。だが、それは罠。発砲し、銃撃戦が始まるとすぐ軍隊がかけつける。だれかが情報を流しているらしい。かろうじて射殺も逮捕もまぬがれたフランキーはアイルランドを離れ、英国軍への復讐に使う携帯ミサイルを購入するために、ニューヨークへと渡る。アイルランドシンパの判事の手引きで、隠れ家としてアイルランド系アメリカ人のニューヨーク市警察官トム・オメラ(ハリソン・フォード)を紹介され、ローリー・ディベーニーと名乗り、トム夫妻と3人の娘が、仲むつまじく暮らしている家にホームステイすることとなる。

トムは、警官生活二十数年の大まじめ男。わいろも取らず、わずかな不正も許せない。銃は持っていても、これまで人を殺したことは一度もない。仕事が終われば居酒屋でビールジョッキを仰ぐ、至極ふつうのマイホーム・パパ。ただ、彼の相棒が、逃げる車上荒らしを背後から射殺するという事件で、その相棒を嘘をついて弁護すべきか、あるいはあくまで法を守る人間として生きるかという葛藤にも苦しんでいる。しかし、彼はフランキーが、まさかIRA闘志だとは夢にも思わず、彼を息子のように扱う。

この仲良し家族に囲まれて、フラ ンキーは、心の中のT悪魔Uがフッと消えてゆく。トムに、無意識に求めていた父性を見い出して、何かが救われるのを感じる。しかし、正体を明かせば互いに銃を向けあうのは必定。同志の待つ故郷に、ミサイルを持ち返る任務も肩にのし掛かる。この救済、この葛藤。

フランキーが銃撃戦や女性工作員との恋、マフィアとの取引に忙しくしている中、ミサイル購入資金目当ての強盗がトム一家を脅かす。危うく殺されそうになった妻は、フランキーが救ってくれるが、この事件で疑問を抱いたトムは、遂にフランキーの正体を知ることに。もはや対決が避けられない状況に追い込まれた2人は、どう相手と直面するのか?街の泥棒を追いかけているような警官、しかも二十何年間に四発ぐらいしか銃を発射したことのない警官が、ひとりで国際手配されているテロリスト、さらに息子のように思っていた彼と戦うことになるのか・・・

5年前からブラッドがぞっこんというこの企画、当初オメラは脇役にすぎなかった。そして、スタジオが指名したショーン・コネリーでは老けすぎという理由から、ブラッド自身の希望でハリソンへ出演を依頼。2,000万ドルのギャラで脇役をさせるわけにもいかぬスタジオ側は、何度も脚本を書き換えた末、2人の主役を作り上げる。 そこへ、ブラッドが駆けつけ、「こんな筋書の脚本に出る気はない」と言いだすが、スタジオ側では、もし彼が降板すれば告訴すると脅迫しながら、なんとか続行し、ようやく完成まで漕ぎ着けた。

脚本には不満の声もあるようですが、アクション映画と云うよりは、ブラッド、ハリソンの、若手、ベテラン両スターのしっとりとした心の内面を伝える演技を堪能できるでしょうか。

日本公開は97/4/5。

草模様

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