最終更新日:1998.11.14 JST
1998年ブラッド・シルバーリング監督作品(PG-13)ワーナーブラザース配給
出演: メグ・ライアン & ニコラス・ケイジ
凄腕の心臓外科医と、彼女に恋した天使が奏でるピュアなラブ・ファンタジー「シティ・オブ・エンジェル」
これはこの世に舞い降りた「天使」の話。セス(ニコラス・ケイジ)は、ロサンゼルスを見守る天使のひとり。死に行く者の前に現われては天国に導いて行くのが、彼の仕事。4歳の女の子が高熱を出すシーンから物語は始まる。
母親の、懸命の看護のさなか、部屋のドアのすみに男がひとり佇む。ダークコート姿もユニークな「天使」。「今までで一番好きだったものは何?」とセスは女の子を天国に導く途中で、そう訊く。女の子の答えは「パジャマ」。短かった彼女の人生では、自分が着ていたパジャマが一番の愛するものだったなんて。ちょっと、泣かせる導入。
あるとき、病院の手術室にやって来た彼は、迎えに来た患者を必死で蘇生させようとする外科医のマギー(メグ・ライアン)が、一瞬自分を見たように感じてドキリとする。彼は彼女が手術に失敗して「涙」を流す姿を見ても、涙というものを理解できない。天使は人間的な感情がなく、食べ物の味覚も感じられないもの。しかし、その瞬間、彼は彼女に恋していた。
患者を救えなかったことで自分を責めるマギー。そんな彼女の前に、掟を破って姿を現すセス。彼の優しいなぐさめに心ひかれるものを感じたマギーは、セスとの再会を強く望むようになる。
いっぽう、マギーの患者のひとりでメッシンジャー(デニス・フランツ)という男の病室を訪ねたセスは、メッシンジャーが姿の見えない自分に話しかけてくるのを知って驚く。よくよく話を聞いてみれば、メッシンジャーは元天使だったというのだ。「覚悟を決めて高いところから飛び降りれば、天使も人間になれる」
メッシンジャーの言葉に励まされ、ついに永遠の命を捨てる覚悟を決めるセス。だがそのころ、マギーは同僚の恋人からプロポーズを受けていた……。
天使がたむろするのは図書館で、もう逢わないとマギーに云われても、もうセスの気持は止められない。永遠の命を捨てて、人間になるためにビルから飛び降りるセス。人間になったセスはマギーを追い掛け、タホ湖の別荘に。そして、結ばれる二人。
しかし、二人の運命は・・・
沢山の天使達が明け方の浜辺で太陽が昇る「音」を聴く静寂の瞬間、図書館で主人公の姿に注目する天使たちの動きは、ミュージカルのワンシーンのよう。
『キャスパー』のブラッド・シルバーリング監督によるヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』のリメイク。ハリウッドの伝説的な辣腕女性プロデューサのドーン・スティールが製作に名を連ねるこの作品は、97年12月に51歳でガンで逝った彼女に捧げられている。
日本公開は98/9/12。