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最終更新日:2002.11.1 JST

草模様

ネタばれ注意!!!

2002年ロブ・コーエン監督作品(PG-13) コロンビアピクチャーズ配給 2時間4分

主演: ヴィン・ディーゼル & アーシア・アルジェント

コードネームは“xXx”――新種のシークレット・エージェント――時代は変わった、いままでのヒーローでは世界を救えない!!「トリプルX」

チェコ共和国首都プラハ。1人の男がコンピュータチップを奪うが、追い詰められ命を落とす。彼はアメリカNSA(国家安全保障局)のエージェントであった。NSAはかってソ連が開発した危険な生化学兵器の盗難事件に絡んでいるとされるテログループ〈アナーキー99〉を捜査していたが、本拠のあるプラハに送り込んだ3人のエージェントはことごとく抹殺されていた。

NSAのベテラン・エージェント、アウグスト・ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)は“毒には毒を…”の発想で意表を突いた、策を打ち出す。命知らずの犯罪者に苛酷なテストを施し、パスした者に免罪と引き換えに任務を与えようというものだった。

カリフォルニア州サクラメント。エクストリーム・スポーツ(X−スポーツ)のカリスマ、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)はスリルが生き甲斐の男。トレードマークは首の後ろに彫った“xXx”の刺青。法律なんか眼中にない。BMX、スノーボード、スカイダイビングを駆ってひたすら危険なゲームに生命を賭ける。目もくらむ橋の上から車で落下、パラシュートを背負って脱出するなんて朝飯前。自らの映像を納めたビデオをインターネットで販売して、若者達に熱狂的な人気を得ていた。

拉鼓され、強引にテストに参加させられたサンダーは、食堂での強盗シミュレーションやコロンビアでのコカイン密造現場でのテストで、圧倒的な運動能力に加え冷静な判断力と度胸の良さで他を圧倒していく。その卓抜した胆力を目の当りにしたギボンズは、あらゆる策を弄して、無理矢理、彼をシークレット・エージェントに任命する。コードネームは“xXx”。ザンダーは〈アナーキー99〉の潜入捜査のため、渋々チェコヘと向かうことになる。

ストリートで生き抜く知恵を身につけているサンダーは、ブラハの裏社会にするすると入り込み、抜群の洞察力と行動カで〈アナーキー99〉のボス、元ロシア軍将校トーギ(マートン・コーカス)に近づく。

横転をきかし、首尾よく一味の情報を聞き出したザンダーだが、ポスの恋人エレーナ(アーシア・アルジェント)が組織を抜けたがっているのを知る。詳しい話を聞き出そうとエレーナとレストランで昼食を取るザンダーだが、内部通報で正体がばれ、狙撃者に狙われる。危ういところを持ち前の運動神経で切り抜けたザンダーだが、突然拉致される。拉致された先にいたのは、ギボンズ。報告を受けたギボンズはザンダーに帰国命令を与えるが、彼は無視、彼女の手助けをするためにひとりアジトに引き返す。

忍び込んだ先で生化学兵器の完成と開発者達の皆殺しを目撃したザンダーはなんとかアジトの城から逃げ出し、隠れ家に戻る。そこには、チェコ秘密警察の男が待っていた。しかし、彼こそが内部通報の裏切り者だった。間一髪で彼を救ったのはエレーナだった。彼女は元ソ連の秘密諜報員で、トーギの陰謀を阻止すべく潜入を続けていたのだった。

一方、その頃、ザンダーの正体を知ったヨーギは生化学兵器テロを実行に移そうとしていた。このままでは罪の無い何万人の人々が犠牲になってしまう。正義なんて言葉と無縁だったクールなサンダーの心になにかが熱く燃え上がる…

難攻不落のアジトへスノーボードでの決死の突入。作戦は成功したように思えたとき、しかし「静かなる夜」と命名された恐るべき毒ガス爆弾を乗せたソーラー船が自動運転で解き放たれいた。さあ、止められるの、ザンダー、おまえしかいない!!!

Xスポーツ野郎たちの伝説であり、法律などお構いなしのストリートガイがNSA(アメリカ国家安全保障局)から“破壊のライセンス”を与えられる――。筋肉隆々、これまでのスパイ映画の常識をことごとくくつがえし問答無用の活躍を繰り広げる。これぞ21世紀のヒロイズム、スパイ新世代と呼ぶにふさわしい輝き。

アメリカでは3374のスクリーンを独占し、公開3日間で『007』シリーズを凌ぐ4450万ドル(約55億円)の興収を記録。“xXx”現象とでもいいたくなるほどの熱狂ぶりに、早くも続編の製作が決定している。

なにより、ハリウッドは待望のアクションスターのニューブリード誕生に興奮を隠せない。フェロモン全開、精悍さに溢れたタフな容貌にユーモアを滲ませる、その名はヴィン・ディーゼル。『ピッチ・ブラック』や『ワイルド・スピード』で、スターダムにのし上がた彼が肉体に磨きをかけて、瞬きの猶予を与えないアクションにチャレンジしてみせる。地上200メートルの橋からのスポーツカー・ダイブ、空前絶後のバイク・スタント、スノーボードをつけての空中ダイビング、高速潜水艦への飛び移り、雪崩のなかでのスノーボーディングまで、危険度トリプル級、ジャッキー・チェンも真っ青のスタントを披露する。まさに惚れ惚れするようなヒーローぶりなのだ。

ディーゼルを囲む共演者も粒ぞろい。“xXx”をスカウトするNSAエージェントには、『シャフト』をはじめアクションスターの顔ももつ演技派サミュエル・L・ジャクソン。記念すべき“xXx”ガールには『王妃マルゴ』や、父ダリオ・アルジェントの『トラウマ/鮮血の叫び』などで異彩を放ったイタリアの個性派アーシア・アルジェント。これに『ロード・オブ・ザ・リング』のマートン・コーカス、『ブラックホーク・ダウン』のマイケル・ルーフ、『すべてをあなたに』のトム・エヴェレット、『ヒート』のダニー・トレホ、加えてトニー・ホーク、マット・ホフマンなど、格闘技のスターたちも大挙、出演している。

脚本は『Aire head』『The Stoned Age』のリッチ・ウィルクス。古典的なスパイ映画のファンの彼は現代にアピールするスパイ像を練り上げ、『デイライト』や『ワイルド・スピード』のヒットメーカー、ロブ・コーエンに作品を托した。タイトで疾走感にみちた語り口で知られるコーエンは、ユーモアとポップカルチャー満載、息つく暇を与えないノンストップ・スパイアクションに仕上げている。

スタッフも1級のスタッフが選りすぐられている。撮影は、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ワンス・アンド・フォーエバー』のディーン・セムラー。美術監督は『スーウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『スーウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のギャビン・ボクエット。また、衣装デザインを担当したのは『ワイルド・スピード』のサーニャ・ミルコビック・ヘイズ。

また特筆すべきスタント・コーディネーターは、『ハート・オブ・ウーマン』のランス・ギルバートと『U-571』のジェームズ・アーネットが担当している。ふたりは陸上、海、空中、雪中などの場面を問わず、格闘技の見せ場を最大限に利用したアクション・シーンを生み出している。視覚効果スーパーバイザーは、『奇蹟の輝き』でアカデミー賞を受賞したジョエル・ハイネック。特殊効果監督は『アルマゲドン』のジョン・フレイジャー。

音楽は『デイライト』のランディ・エデルマンがスコアを書き、イギリスのテクノ・マスター“オービタル”、ドイツの人気メタル・バンド“ラム・シュタイン”など旬なアーティストが参加している。またヒップ・ホップの歌姫“イヴ”が特別出演しているのも見逃せない。

製作はコーエンの盟友にして『ラストサマー』などのヒット作を誇るニール・H・モリッツ。製作総指揮に『ワンス・アンド・フォーエバー』のアーン・L・シュミット、トッド・ガーナー、『Diablo』のジョージ・ザックに、ヴィン・ディーゼル自身も名を連ねている。

息も付かせぬアクションの連続で、2時間を感じさせません。

それにしても同時期公開の『9デイズ』同様、チェコ、プラハが舞台。単なる偶然?

日本公開は02/10/26。

草模様

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