最終更新日:1998.6.15 JST
1998年スチュワート・ベアード監督作品(PG-13) ワーナーブラザーズ配給
出演: トミー・ リー・ジョーンズ & ウェスリー・スナイプス
「逃亡者」でオスカーを受賞したトミー・リー・ジョーンズが再びジェラルド警部が演じる「追跡者」
「逃亡者」の続編。と云っても、ハリソン・フォード扮するリチャード・キンブル博士ではなく、アカデミー助演男優賞を受賞したトミー・リー・ジョーンズのジェラルド警部再登場です。
前回のキンブル博士と代わって、ジェラルド警部(トミー・リー・ジョーンズ)の執拗な追跡の的となる“無実の男”は、元CIA特殊工作員シェリダン(ウェスリー・スナイプス)。
国連絡みの陰謀を熟知していることから手配されたシェリダンを、無実ではないかと疑りながらも捜索するジェラルド警部と一風変わった部下たち。彼らと老獪なシェリダンの騙し合いが派手なアクションを交えながら展開してゆく。
事件は、殺人容疑で手配中だったシェリダンが、偶然の自動車事故に遭遇。指紋から手配中と判明、ニューヨークにコン・エアーで護送されるところから始まる。ジェラード警部も同乗していたこの飛行機で、突然彼は別の囚人から狙われる。危うく銃撃を逃れた彼だが、その銃弾により飛行機に穴が開き、コン・エアーは緊急着陸する。そして、ジェラードらが囚人を助け出すどさくさにまぎれて、彼は忽然と姿を消す。
ジェラードは上司の連邦保安官ウォルシュ(ケイト・ネリガン)の指示で、部下のレンフロ(ジョー・パンテリアノ)、ビッグス(ダニエル・ローバック)、ニューマン(トム・ウッド)、クーパー(ラターニャ・リチャードソン)を呼び寄せ、操作の指揮を取ることになるが、条件として友人をシェリダンに殺されたと怒りに燃えるDSS(外交保安局)のロイス(ロバート・ダウニー・ジュニア)もメンバーに加えることを押し付けられる。
ケンタッキー州西部パデュカの外れにある広大な湿地帯に逃げ込むシェリダン。うまく彼を追い詰めたジェラルド警部だが、ロイスの単独行動が原因で、シェリダンに撃たれて、彼を取り逃す。しかし、ロイスを殺そうともせず、自分も撃たれたとは云え、防弾チョッキを着用していると分かっている胴体部分を撃ったことに疑問を覚える。
シカゴに戻ったジェラルドのチームは、シェリダンが追われる原因となった事件を映したビデオを分析、DSSの説明に疑問を覚える。シェリダンは身を守るために、やむなく発砲しているではないか。また、そこに映る謎の中国人は、コン・エアーでシェリダンを襲った犯人が機内で手にいれたペン式の銃を仕込んだ整備員が殺された現場でシェリダン達が逢った男ではないか。
一方、シェリダンの恋人マリー(イレーヌ・ジャコブ)をマークした警部一行は、シェリダンがニューヨークにいることを掴み、ニューヨークに乗り込む。まずDSSに乗り込んだジェラードとウォルシュは、シェリダンがアメリカの国家機密を、問題の中国人、中国諜報員チャン(マイケル・ポール・チャン)に密かに横流ししていたこと、その現場を押さえようとして、部下を失ったことを聞かされる。そして、シェリダンは元CIAの特殊工作員だとも。
シェリダンの潜伏先を突き止めたジェラード達だが、そこには彼の姿はなく、中国大使館を見張るために仕掛けたカメラの映像が映るだけ。そしてそのカメラにチャンが姿が。チャンを追うジェラード達の前で、アタッシュケースが交換され、チャンから渡されたケースは、墓地のチャペルへ運ばれる。見守るジェラード達。
そして、そこには意外な人物が現れ、シェリダンも姿を現す。そして、シェリダンがその人物を捕まえ、ニューヨークに飛んできたマリーの車で連れ去ろうとしたとき、突然銃撃が。チャンが口塞に皆殺しを企てたのであった。
シェリダンを信ずるマリーの助けで、その場を逃げ出したシェリダンだが、墓地の近くの養老院に追い詰められる。捕らえようとするロイスともみ合うシェリダン。そして、その場にニューマンが応援に駆け付けたとき、その不幸は起こった。銃弾に倒れるニューマン。そして、怒りに燃えて追い掛けるジェラードにビルの屋上に追い詰められながらも、逃走するシェリダン。
帰らぬ人となったニューマンの敵を取るべくシェリダンを追い詰めるジェラード。さて、シェリダンの罪はいかにして晴れるのか。真の犯人とジェラードの対決は?
今回は憎まれ役から主役へ昇格したジョーンズが、相変わらずの渋い演技で犯人逮捕に執念を燃やす“仕事人間”を熱演しているほか、前編でも登場したレンフロたちが緊張感の中へユーモアを交錯させた役目を十分に果す。
「リーサル・ウェポン1&2」や「ダイハード」などの大型アクション映画の編集者として名を馳せ、「エグゼクティブ・デシジョン」で監督デビューしたスチュワート・ベアードが、盛りだくさんのアクションを見せてくれる。
前編で観客の度肝を抜いたオープニングの列車脱線シーンに負けじと、巨費を投じて撮った飛行機墜落シーンは、本物の飛行機(B727)を2機購入したほか、模型飛行機やラスベガスのカジノのオーナーからリースした飛行機を用意。重量450キロの模型飛行機を最高時速100キロで動かし、7台のカメラを使って撮影したそうです。
また、追跡する犯人への同情心を抑えながら冷静に“キャット・アンド・マウス(追っ駆けっこ)”ゲームを楽しむジョーンズのサディスティックな演技は、ジェラルド警部のキャラクターをより印象深くしています。
単純に楽しめると思います。
日本公開は98/6/13。