10年ほど前に購入したSteinberger/GL-7TAです。ヘッドレス・ギ
ターといえば、このモデルですね。91年製のこのギターはプリ・ギブ
ソンの製品で、現在生産されている木製の偽物とは違います。(苦笑)
昔はホーナーとかヘッドウエイという会社が違法コピーを生産していま
したが、ギブソンに買収された後に本家が外道の行いをしていることに
なります。情けないですね。まあ、ギブソンという会社は自社ブランド
を守るために敵対的買収じゃないけど、ギター工房を買い漁っては、
廉価モデルを作らせて潰すという商法が得意ですから。アメリカっぽい
といえば、アメリカっぽい商売のやり方ですが、おかげでここ10年間
のギターテクノロジーは停滞しております。Fenderもストラトで止ま
ってますし、Alembicは工芸ギターになってしまいました。B.C.Richは
廉価路線に手を出して散ってますし、Steinbergerは前述の通りです。
TomAndersonやSurr等が最近のBoutiqueギターの傾向なのでしょうが
イマイチ新しい何かをイメージできません。

Steinbergerに話を戻しましょう。このギターの特徴は特許の固まりと
いっても過言ではありません。Fender/Stratocaster以来の革命とい
える技術革新がテンコ盛りです。ヘッドを排除し、弦のテンションを
積極的にコントロールしたチューニングシステム。設計上の過激な割り
切りが想像されるボディーシェイプと素材構成などなど、30年分?の
革新が行われた製品です。格好は余り良くありませんが、理屈が通って
いるデザインには説得力があります。
さて、肝心の出音ですが、これは評価の別れるところでしょう。残念ながら僕は素晴らしいコンディションのオールドモデルという評価基準を知りません。従ってこの
人工的なギターを評論するには経験が不足しております。手持ちのエレキギターはParkerとかParadisですから、余り良い比較対照ではありません。その点を割り引
いての意見です。 まず、経年変化ですが、残念なことにネックが多少反ってしまったようです。これ、グラファイトネックの能書きとは大違いです。(苦笑)その他
ゼロフレットの減りが滅茶苦茶速いです。これだけハイテクを謳っていた割にはボディーのシールドが甘く、残念ながら電気系への気配りが乏しかったようです。
そして音質ですが、フラットで色は殆ど付きません。EMGが乗っかっているのですが、このPUのショウケースといっても過言ではありません。いわゆるガッツのある
音では無く、これを嫌ってダンカンなど個性の強いPUを積む人が多いそうです。実は僕も最近、PUをBardenに積み替えました。Bardenはパッシブの中では
ノイズレスで硬めの音なので、EMGからの載せ換えで出音のイメージが激変することはないのですが、艶っぽく良い方向に改良できたと思っております。
実はSteinbergerは結構押し出しが良いです。先日Surrの高級ギターと弾き比べた時、ヌケでは圧勝でした。Surrがハズレだったのかもしれませんが(苦笑)
当たり外れの無い点がSteinbergerの「売り」かもしれません。