第十話
ロンドンの箱型タクシー運転手の大脳
おもしろい記事を新聞で見つけた。 ロンドンの名物、箱型タクシー運転手の 大脳の神経細胞の話である。 ロンドンの箱型運転手になるには、 試験に合格しなければならず、 望者は自転車やバイクでこまめに街をまわり、 地図を頭に叩き込まなければならない。 合格するためには、2年かかるというから、 楽な受験勉強ではないことがわかる。 だから、彼らは 市内のどんな小さな道でもよく知っている。 そして、ロンドンのタクシー運転手の脳は、 猛勉強のおかげで、成長を遂げたらしいのだ。 ロンドン大学エレノア・マグアイナー博士 (認知神経学)が、タクシー運転手と一般の人の脳を比べたところ 運転手の大脳皮質の中で、 位置関係をつかさどる海馬の後方部分が肥大していた。 運転歴が長いほど、ここが膨らんでいるらしい。 つまり脳への刺激が,脳の変化をもたらしているのだ。 成人の大脳の神経細胞は 1日に10万個ずつ、減っていくのだというのに、 タクシー運転手は逆に増えているのだから、これは驚きである。 高校の頃、書道の時間に書道の先生が 繰り返し学習することの意義について、 詳しく話しをしてくれたのを記憶している。 人間が、一晩かけて学習したことは 一晩寝ると、半分近くは忘れてしまうのだという。 そして、また同じところを学習、この繰り返しによって 忘れたものを、もう一度頭にいれ、 忘れる量を少なくしていく。 この繰り返しの作業で、脳はしっかり 覚えるものを脳に叩き込んでいくのだ。 こうして、叩き込んだものは、 忘れにくいし、いったん忘れても比較的簡単に思い出せるものだ。 子どもの頃に歌った歌を、私たちは、比較的よく覚えている。 小さい頃、なんどとなく歌った歌は、その頃、脳に叩き込まれていて、 自然と口から出てくるものだ。 今はどうか・・ わたしは、お気に入りの曲をBGMの代りに、よく聴いているが、 歌詞をなかなか覚えられない。 人の神経細胞は1日10万個減ってるのだから こういう作業も、年齢を重ねてくると大変時間のかかることとなる。 頭に入りにくい上に、すぐに忘れる。 しかし、努力の如何では脳の変化をもたらす事もできるということだ。 苦労の作業を、脳はちゃんと記憶しているのだ。 苦は楽の種という。 苦労は、決して無駄な作業ではない。

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