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昨夜NHKスペシャル『愛する命を送るとき』を見た。 一昨年の2月に東京都小金井市の桜町聖ヨハネホスピスで、 癌で41歳で亡くなった河辺龍一さんと、妻貴子さんが過ごした 70日間の「送るための日々」を描いたものだ。 死へと近づく龍一さんと、夫を見守る妻の貴子さん 貴子さんはホスピスでの日々の出来事を絵日記にして夫に見てもらう。 それは龍一さんの毎日の楽しみとなる。 病室のドアに貼りほかの患者さんたちにも見てもらう。 絵日記は116号室の病室にちなんで『116通信』と名付けられ、 毎日病室のドアに貼られていく。 貴子さんは病室での暮らしをユーモラスに絵日記にしてしまう そんなほのぼのとした絵日記に救われる龍一さん。 ホスピス病棟の生活の中でささやかな喜びを見つけたのだ。 貴子さんは、つらい事もこうして茶化してしまう自分を、 「弱虫なんだよね」と言うけど、わたしはそうは思わない。 こうして絵日記の形で、ユーモラスに記録する作業をすることで、 つらい現状を弱体化させているんだと思う。 彼は生きる事への希望を捨ててはいない しかし病状は悪化して、身体は日に日に衰えていく 妻は愛する夫との時間が残り少ない事に、あせりを感じずにはいられない。 もっと二人で話しておかなければいけないことがたくさんあるのに!と。 ホスピスでの生活の意味は、 そこまで来ている「死」という現実を静かに受け入れ、 残された時間を愛する人と思い残す事がないように心の準備をするところ そしてそれを支える人には、近づいた「喪の仕事」の準備なのであろう。 70日間のホスピス生活の末、龍一さんは静かに息をひきとる。 貴子さんの手元には70日間のホスピスの絵日記が残った。 貴子さんは龍一さんが亡くなったとき、 「今まで一度も感じた事のないような感覚、身体がふわっと包まれたような 龍一さんがお別れの挨拶にきたんだな」と確かに感じたのだという。 生命を受けたものは生まれたその瞬間から死へと歩み始めている。 それは、誰にも止められない。 ただ人の心の中に思い出として確固たるメッセージを残すことができる。 それが人間なのだと思う。 こたつでうたた寝している夫の横で、わたしはこう言ってみる。 「わたしが癌だとわかったら告知してほしい 生きているうちに思い残しがないようにしていきたいから」 「ホスピス病棟に入れてほしい。 死ぬまでの時間をあなたに、私のそばについていてほしい」と。 |