THE 留学
 
ホームシック 〜第九章〜
    私たちと離れてく暮らすようになってから、     息子は私たちの体の事を異様に心配した。     離れて暮らす事で、常に自分の家族の安否が     気になりだしたのだろう。     人間の「死」の観念についても、あれこれ考えていたようだ。     彼は、私たちが無理をしないようにと     当時私たち家族に約束の10ヶ条みたいなものを作た。     第三条は「働きすぎないこと」だった。     いつも自分本位だった日本での彼とは明らか変わった。          わたしは、彼が送ってくるファックスの内容を     あまのじゃくでなかなか本音をみせない、     彼の本当の気持ちが、文字の行間にあるのではと     何度も何度も読みなおした。     この頃息子は電話口でよく泣いた。     わたしも慰めながらいっしょに泣いた。     夜寝床に入ると、今ごろあの子は、     泣ききながら眠りに就いているのだろうか、     そう考えると、途端にたまらなくなり、布団をかぶって泣いた。         わたしの泣いている声に気がつくと、夫はよく、     「あいつは大丈夫や、いつまでも泣くな」     といって慰めてくれたが、     慰められると、余計に悲しくなったものだ。     泣いても悲しくても、また朝がくる。     がんばれ、息子。     ママは、いつもあなたのことを思ってる。
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