ジェンダー






「そういえばスカーレルって
男性専用の装備も女性専用の装備も両方装備可能なんですよね」



始まりはそんな一言。
いつもと同じになるはずだった、普通の昼下がりだった。



「そうよー。便利でいいでしょ」

「はい!なんかお得って感じですよね」

「お得、ねえ・・・・」



テーブルを囲んでの昼食。
早々と食事を済ませたカイルとソノラとヤード以外の3人。
とどのつまりアティとウィルとスカーレルの3人は、食後のお茶で団欒を楽しんでいた。
といっても、楽しんでいるのはもっぱらアティとスカーレルの二人であり、
その横で静かにつっこみをいれるのがウィルの会話の加わり方ではあったが。



「男の人しか装備出来ないものの中にも、良いものってありますからね。
ちょっと悔しいなって思うときが、たまにあるんですよ」

「確かにねー。何で装備に性別の区別なんてあんのかしらね。
面倒なだけだってのに」

「そうですよね。
みんなスカーレルみたいだったら、区別を考えずに済むから簡単なんですけど」



そう言って、まだ暖かいお茶をぐいっと喉に流す。
話の流れやノリからすると、完全に冗談の部類に入るのだが、
飲み終えたカップを両の手で包み、空になったそれを神妙な顔でアティが見つめたとき。
その横顔に、かの生徒は確信的な嫌な予感を確かに感じた、らしい。



「・・・・・みんなスカーレルみたいだったら便利ですよねー・・・・・・」

「ダメですよ」



至極真面目に静かに呟いたアティに、ウィルの厳しいつっこみが即座に入った。



「でも、便利だと思いませんか?」

「思いません」

「ウィル君も、女性専用装備がうらやましいと思ったこととか」

「ないです」

「そうですか?私はあるんですけど・・・」

「知りませんよそんなこと」

「でも、試してみる価値はあると思いますよ」

「そんな必要がどこにあるんですか」

「物は試しと言いますし」

「ダメです」

「別にウィル君に強制するつもりはないですよ?」

「当たり前でしょう」

「まずは私が・・」

やめてください

「え、でも・・・・」

「絶対ダメです」

「案外似合うかもしれませんよ?」

「似合う似合わないじゃなくて・・・・」

「そうよねー。先生元がいいんだから。結構似合っちゃったりするかも」

「ほら、スカーレルもああ言ってます」

「ちょっ・・!面白がってあおるのは止めてください!!」

「まずは何から始めればいいんですか?」

「そうねー。手っ取り早いのは男装することだけど・・・。
服が、ね。ここじゃ調達することも出来ないし。
カイルやヤードのじゃ、いくらなんでもサイズが違いすぎるでしょ?」

「何勝手に話を進めてるんですか・・・・!」

「ウィル君のじゃ少し小さいかもしれませんね・・・・。
あ、ミスミさまに一度相談してみましょうか」

「なんでそこで諦めようととしないんですか貴方は!
スカーレルさんも、止めてください!」

「だって、便利じゃないですか」

「だぁーって、面白いじゃない」

「・・・・貴方達は・・・・・本当に・・・・・」

「じゃ、さっそくミスミさまのところへ行きましょうか」

「ダメです」

「一度試しに聞いてみるだけですから」

「ダメなものはダメです」

「・・・・どうしてそこまで反対するんですか?」

「どうしてって、それは・・・・」

「あーら、ウィル。さっきまでの威勢はどうしたの?」

「う・・・・そ、それは・・・・・・」

「ほら、どうしてですか?言ってくれないとわかりませんよ?」

「い、今のままで十分だから、です。その、無理して男装なんかしなくても・・・・・・
・・・・・・・装備はいくらでも、ありますし」

「ふーん。装備が、ねぇ・・・・」

「な、何ですか」

「べっつにぃー?」

「それは・・・・確かにそうかもしれませんけど」

「だ・・だいたい、性別の区別がある装備なんてそう数があるわけではないでしょう。
そんなことに時間を割くくらいなら、もっと他にやるべきことがあるんじゃないんですか」

「・・・・・・・・わかりました。諦めます」

「そうしてください」

「あーあ。つまんないの」

「スカーレルさん・・・・」

「あ、はは。冗談よ冗談。だからそんな顔して睨まないでよ」

「まったく・・・・。疲れるよ、本当に」




やっとの思いで企みを阻止したウィルが、脱力するようにぐったりと肩を落とす。
その隣で、便利なのに・・・・・と悔しそうに呟いたアティの言葉を聞き、
二次災害を未然に防ぐべく、あらかじめ手を尽くしておくことを決意したと後にウィルは語る。




終わっとけ

男装なんかしてない、今の貴方で十分ですよ。つまりはそういうことです。
てか、スカーレルが男女両用だと気づいたときにはウケました。オカマって便利!
どこかですでに扱われてそうなネタですが、気にしないことにしました。
タイトルはちと使い方間違ってる気も。女らしさ、男らしさ、そういう意味です。

ちなみに。
台詞が長々と描写をはさむことなくつづられているのは、
ギャグはテンポが命だからなのであって、決して描写入れるのがめんどうだったからじゃないですよ。
本当ですよ。本当。強調するたびに嘘くさくなっていくのは何故だろう・・・・本当ですよ?しつこい。

(2004.3.28)


ぶらうざばっく