大雨を降らせた黒い雲が去ると、真夏とは思えないほどの涼しい風が残った。
いつもよりずっと強い風が髪をさらっていくのを、手で押さえながら歩く。道は、一本道。
「毎年よくやるなあって、正直思う」
若干雲が残る空を見上げながら、道端に転がっていた石を蹴飛ばしてそう言う。
少し後ろを着いて歩く水鏡が、遠くを眺めていた視線をこちらに移すのがわかった。
「さすがにさ、毎年恒例でやってたらあいつらが何してんのかくらいわかるのにね。
わざわざ烈火の家に近づかないように見張りなんか立てなくてもさ」
「・・・・・・・・」
「用意が終わんないうちに覗きに行ったりなんかしないのに。何心配してんだか」
「・・・・それでも」
「ん?」
「わかってても、その用意が終わるまで一人で居るのは寂しいんだろう?」
「・・・・・・ま、ね」
「お見通しはお互い様だ」
「それは失礼しました」
おどけたようにそう言って、笑う。
こつん、と。また、つま先が石を弾いた。
「本当。昔っから変わんない」
「烈火がか?」
「土門も柳もみーちゃんも。皆」
「お前もな」
「風子ちゃんたちはもう高校を卒業しちゃったってのにね」
言いながら、何かを思い出すようにふふと笑った。
「全然変わんないんだもんなあ」
そう、嬉しそうにつぶやいた。
高校を卒業して半年後にやってきた19歳の誕生日。
出会った時から変わらない、びっくりパーティが、このあと私を待っている。
「幸せだなーって、思うよ」
「変わらないことがか?」
「うん、ずっと続いたらいいなって思う」
こんな日々が終わらないように。幸せなときがいつまでも続くように。
「案外簡単に続いていくような気がしないでもないがな」
「でも柳は料理が上手になった」
「は?」
笑い飛ばして賛同されると思っていた言葉への思いがけない風子の返事に、一瞬応対が遅れる。
目をやると、彼女は表情も無く空を見上げていた。決して歩みは止めることなく。
「烈火は花火職人名乗るようになったし」
「・・・・・・」
「土門は前よりもっと花に詳しくなった」
「それがどうかし」
「変わんないって言ってもさ。やっぱ、どっか変わってるんだよ」
「・・・・・・・・それは、当然・・・・・だろう?」
「うん、知ってる」
あっさりと、笑顔でそう言った。どこか、拍子抜けした。
「何が言いたいんだ、何が」
はあ、とため息をつきながらそう問う。
からかわれたような気分になった。そんな彼を、風子が楽しそうに見ている。
「別に落ち込んでるんじゃないよ」
「だろうな」
「逆。嬉しいの。幸せ」
「だから何が」
「変わったのに変わんないから」
「あのな・・・・」
「私達は変わったのに、『私達』は変わんない」
変わっていく環境の中で、少しずつ変わっていく私達。
けれどその中で、『私達』という輪は変わらない。
「これってやっぱ、すごいことだと思うんだよね」
「どうだろうな」
「素直にそうだって言えばいいの!だって今日は私の――」
「誕生日だから、か?」
「そ。今日の主役は風子ちゃん」
「・・・・・・そろそろ行くか」
「無視するなー!!」
腕を振り上げながら、風子が怒って、笑った。
真っ直ぐだった道を右に折れると、それは烈火の家まで続く道。
長い年月で家が建て変わったり、空き地がなくなったりしたけれど、
道だけは変わらず、ずっと烈火の家に続いているのだと昔言っていた。
この道は、僕達だ。
変わり行く日々の中、変わらないものが、道の先に待っている。
FIN.
いやあ、夏ですね(何その第一声)
大丈夫ですよ。ご安心。どうせ小説なんて、見る人によって読む時間なんて違うんだから。
例え誕生日に2日遅れてアップしてたって問題なし☆(反省しろ)
それでもちゃんと上げたんだから褒めて・・・・許して・・・・・(ガタガタ)
復活第一作目はやっぱ水風で。
夏休みにも入ったことだし、ちょっとは更新頑張ろう。
ネタだけはたまってるんですよ。探したらルーズリーフ3枚分くらい出てきた。
講義中の努力の賜物です。ぼちぼち書いていきますんで、レポート仕上げるまでもうちょい待ってください(またかよ)
(てゆかこれ、本当に誕生日祝いの小説なのかどうかわかったもんじゃねえ(言うな))