「烈火のあの髪はアンテナだと思うんだよね」
至極真面目に呟いた風子の突飛な言葉に、危うく飲んでいたコーヒーを吹き出しかけた。
「どこで何してても、柳に何かあったときはすぐ飛んでくるじゃん?
絶対アンテナで受信してんだって」
「受信って、おまえな・・・・」
むせたため詰まる息を整えながら、真面目な顔をして言う風子につっこみをいれる。
確かに烈火のあの逆立った髪はアンテナを思わせるようなところがないわけではないが・・。
「それを言うなら小金井もじゃないか?」
「そうそう、カオリンもアンテナ!あと土門もね」
「あのな」
「だーってさ、カオリンも土門も髪ピンピン逆立ってるし」
「それはそうだが・・・」
「それに、2人とも結構人の感情に敏感だし」
「土門もか?」
「意外とね」
何気にひどいことを言っていることにお互い気付いて、顔を見合わせて笑う。
今頃あいつらは、風子がアンテナだと称するあの髪で、
ここでこんな話をしていることを受信して察していたりするのだろうか。
そんなことを思って、くだらない考えをまた笑った。
「僕に言わせれば、お前の髪もアンテナだがな」
「何でさ。風子ちゃんのさらさらヘアーのどこがアンテナだっての?」
「ここ」
そう言って、手を伸ばして風子の髪を一房手に取った。
ゆっくりを手を引くと、さらさらと手の内から零れ落ちる綺麗な髪。
「人の感情に敏感なのは、お前も同じだろう」
「・・・そう?」
「そうだ」
「でも、それはみーちゃんもだよ」
「そうか?」
「意外とねー」
はぐらかすようにそう言って、冗談めかした笑顔を浮かべた。
「みーちゃん、すぐに私の考えてることとか当てちゃうしね」
「おまえはすぐに顔に出るからな」
「じゃ、今私が何考えてるのか当ててみてよ」
「『腹が減った』」
「・・・・・・・・・・・」
「当たったか?」
「・・・・くそう。なんか負けた気分だ」
「すぐ顔に出すからだろうが」
「やっぱデータ受信してんじゃないの?」
言いながら立ち上がり、買い物に行こうと言って手を引いた。
もし僕がデータを受信しているというのなら、発信しているのは風子自身だ。
僕らは、お互いアンテナを装備していることになる。
それはそれで、おもしろいかもしれない。
そう思っていると、横の風子が僕を見上げて何やら嬉しそうに笑っていた。
どうやら、考えていることは見事受信されているらしい。
ピピピ。電波を受信しました。
大切な人が貴方のことを想っています。
FIN.
ピピピ電波。ピピピ。・・・目が痛い・・!