頭が悪いわけではないが、勉強が得意かといえば絶対にそうとは言えない。
そもそも勉強なんて学生の間しか必要のないものだし、
数学だ国語だ英語だなんて、成人してから使う場面なんてごく限られているのだから。
だから例え勉強が出来なくても後で後悔なんか絶対しない!・・・とは思いつつも。
試験前になればやっぱり勉強しなきゃなあと思ってしまうあたり、学生とは難儀なものだなと思った。
「今私、みーちゃんがいて良かったって心底思ってる」
「僕をおだてたところで問題が解けるわけじゃないだろう。次、問3」
2回目のご指南を受けたところでやっと正解した数学問2の問題にさらりと赤ペンで丸を付け、
問3の問題をシャーペンで突きながら水鏡が言った。
こちらから勉強をみてくれと頼んだ手前文句は言えないが・・・・さすが容赦ない。
「なーんでわかんないのかねえ・・・・・」
「僕が知るか。・・・・これはさっき使った公式が使えるな」
「さっきのって?」
「自分で探せ」
「いじわるー」
言って、すねたように頬を膨らませた。呆れたように水鏡がため息をつく。
シャーペンの先が、こんこんとさきほど解いた問題を指した。
「数学もしょせんは暗記の世界だ。一度パターンを覚えれば、数値が変わっても解ける」
「そんなもんかねー・・・・」
「公式は覚えてるか?」
「えーっと・・・・・・・・これ?」
必死で目を走らせて、水鏡が書いたらしい走り書きの公式を見つけ出す。
水鏡が、そう、と一言呟いた。
「なら、これも解けるな?」
「・・・・・・・・・・」
「悩むよりまず手を動かせ。そのうち筋道が見えてくる」
「そんな軽く言ってくれるけどさー」
「公式の意味はわかるな?」
「・・・・・・なんとなく」
「なら、解けるな」
疑問系だった言葉が、今度は確信を帯びていた。
何を根拠にそう言っているのか、どうにも理解しがたい。
解いている本人は、目の前でこんなにも苦しんでいるというのに。
「答えと解き方も一緒に教えてくれればいいのに。みーちゃんのいじわる」
「僕は生きた模範解答でも何でもないんでね」
「でも答え知ってるじゃん」
「教えたらおまえのためにならないだろう」
「ヒント!」
「さっきの問題で使った公式」
「それはもう聞いたー」
だだをこねるような口調になっても、水鏡は態度を変えなかった。
ヒントを増やすこともせず、もちろん答えを教えることも。
「わからないと言ってだだをこねるのはいくらでも出来るだろう。
その前に、出来るところまでいって、詰まってから泣き言を言え」
「容赦ないなあ・・・・」
「当たり前だ」
「みーちゃんは私にこれが解けると思えるわけ?」
机に突っ伏すような形で、見上げるようにそう聞いた。
すました表情が、無言で何かを伝えていた。
もし言葉がついていたなら、こう言っただろう。当たり前だ、と。
「サルでない限りはな」
実際に出た言葉は、とてつもない嫌味。
けしかけるような言葉の裏にあるのは、素直でない「おまえには出来る」という確信だ。
いじわる。
囁くように言って、ペンを動かし始める。
彼女が、笑った。
FIN.
「出来る」って信じてもらえているのは嬉しいことなんじゃないかということ。
ようするに「あんたも頼みがいの〜」らへんを再現したかったんです。
出来なかったんだけどね(お約束)
うっかり昨日寝てしまいましたよ!おそるべしバイト疲れ!(死)
もう明日発売なんですって。楽しみですねー。
私明日バイトでゲームなんて出来ないけどね!(くそう!)
(2004.6.9)