PM2:58







家事というのは結構忙しい。
朝から晩までやらなければならないことはたくさん。
掃除洗濯炊事に買い物。
昼食後のひと時も、そうそうのんびりはしてられない。

でも、今日はちょっとだけ。

暖かな気候に誘われるように、陽炎は日の当たる公園のベンチに腰を下ろした。





昼下がりの公園は子供の数が多い。
砂場や滑り台で遊ぶ子供達の楽しそうな声が、公園いっぱいに広がっている。
日曜日の公園は、平日と違い親子連れで来る人も多い。
ふだん目いっぱい遊べぬ父親とはしゃぐ子供の笑顔は、見ているだけで幸せな気分になれた。


財布と買い物リストの入ったかばんを脇において、顔を上げて空を見る。
どこまでも広がる青空、たまに流れる白い雲。鳥の姿。
そよぐ風は穏やかで心地よい。なんて気持ちのいい昼下がり。



「・・・・・・・良い天気」

「そうだな」



独り言のつもりで呟いた言葉は、思いがけず返事が返った。



「水鏡君」

「買い物か?」



目の前に立ったのは、言った通りの人物、水鏡。
見たところ手ぶらのようではあるが、どこかにでかけるのだろうか。



「どこかへおでかけ?」

「買出しに行くだけだ」

「あら、じゃあ同じなのね」

「僕は別に寄り道してるわけじゃないがな」

「ふふ・・・・でも良い天気よ」



軽く嫌味のこもった、冗談めいた水鏡の言葉に笑顔で返す。
少しずつ傾いてきた太陽が水鏡の後ろで光って、眩しくて目を細めた。



「せっかくだから、一緒に行きましょうか?」



そう言って、立ち上がろうとかばんに手をかける。
しかしそうするより先に、ベンチに、陽炎の隣に腰をかけた。



「まだ時間はある」



言いながら、陽炎にも見えるように腕にした時計を掲げた。
アナログの時計が指しているのは、PM2:58。



「寄り道に付き合ってくれるの?」

「特に用はないからな」

「そう・・・・じゃあ」



しばらくこうしていましょうか。
見上げた空はまだまだ青い。

天気のいい日。
昼下がり。



FIN.

水陽。久しぶりすぎ。