家事というのは結構忙しい。
朝から晩までやらなければならないことはたくさん。
掃除洗濯炊事に買い物。
昼食後のひと時も、そうそうのんびりはしてられない。
でも、今日はちょっとだけ。
暖かな気候に誘われるように、陽炎は日の当たる公園のベンチに腰を下ろした。
昼下がりの公園は子供の数が多い。
砂場や滑り台で遊ぶ子供達の楽しそうな声が、公園いっぱいに広がっている。
日曜日の公園は、平日と違い親子連れで来る人も多い。
ふだん目いっぱい遊べぬ父親とはしゃぐ子供の笑顔は、見ているだけで幸せな気分になれた。
財布と買い物リストの入ったかばんを脇において、顔を上げて空を見る。
どこまでも広がる青空、たまに流れる白い雲。鳥の姿。
そよぐ風は穏やかで心地よい。なんて気持ちのいい昼下がり。
「・・・・・・・良い天気」
「そうだな」
独り言のつもりで呟いた言葉は、思いがけず返事が返った。
「水鏡君」
「買い物か?」
目の前に立ったのは、言った通りの人物、水鏡。
見たところ手ぶらのようではあるが、どこかにでかけるのだろうか。
「どこかへおでかけ?」
「買出しに行くだけだ」
「あら、じゃあ同じなのね」
「僕は別に寄り道してるわけじゃないがな」
「ふふ・・・・でも良い天気よ」
軽く嫌味のこもった、冗談めいた水鏡の言葉に笑顔で返す。
少しずつ傾いてきた太陽が水鏡の後ろで光って、眩しくて目を細めた。
「せっかくだから、一緒に行きましょうか?」
そう言って、立ち上がろうとかばんに手をかける。
しかしそうするより先に、ベンチに、陽炎の隣に腰をかけた。
「まだ時間はある」
言いながら、陽炎にも見えるように腕にした時計を掲げた。
アナログの時計が指しているのは、PM2:58。
「寄り道に付き合ってくれるの?」
「特に用はないからな」
「そう・・・・じゃあ」
しばらくこうしていましょうか。
見上げた空はまだまだ青い。
天気のいい日。
昼下がり。
FIN.
水陽。久しぶりすぎ。