ハラハラ 舞って

静かに 落ちて

君の傍に落ちて 形を残して

君の肩に落ちて 少し溶けて その場に残って




止まなくて 降り続く中

冷たい風も 気にしないで

ハラハラ舞う 雪のように

君も舞って 嬉しそうに笑う

 













   





 








「キール見て見てー。雪だよー!」


テントを飛び出すや否や、空から舞い落ちるそれに気づいて、
メルディが嬉しそうに声をあげる。


「雪!?道理で寒いと思った・・・」


続いてテントを出て、キールが体を震わせ、
うんざりしたように呟く。



ハラハラ舞って
君も舞って 楽しそうに笑って
寒さも忘れて 君が舞って




『雪』というものに、あまり嬉しそうな様子をしない、
まして嫌そうに何かを呟くキールに、首をかしげて問う。


「寒いか?」


「え、い、いや。その、別に・・・そんなことは・・・」


先ほどの自分のセリフを棚に上げて、あたふたと弁解する。
そんな彼の言葉を、特に疑いもしないで、
また、メルディが笑う。



ハラハラ舞って
君も舞って 楽しそうに笑って
寒さも忘れて 君に見入って



駆け寄ってきたクイッキーも加わって、
更に、はしゃぐ。


「セレスティアが雪、すぐに積もるよ。
 雪だるまして遊ぼうな!」


「・・・・」


軽やかに跳ねて、にこやかに笑って、
楽しそうに言う。



ハラハラ舞って
雪と一緒に 君も舞って
僕も思わず 君に見惚れて



自分の問いには答えず、遠くのほうを見つめた風に
微動だにせぬキールを見て、頭にうえに疑問符を浮かべる。


「・・・キール?」


「え?あぁ、その・・・。そう・・・・だな」


はっとしたような表情をして、あわてふためいて答えるキールを、
今度は少しだけ、不思議に思ったけれど、
それ以上、気にはしないで、メルディがまた微笑む。


「本当だな?約束約束ー♪」


「わ・・・わかったよっ」


また強くなった雪が、風に吹かれて、横に流れる。
いつもなら寒いのに、もっと、寒いのに。
何故だか今日は、暖かかった。











ハラハラ 舞って

静かに 落ちて

君の傍に落ちて 形を残して

君の肩に落ちて 少し溶けて その場に残って




止まないで 降り続けて

雪と共に舞う君を ずっと見ていたいから

ハラハラ舞う 雪のように

君も舞って 笑って 僕も笑う







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