ハラハラ 舞って

静かに 落ちて

私の横に落ちて 溶けて消えて

私の肩に落ちて 少し残って また消えて




止まなくて 舞いつづけて

気付かれること無く 溶けて消えて

私の横に落ちて 溶けて

私の傍に落ちて 溶けて また降る




















「まだ早いのに・・・。ずいぶん暗いわね」


暗い雲に覆われた空を少しだけ見つめて、まだ黙る。


「あぁ。そうだな」


少しだけ困ったように悩んでから、短く言葉を返した貴方を見て、
気付かれないように、小さく笑う。



ハラハラ舞って
少しだけ降って 落ちて
気付かれることなく 溶ける




ごく少量のそれが、目の前を、周りを、
ほんの少し風に吹かれて、ゆっくり落ちる。
ずっと止まなくて。少しだけ、降って。


「やっぱり、寒いわね。・・・綺麗だけど」


「あぁ、久々の雪だしな」


歩き出そうとする私を気にも止めず、貴方が空に手を伸ばす。
手を伸ばして、ゆっくり広げて、それを拾って、でも、残らなくて。



ハラハラ舞って
貴方が拾って でも溶けて
残ることなく 消える



少しだけ残念そうな貴方を見て、少し笑う。
それに気付いた貴方も、照れたように、笑う。


「・・・寒いな」


「そうね」


冷たい風を身体で受けて、白い息を吐いて、答える。
一度、私が呟いた言葉を再度言いなおした自分に呆れた様に、
視線を泳がす貴方を見て、私も視線をそらす。



ハラハラ舞って
少しだけ降って 落ちて
少しだけど 止まなくて



少しだけ降って。でも、何故か止まなくて。


「明日、どうなってるでしょうね」


「どーだろうな」


また風が吹いて、空気が動く。
少しだけ身震いして、空を見上げて、また黙って。


「・・・行きましょうか」


「そうだな」


風が吹いて、木が揺れて。
葉が落ちて、音を立てる。









ハラハラ 舞って

静かに 落ちて

私の横に落ちて 溶けて消えて

私の肩に落ちて 少し残って また消えて



ハラハラ 舞って

気付かれることなく 溶けて

でも 誰かは気付いていて

それに気付いて 溶けて 消える




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