ハラハラ 舞って
静かに 落ちて
自分の横に落ちて 溶けて消えて
自分の肩に落ちて 少し残って また消えて
止まなくて 舞いつづけて
空に染まって 自らを変えて
自分の横に落ちて 積もって
自分の上で舞って 染まって 自らを変えて
雪
「寒いわね」
そう呟いて、自分に暖かな笑みを向ける。
「・・・・あぁ」
そっ気無く返す言葉に、また微笑んで、空を見上げる。
雪を見て、空を見て、また白い息を吐く。
ハラハラ舞って
空から舞い落ちて 溶けて
また降って 落ちて
積もるとは思えないほどの雪が、静かに舞い落ちる。
止まなくて、ずっと落ちつづけて、止まなくて。
見上げる先の空が、灰色に染まって。
雪が、それに染まる。
「雪が、染まってるわね」
「そう・・かもな」
白を背負うことなく、空に色を任せて、雪が落ちる。
雲が覆う空は、時間の経過がわからぬほど、変わらなくて。
色も、ずっと変わらなくて。でも、綺麗で。
ハラハラ舞って
空の色に染まって 落ちて
少し溶けて また落ちて
手を広げて、雪を拾って。でも溶けて、残らなくて。
また拾って。溶ける。
「・・・綺麗ね」
「・・そうだな」
白を背負う事はなくて、空に色を任せて、灰色に染まって。
でも、綺麗で。とても綺麗で。
吹雪いてはいない。でも、それしか見えなくて。何も、見えなくて。
ハラハラ舞って
空から舞って 落ちて
少し溶けて 積もる
少しずつ暗くなり始めた道の人通りが、少なくなってくる。
「積もるかしらね」
「・・さあな」
また少し微笑んで、手を温めて。
風が吹いて、少し身震いする。
「・・・帰るよ」
「えぇ・・さようなら」
また風が吹いて、少し木が揺れて。
葉が落ちて、また吹かれる。
雪が落ちて、また舞う。
ハラハラ 舞って
静かに 落ちて
自分の横に落ちて 溶けて消えて
自分の肩に落ちて 少し残って また消えて
ハラハラ 舞って
空から落ちて 灰色に染まって
雪も染まって でも綺麗で
雪が染まって また落ちる