先週のあらすじ(爆死)**
最終砦の扉が破られ、子ヤギ達大ピンチ!
さあどうなる子ヤギ!どうなる狼!
原作通りに終わると思ったら大間違い!(死んで来い)











誰が待ってるか知らないけど、とりあえず作者は楽しくて仕方ない

狼と七匹のやぎっ子










「素直に開けないのなら、突き破るだけだ」


立ち昇る煙が全て消えた後、
すっかり焼けて、灰になってしまった扉の向こうの狼が不敵に言いました。


「てめぇっ・・・狼はちゃんと小屋の子ヤギにドアを開けてもらうもんだって、
相場は決まってんだぞ!!」


小屋の扉を壊されたことより、
原作通りに話が進まない方が問題なのか。
というような、誤解を招きかねない烈火ヤギの言葉に、
(何故かはわからないけど)子ヤギ達は全員同意し、互いに頷き合いました。

狼は少しだけ拍子抜けしたらしく見えましたが、
すぐに立ち直り、言いました。


「・・・・・それほどまでに原作通りを望むなら、
お前達全員丸のみにしてやろう」


いや、それは無理だろ。なことも、
メルヘンの世界では何でもアリ☆なので、子ヤギ達は必至で対処法を考えました。

中には、
『くそっ・・・オレ達は6人(匹?)しかいねーから、
1匹残って母ちゃんに知らせる・・ってことができねー!!
ちくしょー、(顔も知らない)兄貴は何やってんだよ!!』
などと、あくまでも原作にこだわる子ヤギもいましたが、
ほとんどの子ヤギが戦闘態勢に入っていました。


「やるしかねーのか・・・・」


少し辛そうに(嫌そうに?)土門ヤギが呟きました。

――と、同時に!!!





がいんっっっ




鈍い金属音が辺りに響きました。


「なっっっ!!??」


子ヤギ達が驚きの声をあげると、
狼はゆっくりと、どさり。と音を立てて崩れ落ちました。


「あら?みんなどうしたの、こんな所に集まって・・・・」


崩れ落ちた狼の後ろから顔を出したお母さんヤギが、
のんきにそう言いました。


「母ちゃん、遅かったなー・・・・・って、そうじゃねぇっ。
そ、その手のフライパンは・・・・・・?(汗)」

「え?これ?
なんだか今日は必要な気がしたの(笑顔)」


冷汗だらだらの子ヤギ達の質問に笑顔で答えつつ、
お母さんヤギは(少しへこんでるけど)新しいフライパンを掲げて見せました。


「へ、へぇー・・・・・・(汗)」

「ところで、この人(?)が狼さん?」


同じく冷汗だらだらの風子ヤギの呟きを軽く受け流し、
お母さんヤギは、たった今殴って気絶させた狼に歩み寄りました。

今更確認するってことは、もしや考え無しに殴ったの!?
・・・なんて思った人もいるかもしれませんが、
我が身が可愛いなら、忘れた方が良いでしょう(待て)
ともかく、


「陽炎さんがもう少し遅かったら、私達食べられちゃってましたよ」


ほっとしたように言った柳ヤギの言葉に、
お母さんヤギは顔を上げて、子ヤギ達の人数を数えはじめました。


「・・4・・・5・・・6・・・。みんないるのね、良かった・・・。
なら、こんな本、必要なかったわね(笑顔)」



どさぁっっっ


買い物カゴの中から分厚い本を1冊取り出し、
それを机の上に置くと、お母さんヤギは台所へと入っていきました。



「ね、ねー・・・・こ、この本・・・・・(汗)」


机の近くにいた小金井ヤギが、
お母さんヤギが置いていった本を指差し、何とも言えない表情をしました。
不思議に思った子ヤギ達は、恐々とその本の題字に目をやりました。



『解体新書』



「・・・・・・・」

「・・・・・・・」



母ちゃん、もしかして・・・・。オレらが食われるって予想・・・してたのか・・・?


余りに用意の良すぎるお母さんヤギに、
子ヤギ達は恐怖を覚え・・・ある意味哀しくなりました。

一家の今後のため、本の滅却を誓った子ヤギ達は、
ずっと無視していた狼も連れて、小屋の裏手の井戸に向かいました。



「んじゃ、俺ら一家の平和と、世間の平和のために、
狼と本には沈んでもらうか」


犠牲の割には規模の小さい平和だな。とは言うなかれ。
そんなものでも、子ヤギ達にとってはとても重要なことだったので、
そのことについて、誰も文句は言いませんでした。




ひょい――ぱっ

ひゅるるるるるるる〜〜〜〜――――・・・ちゃぽ・・・ん・・・




水面に消えた本に別れを告げ・・・・さぁ、次は狼の番です。


「ん・・・・しょっ」


狼はさすがに重いので、
子ヤギ達は3人がかりで井戸の裾へ運びました。
そして―――・・・・



ズルッ ズルッズズズ(引きずってる) ぐぐぐぐぐ(持ち上げてる)

ひぅ――――――――(落ちてる) どぼんっっ(沈んだ)



ぶくぶくぶく―――・・・・・・(さらに沈む)



以上の一連の動作を、子ヤギ達は無言で見つめていました。
狼が沈んだ後、水面が穏やかになってから、くるっっ。という効果音をつけて、
烈火ヤギが振り返りました。


「これで俺らの平和を脅かす悪者(わるもん)は滅びた。
つーわけで、万歳三唱ぉーーーーっっ!!」


ばんさーいバンサーイばんさーい・・・・・
(約1名除き)子ヤギ達の万歳の声が、森中に響き渡りました。





ざばぁっっっ ――― ばさばさっっっ ――――― ぬっっ・・・・・・・




「“ざばぁっっ”?」

「“ばさばさっっっ”?」

「―――・・・・・“ぬっっ”?」



謎の効果音をご丁寧にも復唱しつつ、
子ヤギ達は恐る恐る振り返りました。


「―――――あっ。」


井戸から伸びた手。紅い羽根。仮面に隠れた顔。
・・・・・思わず声を上げた子ヤギ達を見て、
それは『にたぁ――・・・・・っ』と気味悪く笑いました・・・・



ぎっ・・・・・







「ぎゃあああぁぁぁあぁっぁあっ――!!」







おしまい





モドル