[[[ MY DEAR ・ MY LOVE ]]]









「バレンタインだねー」




澄み渡る空の下、学校内で一番高いその屋上にて。
隣でうんざり、という風に疲れきっている水鏡に向けて、今更の言葉を風子が呟いた。


2月14日。世間一般バレンタイン。

数日前から学校は浮かれていて、大半の女子はこの日を待ち侘びていた。
日頃からの『ありがとう』の気持ち。胸に秘めた『好き』の気持ち。
別段、言うべきは今日、というわけではもちろんなかったけれど、
それは1つのきっかけとして、彼女達に、勇気を与える。






「で、みーちゃんの今年の収穫はいくつなのかなー?」


「嫌味のつもりか・・・」



まるで子供に問うようにおどけてそう言うと、
水鏡は深いため息をついて、それだけ呟き、黙り込んだ。



只今時刻はお昼過ぎ。


平穏と安息を求めて屋上に逃れてくるまで、時間はゆうに3時間から4時間ほどある。
そのほとんどが授業だとは言うものの、もちろん間に休憩というものは存在して。
そして、その間、押しかけてくる人間は少なくなくて。むしろ多くて。
こちらの意思などおかまいなしに、渡すだけ渡して去っていく。

・・・こういうとき、人間というのは何より恐ろしく強いのだ、と身をもって痛感した。


まあそんなわけで、風子の言う『収穫』は、底無しに増えつつあったのだった。








「よかったじゃん。当分甘いものには困れそうもなくて」




くすくすと笑いながら言う風子に、何やら言いたげに水鏡が顔を上げる。
しかし、しばらく風子を見つめた後、何かを諦めたようにはーっと息を吐き、
そして、再び顔を伏せた。

その様子を見て、風子がまた楽しそうに笑って。
そして、水鏡の隣に座り込む。




「ちなみに、全部でどれくらい?」




まるで自然に風子がそう言って、興味ありげに目を輝かせた。


ことごとく会話の内容がバレンタインから離れない彼女の態度に、
根底には悪意があるのではないかと一瞬思いながらも、
記憶を辿って量を確かめようとして―――しばらくして、止めた。




「―――・・・数える気も失せる」




そう言って、深いため息をついた。


いったいどう処分すればいいのだろう。さすがに捨てるわけにはいくまい。
かといって、自分で食べきる自信もない。誰かに横流すにも限度がある。

そんなことを考えると、頭まで痛くなって。


隣で笑って、モテる男は辛いねぇ、などといって、
この状況を楽しんでいる風子が、余計に恨めしかった。
























「あ――――・・・でも、さ」
















しばらくして、笑うのをやめた風子が、少しためらいながらそう切り出した。

















「そんだけ貰ったんなら、あと1つくらい・・・増えたって変わんないよね?」


















そう、風子が言った後、水鏡が顔を上げるより先に、
彼の頭の上に、何かが降り注いだ。



















「風子ちゃんの初チョコ。―――ありがたく受け取んなよ?」

















ちなみに、こっちは私の。

そう言って、風子が水鏡に渡したものと同じ板チョコを目の前で軽く振って見せ、
やっと自分に落ちてきたチョコを確認した水鏡の手の内のそれに軽く当てた。



「乾杯」



少し照れくさそうにそう言って、風子がチョコを口に運ぶ。
どうやら、今食べろ、と言っているらしいことに、水鏡がため息をついて、
そして、1つ欠片を口に放り込んだ。

チョコレートは、ビターと言えども、やはり甘かった。


















カタチに出来ないいろんな想い


本当は、モノに託すの、あんまり好きじゃないけど


せっかくのこんな日だから






私の好きな人へ






想いを込めて










FIN.


間に合ったーーー!!!(待て)
絶対絶対絶対これだけは書きたかったのよ!!
タイトルお気に入りだから!(待てや)
ちなみに、「MY DEAR」も「MY LOVE」も、
「私の好きなもの」だと思ってください。stmimiは英語ニガテです(死)
いやー、初めてかも。自分で英語のタイトルつけたの(笑)

つーわけで、水風バレンタインでした。
3年?近く水風やってて、初V.D.かもしれない(死)
ちなみにW.D.の予定はありません(再死)

ガッコで、Wの時間急ピッチで進めた割にはマシだよね?(おい)
いえーい、また英語の成績下がるんだわーv(撲殺)
と、ゆーわけで。
努力だけ認めてください(自信無し)



モドル