振りかえっても、貴方はいない









うしろ










吹きつける風も、すでに暖かくて、気持ちよい。
誰かが言った。『春が来た』と。
少しきつ過ぎる風が、木を揺らして、葉を飛ばしていた。
ざわざわ揺れると、影も揺れていた。

風に乗って、紅い花びらが飛んできた。
香りも乗って、あたりに広がる。
紅い紅い、梅の花。




「どっから飛んで来たのかなー?」


地面の花びらを拾い上げて、自分の顔の辺りまで持ってくる。
少し汚れた部分を払い、そっと近くの植木に添えてやった。


「ね、見に行こうよ」


そう言って振りかえる。でも、誰も居ない。
人通りも無い後ろの道に、今自分が呟いた言葉が消えていく。



「・・・誰に言ってるんだ?」

「あ、そっちか・・・」


振りかえる私に隣から降りかかる呆れたような声に、
苦笑いを浮かべてまた向きなおす。
いつもの調子・・・を最近よく繰り返し、その度にさっきと同じような言葉を言われる。


『いつもの調子』・・・・、ずっと前の、『いつも』がそうだった。
他愛の無い、くだらない話で盛り上がる私達の後ろを、
少し距離を置いて、仕方無しについてくるのが貴方だった。
その度に、私が降りかえり、無理矢理に話に加えるのが常だった。

でも、今は違う。


「だって、前はみーちゃんずっと後ろにいたからさー・・。
なんか癖ついちゃって」

「そんな癖はとっとと治せ」


申し訳程度に済まなそうな顔をして、次に笑いながら弁解する。
その弁解にも、厳しい言葉を返して、水鏡がまた歩き出す。
置いて行かれないように、風子がそれを小走りに追いかけて、隣に並ぶ。


「・・・でさ、ホントに見に行こうよ、梅!絶対綺麗だよ」


追いついて、さり気なく歩幅を合わせてくれることに笑顔して、
先ほどと同じことをまた言う。


「何処にあるのか知ってるんだろうな?」

「それを今から探すんじゃない」


自信満々にそう言うと、呆れたように笑って、『一人でやれ』と言った。
『探すのは一人でするからついてきて』と言ったら、ため息混じりに小さく返事を返してくれた。







他愛の無い話をする私達の後ろを、仕方無しについてくるのが貴方だった。

でも違う。そう、今は違う。
今は振り返っても誰も居ない。何も無い。
距離も何も。隔たりも何も。
もうなくなったから。



振りかえっても、貴方はいない、でも、隣にいる






〜言わなきゃならんコト〜

なんともめでたい1000HITをゲットした、木苺さんのリクです。
・・・・が、リクの内容のはずであった『梅』の立場は・・・・(爆死)

うむ・・・それにしても、どうも私の性格は悪いらしい(今更(死))
第1文目は、しっかりきっぱり騙そうと思いました(死)
あの1文で、誰かが死んだと思わないかな〜・・・と思いつつ書きました。
ふふ・・・・ふふふ・・・・・騙された人手ぇ上げて!(爆死)
木苺さんはまんまとハマってくれたみたいです♪よっしゃ!(死すべし)
題名も、ホントは『となり』のほうがいいかと思ったんだけど・・・。
勘のいい人は気付いちゃいそうだったから(撲殺)

はぁ〜・・それにしても・・・・・・短い!(爆死)
読みごたえ無さ過ぎですね。なんか申し訳ないなぁ・・・;;
別にスランプ・・・ってわけじゃないんだけど、まとめたらこうなりました。
梅を見るトコも足せばよかったかもね。でも、それだと無駄に長くなりそうで・・・・(本当に)

・・・ま、まあともかく。1000HITありがとうです!
なんかもう、感謝の二文字が赤々と照らされている場面を思い浮かべたくなるくらい感謝♪(わかりにくい)
とにもかくにも、ありがとでした木苺さん!


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