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出発地点 ]]]





「今回も大成功でしたわーっ!」



故郷マーズへの帰り道。
そしてもちろん、お得意のトレジャーハントの帰り道。

そんな、人気もまばらなその道を、セリーヌは機嫌良く歩いていた。




十賢者との戦いのあと、クロード、レナ、プリシス、レオンは、クロードのいた惑星(ほし)である地球へ行った。
そうなると、パーティは自然と解散するとととなり・・・・。
彼女は今、元からの職業であるトレジャーハントに、再び精を出していた。
クロード達といた頃のことにこだわっているわけではないが、
何故か新しく仲間を作る気にはなれなくて、以前と同じように、1人で。










皆・・・どうしてますでしょうね・・・・。





時折思い出してはそんなことを考えた。
レナやレオンやプリシスは、クロードに助けられながらも、
新天地で満足の行くような研究や実験や暮らしをしてるのだろう。
ノエルは森だか山だか定かではないが、自然の多いところに家を建てて、
たくさんの動物達と共に静かに暮らしていると聞いた。
チサトに関しては、詳しい事はよく知らないのだが。
ノエルの所に身を寄せているか、自分にあった職でも見つけて、また仕事に燃えているのかもしれない。



そんなことを考えるだけで、かつて自分に向けられた笑顔や、他のさまざまな表情が目に浮かび、
まるですぐ近くにいるゆな、温かい気持ちになれた。

久しく会っていない、仲間達のぬくもり。











そういえば・・・アシュトンはどうしたんでしょうね?





はたと気付いて、1人想像のままならなかった人物を思い浮かべる。
噂も聞かなければ、もちろん会う事などもなかった。











アシュトンって、いちよー紋章剣士でしたわよね。


こんな平和なご時世、剣士なんてお金になるんですの?


―――新しいパーティでも見つけて、旅でもしてるのかしら?


・・・でもあの人、そーゆーの苦手そうですわよね。






思いつくだけの考えをぶつぶつと呟きながら、ゆっくりとだかれども足は進める。
そんなこんなしているうちに久方ぶりの故郷はすぐ目の前にあって・・・。
その頃には、『まさかのたれ死んでるんじゃありませんわよね・・・』まで、考えが発展していた。










「ま、考えたって仕方のないことなんですケド」




自分の家を目の前に、先ほどまでの考えを終了さえるべく、
言ってしまえば身も蓋も無い言葉を呟く。


人生先は長いんですし、生きてればそのうち会えますわよ――と。












「ただいま帰りましたわー。お父様、お母様、いらっしゃらないんですのー?」




扉を開くなり、家中に響く声でそう叫ぶ。
叫んでから、2ヶ月前に戻ったときもこの時間帯家がもぬけの殻だったことを思いだし、
少し残念のような、部屋に大げさな歓迎を受けずにすんでほっとしたような複雑な気分で1つ息をつく。





「――なんだ。誰もいないんですのね」


















そう呟いた途端。どたどたという足音が、頭上で響いた。















お父様?お母様?2人とも、この時間は家にいないんじゃなかったんですの?




そう考えて、別の、1つの考えが頭を過った。









まさか・・・・・泥棒・・・・・?



もしそうなら、出会い頭にファイアーボールをお見舞いしてやりますわ。





そう思って、家具などまで燃やしてしまわないように火力は抑え気味に、
そして静かに、詠唱を始める。

足音はもう、そこまで来ていた。








――さぁ、顔を出しなさい!




























「お帰り、セリーヌ!!久しぶりだね!!」






そう、明るい声で言った相手のその意外性に、
セリーヌの詠唱が止まって、手にしていた荷物が落ちて、大げさな音を立てて、中身がばらけた。








「――あーあ。バラバラになっちゃ・・・・」




「ア、アアアアシュトン!?な、何してますのよ他人(ひと)の家で!!!」




別れたときとまるで変わらない、アシュトンのとぼえた言葉をさえぎってセリーヌが声を上げた。
必要以上のどもりように、驚き具合が目に見えてわかる。








「クロード達は地球に行っちゃったし。ノエルとチサトはどこにいるかわかんないし。
他に行くアテもないから、とりあえずここに来たんだけど・・・」


「そ・・・そんなことしたって。私、ここにはほとんど帰って来ませんのよ!?」


「うん。僕が来たときもちょうどすれ違いで・・・。
次はどうしようって悩んでたら、君のお父さんが君が帰るまでここに居ればいいって言ってくれたんだ」


「そう・・・・ですの・・・・」




すれ違いということは、この男は2ヶ月近くも自分の家に住んでいたこととなる。


ここへ来るまでの道中、散々彼のその後を予想していたものだったが・・・。
誰が思いつくだろう。まさかまさか、その対象が自分の家にいた・・・・などと。








「引きとめるお父様もお父様ですけど、素直に誘いを受けるアシュトンもアシュトンですわね・・・」




口元をひくつかせながら、頭を抱えて、そう言う。
結構な嫌味だと思ったけれども、肝心の本人はどうも聞いていない様子だった。・・少し、残念。











「―――で、アシュトン?私はこうやって帰ってきたわけですけど。
貴方はこれからどうするつもりですの?」


「うん、それなんだけどさ・・・・・」


「・・・・・・?なんですの、歯切れ悪いですわね・・・・・」


「・・・最初は、一緒にトレジャーハントにつれてってもらおうと思ってたんだ。
でも2ヶ月ここで暮らして・・・・・ここでずっと暮らすのも悪くないかな・・って・・・・・・・」


「そう・・・・・」


「あ、もちろん。ここで暮らすって決めたら、ちゃんと自分で家は用意するから!
無理そうだったら、宿の部屋を借りるつもりだし・・・」


「あら。そんな必要ありませんわよ」





セリーヌの言葉に、へ?といった風な表情をしたアシュトンを見て、セリーヌがくすりと笑う。



一体何があって、ここまでこの村を気に入ったのかわからない。
でも、それでも、やはりここは自分の故郷で、気に入ってもらえたのなら、嬉しい。

そして何より、例え行くアテがなかったからだとは言っても、真っ先に訪れた場所が、ここであることが嬉しかった。




嬉しくて、久しぶりの、仲間と共にいたときの感覚を思い出して、イタズラに笑う。
例えて言うならば、まるでおもちゃを見つけた子供のような、いたずらを思いついた子供のような、表情で、言った。






「私の家を拠点にして、トレジャーハントに行けばいいんですわよ。
そうすれば、トレジャーハントも出来るし、トレジャーハントに出かけないときは、
このマーズでのんびりすることが出来ますわ」





そうなった場合、ちょっと情報収集が困難になるんですけどね。
そう思ったことは、アシュトンの遠慮を促さない為に、そのまま心にしまい込む。
アシュトンの方はちうと、セリーヌからそんな言葉を聞かされるとは思ってもいなかったのか、
ずいぶん驚いたようにしばらく固まって、そしてまらしばらくしてから焦るように言った。





「本当にいいのかい?それで・・・」


「かまいませんわよ。ちょーど仲間が欲しいと思ってたところですし。
家に部屋が余ってるのも確かですもの」


「でも・・・・」




自分から押しかけておきながら、ここにきて突然遠慮がちになったアシュトンに苛立ちを感じつつ、
彼の言葉を遮りながら、セリーヌが無駄の無い動作で右手を差し出した。




「遠慮なんていりませんわよ。荷物持ちが来てくれたら有り難いですし。
だから・・・・」














また、よろしくお願いしますわね。









そう言って、アシュトンが手を差し出すまで待って、固い握手を交わした。



その後、帰ってきた両親も交えて、自分のいない2ヶ月間の話で遅くまで笑いったり、
アシュトンの村への溶け込み具合や、ギョロやウルルンなどの人気ぶりに驚いたりなどもしたけれども。








旅路の準備はしっかり万端。

これからは2人で、思う存分暴れてください。






FIN.



ここで終わればまだ良い仲間なのに・・・(おい)
オマケがあったりします。見てもいいけどつまらんですよ(死)

つーわけで。アシュトンがマーズに定住するという設定をこじ付けさせました(笑)
どーだ、こうすれば不自然じゃないだろう!!(無理があるだろ)
つーかね。実際アシュトンってED後どーしてるか謎じゃん(笑)
なんてったって故郷ないし?(爆)
ブルースフィアの設定では、クロードその他3名(おい)は地球に行ってる事になってるし・・・。
(このブルースフィアの設定に思わずガッツポーズした私を許して・・・そして理由は察して(笑))
行くアテ、ほんっとに無いと思うんだよね!(笑)

ところで。この小説読んで、私がどーいうパーティ組んでSO2やってたか丸わかりですね(笑)
えぇ、小説内で出てきた8人でやってましたよ。
戦闘メンバーはクロード・レオン・セリーヌ・アシュトンで。
・・・アシュセリを目指してた割には、セリーヌが死ぬとレオンが叫んだよなぁ・・・・(遠い目)

どーでもいいけど。アシュセリの小説ごとにいちいち設定やら背景やらが違うのは多めに見て下さい(死)



モドル