うちの坊さんはネルといいます。ついでに城は・・・カタンだっけ?(待て)
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笑顔ってのは、一種の魔法なんだと思う。 あいつが笑えば誰かも笑う。あいつが微笑めば泣いていた子供も笑顔になる。 効果音に「にこり」と付けば、相手の不機嫌はたちまち直る。 『人に心を開かせる魔法』 笑顔は、多分そんな魔法。・・・・・もしくは 「人を手玉にとる魔法」 溢れかえる人のざわめきの中、突然呟かれた言葉に、ネルは思わずそちらを見た。 視線をあてた先には、当然のように石版担当者であるルックの姿があって、 言葉の真意を掴み損ねて、ネルは微妙に眉をひそめてそれを表した。 「君が使ってるのは、どっちかって言うとこれだろ」 何が言いたいのかわからない。 そう、無言のうちに示したネルの態度に、面倒くさそうにため息をついてからルックはそう答え、 そしてここまで言えばわかるだろう、とでも言いたげな視線をなげかけた。 それを見て、付け足された言葉を聞いて、だいたいの意味を理解したネルは、 少し考えるように下を向いて、そして小さく笑って、そして言った。 「僕が持ってる紋章は、ソウルイーターだけだけど」 「誰も紋章だなんて言ってない」 ふざけて返した言葉に、即座に、そして不機嫌に返したルックの反応が楽しかったのか、 今度は声を上げてまた笑って、冗談だよ、と小さく詫びをいれる。 そしてふと顔だけで笑って、ネルは言った。 「失礼だな。別に僕は手玉を取ろうとしてるわけじゃないよ」 そう言って、数秒の間を置いて、(その間ルックがじろりと彼を見たことをさらりと流して)彼は続けた。 「――向こうが勝手に取られてるだけ」 そして、言い終えてからにやりとした笑みを放った。 何で皆、こいつのこういうところは見てないんだよ。 にやりと笑うネルを前に、ルックがそう心で悪態をつく。 誰も、彼のこんな表情を目にした事は無いだろう。こんなセリフも、聞いたことが無いに違いない。 「いいじゃないか別に。誰も不満になんか思ってないんだから」 「だから余計タチが悪いんだろ」 あからさまに、納得いかないといった風な表情を示していたルックに、ネルが笑みを浮かべて言う。 その言葉にすら、トゲのある返事をルックが返すと、 ネルは呆れたようにため息をついて、石版に持たれる形で座り込んだ。 「・・・ルック、何をそんなに怒ってるのか知らないけど、誤解してるよ」 「誤解?」 「そ、誤解。 さっきも言っただろ?僕は別に人を手玉に取ろうだなんて思ってない」 何でそんな風に見られてるのか、疑問なくらいだよ。 皮肉を込めてわざと抑揚をつけてそう言う。 そして少しだけ口を噤んだルックを見てから、彼は静かに続けた。 「僕はただ、相手に嫌な思いをさせたくないだけだ。 疲れてるからってそんな顔してたら心配されるだろう? 怒ってるからってそんな顔したら、相手に悪いだろう? だから人と話すときはなるべく笑うようにしてる。それだけだよ。あとは・・・」 「・・・“あと”?」 「そう、あと1つは・・・」 何かを言いかけて、突然ネルが口を閉じた。 歯切れの悪いその素振りに、ルックが続きを促そうと口を開きかけた時、 壁の向こうで、エレベーターのドアが開く音がした。 「あー、ネル!こんなとこにいたんだ」 「やあ、ロッテ。どうかしたかい?」 ひょい、と壁から顔を覗かせるなり声を上げたロッテに、ネルがいつもに増すほどの笑顔で答える。 そんなネルの様子を見ながら、またか、と言いたそうにルックが不機嫌な表情を浮かべていた。 「うん、さっきマリーさんの所に行ったら、ネルにってこれをくれたの。 パイが上手に焼けたとか何とかって言ってたよ」 「・・・みたいだね。アップルパイだよ、これ」 「あ、ほんと。美味しそうだね」 「まだ暖かい・・・。せっかくだから屋上でも行って食べようか。 そうだ、せっかくだからロッテも一緒にどうかな?」 「いいの!?」 ネルの最上級の笑顔の誘いに、ロッテが歓喜の声を上げた。 ほらまた、手玉に取られる人間が1人。 それが例え意図していないものだとしても、結果がそうならどれも同じだ。 相手のことを考えてようが考えてまいがそんなこと関係・・・・。 「・・・・・・・・・・ネル」 「? 呼んだか、ルック?」 「さっきの・・・・“あと1つ”って、何なんだよ」 ネルの誘いを快諾したロッテが、とりあえずミナ捕獲に走ったのを見計らい、 ルックが先ほどの話題を持ち出して、そして問う。 歯切れ悪く終わりを迎えた話だったため、改めて問われるのは予想済みだったのか、 ああ、と簡潔に相打ちをして、そしてまたにやりと恐ろしい笑顔を浮かべて、彼はのたもうた。 「人間関係の基本は笑顔だよ、ルック。 相手に好かれたいときは――笑顔で接するのが一番だからね」 「なっ・・・!」 「別におかしい事じゃないだろ?人には嫌われるより好かれたい。 ――悔しいなら、君もやってみたらいいじゃないか」 目に見える動揺を示したルックの意外な扱いやすさに、ネルがまたにやりと笑った。 からかわれたらしいことがルックにも理解できて、そして悔しくて顔を背けた。 そんなことをしていると、向こうの方から走る足音が聞こえてきて、また、ネルの顔がそちらへ向いた。 「お待たせ!やっぱりミナ、どこにもいないの。また後で探さないと・・・」 「大丈夫だよ。いつもちゃんと帰ってきてるんだし」 「それはそうだけど・・・・・・。・・・・あれ?ルックは?一緒に行かないの?」 歩み出したネルに続く気配がないルックにロッテが気づいて、振り返りそう問い掛ける。 しかし、その問いにすら答えないルックの反応に、そんなことはあるはずないと思いながらも、 聞こえていないのかという可能性にかけて、彼女はルックに歩みより、そして笑顔で問い掛けた。 「行こう。美味しそうだよ、アップルパイ!」 そう言って笑顔で問いかけるロッテの顔が直視できなくて斜め下を向いたルックの脳裏に、 先ほどの言葉が蘇った。 『悔しかったら、君もやればいいじゃないか』 ・・・・・・・・・そんな簡単に、出来るわけないだろ。 「・・・誰も行かないなんて言ってない」 無愛想にそう答えると、嬉しそうにロッテが笑うのが見えた。 その後ろで、ネルがやれやれといった風に呆れた様子で笑ったのも見えたけれど、 悔しかったので見なかったことにした。 ただにこりと微笑むだけで、嬉しくなったり明るくなったり。 笑顔と言うのは、一種の魔法であるらしい。 FIN. |
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わかりにくっ!(死)
えーと、とりあえず主体は坊とルック。そして苦し紛れのロッテ受(再死)
えーっとね、私の中の(というか理想の)幻水は、
ルック→ロッテで、坊はルックをからかうつもりでロッテと仲良くしてる〜・・というものなのです!
だ、ダメ?(恐る恐る)
やっぱり幻水は小説書き難いなあ・・・・;;
セリフがマスターできてないからなんだろうけど、難しくて仕方ない。
ロッテ・・・ロッテ好きなのに・・なのに・・・・!(涙)
文がダメなら絵でどうだ、と練習はしてみたんですが(したのか)
天性の絵のダメさは克服できませんでした(死)
だから文でもう少し頑張って見ます・・・・。
さて、今回初めて幻水ものを表にUPしたのですが、もう決めました(何を)
幻水はTだけ取り扱うことにする!(どーん)
ロッテ、いちようUでもグレッグミンスターで出てくるから、ルクロテもそっちの設定でしようかと思ったんだけど、
私的にやっぱりTが好きだから、本拠地ネタやりたいんです。はい。
戦争中のくせにほのぼのしたりするかもしれんけど、そこらは大目に見てくれ(死)
そしていつか、ルクロテ仲間が出来ますように・・・(切実)
モドル