ガタガタ揺れる。
車体が揺れて、椅子が揺れて、窓が揺れる。
それと一緒に景色も揺れる。
窓枠についた肘が、少し痛くなってきた。
「いい天気ね」
ボックス席の片側に座るホークアイが、外を眺めそう言った。
外はぽかぽかいい天気。穏やかに風が吹き、ゆっくりと雲が動く。
差し込む日差しは柔らかく、窓辺の席はとても気持ちが良かった。
「そうだね」
ボックス席の片側。
ホークアイの向かいがわに座るエドワードが、
ホークアイの言葉に、簡潔にそう答える。
視線は、外の風景を追ったまま。
「やっぱり、エドワード君の隣に座った方が良かったかしら。
たった2人でこの席を占領するのも悪いでしょう?」
「別に平気だって。どうせガラガラなんだし」
心配そうなホークアイに、エドワードが素っ気無く言う。
確かに列車はガラガラで、開いている席もちらほら見える。
これから寄る駅でも、そう乗客は増えないだろう。
だから、妙な罪悪感なんて感じる必要は無い。
そう言っているような、素っ気無い、けれど思いやりのある言葉に、
ホークアイもそれ以上は何も言わず、黙って外の景色に視線をやった。
外はぽかぽか良い天気。
穏やかに風が吹く。動く、雲はゆっくりと。
差し込む光の優しい窓際は心地よい。
ガタンゴトンと、列車の走る音が聞こえる。
列車の走る音しか聞こえない。
静かな車両。話し声も聞こえない。
静かな空間。けれど、居心地は悪くない、沈黙。
「・・・・・良い天気だなー・・・・・」
「・・・・・・・・そうね」
突然、前触れも無く外を見たまま呟いたエドワードの言葉に、
しばし間を置いてから、ホークアイが声を返した。
列車が揺れる。
ガタンゴトン音がする。
けれど、声は聞こえない。
日当たりの良い窓辺。
意味なく無口になってみたり。
無駄に外なんか眺めてみたり。
FIN.
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日当たりの良い窓辺シリーズその4.
もしもあの時(コミックス2巻参照)護衛が中尉だったらバージョン。
エドアイにハマる前、
あのときの中尉の「大佐のお守が〜」のセリフに何の疑問も抱かなかった私でしたが、
ハマった後はそうはいかない(謎)
めっちゃ悔しかったのよ!!!
中尉!そんなこと言わずに一緒に行きましょうよーーー!!(今更)
天気の良い日。
無駄に無口になったり景色なんか眺めてみたり。
たまーに口開いたと思ったら、いっつも同じこと言ってたり。
全部私がやったこと。こんなこと、ありません?