セミの鳴き声がこだまする。暑い暑い夏。
夏といえば、『青い空!白い雲!』というフレーズが聞こえてきそうであるが(いつの時代だ)
悲しきかな、舞台はもちろん海でもなんでもなくて、
見覚えの有りすぎる、いつもと同じ桜上水中学校。
さて、部活終了後の暗い空の下。
決意を秘めた1人の人物が、目標へと歩み寄っていた。
或る男共の欠席に関する論争*番外編
〜水野氏の威厳確保大作戦(死)〜
決意を胸に秘めた、サッカー部キャプテンこと水野氏は、
目標まで、あと数10mのところまで来ていた。
決意とは。もちろん、言わずともなし。
最近の、彼の近辺に起こっている大問題。
そう、異色コンビの結成と、彼らの部活のサボり具合である。
最近、といっても、起こったのは昨日今日。
昨日は昨日で、マネージャーこと女子部部長の小島有希が学校を欠席した途端、
練習にも参加せずに何かについて延々と語り続けるわ。
いきなり部活を途中で抜けどこかへ消えるわ。
ずっと呼び続けた彼の苦労は、水の泡ともなるまえに蒸発してしまったようなものである。
そして今日・・・・そう、今朝の朝練では、
不機嫌そうに座り込み(そしてやはり練習はしておらず)2人で何かを言い合っているし。
さあいざ注意を!!・・と思ったところで、
上機嫌のマネージャーの一声で、あっさり練習に加わるわ。
気分としては、「帰って来いキャプテンの威厳」といった感じであろうか。
マネージャーの影響力は絶大で、彼女の言葉であれば、
100m先で呟いた独り言でも、完璧に聞き取り、そして実行してしまうであろう人物が約2名。
キャプテンである彼がどんなに大声で叫んでも、届かない言葉があるにもかかわらず、だ。
そうまでも現実を着きつけられれば、さすがの彼でもダメージはMAXである。
そして彼は決意した。
1度、はっきり言ってやらないと!・・・・と。
目標人物約2名。
片や苦手なクラッシャー。片や付入るスキのない関西人。
扉の向こうにいるこの2名には、ぐちぐち長々と語るより、
一言ではっきりと簡潔言ったほうがいいことはわかっている。
部室前の扉の前で、水野は乱れかける精神を落ち着かせるため、1つ息をつく。
何を恐れる事があろうか。
相手は部員。自分は部長。
そう言い聞かせ、彼は意を決してノブに手をかけた。
・・・ガチャ。
「シゲ。不破」
予想通り、部室にいたシゲと不破の名を呼ぶ。
その声に反応し、振り向いた2人が、
「なんや、タツボン。こっわい顔して」
「何か用なのか?強張った顔つきだが・・・」
というのもなんとか気にしないように努め、彼は口を開いた。
「・・・・おまえら、最近練習サボりすぎだ。
遊びでやってるんじゃないんだぞ。だから・・・」
意外にも静かに聞いてる2人に、内心ガッツポーズな水野。
さぁ、トドメに最後の一言を!・・・と思っていたところ。
カミサマは、残酷なラストを用意していたらしく。
「―――ねぇ、誰か。ボール運ぶの手伝ってくれない?」
という、天使のような悪魔の声が、聞こえてきたのであった。
振り向けば、もちろんそこにはマネージャー。
ガタガタンッ。という音を為して、2人の問題児は同時に立ちあがり、
「俺やるで」
「どこに運べばいいんだ?」
と口々に言いながら、さっさと部室を後にしていた。
突然がらんとなった部室に佇むキャプテンは、
泣きたいくらいの現実に、人間不信に陥りかけていたとかいなかったとか。
セミの鳴き声のこだまする夏の日。
今日も次の日もその次の日も。
キャプテンは問題児2名の行動に、胃を痛め続けるのであった。
=終幕=
言わなきゃならんコト
『或る男共の欠席に関する論争』完結編です(爆死)
断っておきますが、私別に水野くん嫌いじゃないですよ?
ただ、こーゆー水野くんが好きなだけ(死んでこい)
誰かサンのお言葉じゃないけど、ヘタレ水野が好きだ(爆)
5000HITゲッター様。つーか、フィン(笑)
ご希望の完結編よ?(笑)
欲しいなら持っていってねー。こーゆー水野でいいんだな?(爆)
帰る