舞い散る桜の花びらが、雪のように見えた。





「でな、てっきり冬に逆戻りしたんやと思うてん」

「はあ?」



部活の休憩時間。
突然やってきたかと思えば、脈絡もなくそんなことを言い出したシゲに、
有希はこれでもかと言わんばかりに怪訝な表情を示した。



「せやから桜がえらい散っとったから、てっきり雪やと思うて・・・」

「それはさっき聞いた」

「ほんなら何がわからへんのん?」

「こんなにいい天気でぽかぽか陽気のサッカー日和だってのに、
『冬に逆戻りしたかと思った』っていうあんたの頭の中」

「うわ、ひっど」

「だってそうじゃない。見てみなさいよこの気候。
風は暖かいし花も咲いてる。もう、すっかり春なのよ?」



言いながら、有希が校庭の隅にある花壇を指差した。
まだ満開とは言い難いけれど、
なかなかに咲き誇るチューリップやパンジーの群れ。
もう少しすれば、そこに何匹ものチョウが飛び交う事だろう。

春はもう、ここにいる。



「こんな天気で、雪なんて降るわけ無いじゃない」

「せやから、『雪みたいやなー』て思ただけやん」

「思わないわよ」

「でもな、ホンマ雪みたいやってんで。小島ちゃんにも見したかったわ」

「それはどうも」

「つれへんなー」

「当たり前でしょ?私はヒマじゃないんです」

「何か手伝ったろか?」

「いらない。逆に仕事増えそう」

「信用ないなー・・・」

「日頃の行いでしょ?」

「でもほんまな、めっちゃ雪みたいやってんで」

「それはもう聞いた」

「小島ちゃんにも見したりたかったわ」

「それも聞いた」

「今からちょっと抜けて見にいかへん?」

「行かない。行きたかったら一人で行けば?」

「小島ちゃん冷たいなあ・・・・」

「だーかーら、私は仕事がたまってるの!
そんなに雪が好きなら、一人で行ってくればいいでしょ?」

「行かへんよ」

「何で?」

「いつでも見れるし」

「いいの?
今日は風も強いし、明日には全部葉桜になってるかもしれないのに」

「ええねん、別に。桜が見たいわけちゃうし」

「何、ソレ?」

「どうせ、溶けへん雪は身近におるし」

「何、どういう意味?」

「一緒に桜見に行ってくれへん小島ちゃんには教えたらへん」

「何よそれ!イジケなくたっていいじゃない!」

「知らーん」

「ちょっとお、シゲー!?」




FIN?


ただ、関西弁が書きたかっただけ。
ただ、それだけ(死)

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