今年も終わりはやって来た。
いつもより、少しだけにぎやかな年末。
[[[ おわりはじまり ]]]
「誕生日なんだってね」
部員達の輪から少し外れたところを歩いていた不破の背中に、
少し小走りに地を蹴る音と、声が振りかかった。
振りかえると、あったのは予想通りの顔。小島有希。
「そうだが」
簡潔にそう答えて、顔で、どうして知っている、と問う。
すると有希が、ああ、という風な表情をして、風の噂といって茶化した。
その言葉に、ますます疑問の色を濃くした不破に、
次はきちんと、入部届で見た、と有希が言う。
「珍しいわよね、大晦日に生まれるなんて」
かく言う私も、結構珍しい日に生まれてるんだけど。
冗談めかしてそう言って、小さく、有希が笑む。
「・・・・・珍しいのか?」
大晦日に生まれると言うのは。
後半のセリフを大分省略して、重要な部分だけを残して、問う。
今の今まで、自分の生まれた日に対して、珍しいなどという形容詞を使われたことはなかった。
正確には、自分の誕生日が話題にあがったことがなかったのだが。
それはそうとして、やはりそれは疑問だった。
「え。あ、えーと。なんてゆーか・・・・・」
まさかそんな返事が帰ってくるとは思わなかったのか、
有希が戸惑い、数秒悩んで、しばらくしてから下げていた視線を再度不破に戻して言った。
「ごめん。さっきの言葉、訂正。“覚えやすい”だわ」
さすがに、人の誕生日つかまえて、『珍しい』は失礼だったわよね。
そう独り言のように呟いて、すまなそうな表情を浮かべる。
「覚えやすいのか?」
有希の言葉にまた、不破の疑問が湧いた。
「覚えやすいわよ。『何月何日』じゃなくて、『大晦日』で覚えられるでしょ」
「そうか」
「そうなのよ」
そう言って、疑問が解決したのか不破が黙り、続いて有希が黙り、
せっかく続いていた会話が止まって、沈黙が下りた。
しばらくざくざくという足音だけが響いて、沈黙に輪をかけていた。
もう少しで目的地だというところで、小さく有希が笑って、言った。
「でも、おもしろいわよね」
「何がだ」
「だって、1年の終わる日に不破の人生は始まったのよ」
依然怪訝な表情の不破に、さらに笑みを深めて、有希が続ける。
「1年が終わる日に不破は始まって、不破が始まった日に1年が終わるの。
何か、矛盾してて、ちょっとおかしいな、って・・・」
君が始まったのは1年が終わる日。
1年が終わるのは、君が始まった日。
何てことないことなんだけど、なんだか矛盾で、妙におかしい。
「・・・・何がおかしいのか、俺にはよくわからん」
わけのわからない有希の行動や言葉に、不破が少し気に入らなさそうに言い捨てる。
それに、笑いながらもごめん、と言って、有希の笑顔が、一層映えた。
「でも、ホントに覚えやすいのよね」
笑いが収まったのか、思い出したようにそう呟いた有希を、
不破が反射的に振りかえる。と、
振りかえった有希が持っていたのは、小さな、手に収まるような、包み。
「覚えやすくて忘れられなくて、思わずプレゼント用意しちゃったじゃない」
そう言って、強引に不破の手に、その包みを持たせた。
「ちなみに、中身食べ物だから。他の連中に見つからないようにするのね。
じゃないと、即食べられちゃうのがオチよ」
今のあいつら、ただの餓鬼だもの。
そう言って、目的地に近付くに連れて増えてきた屋台にむらがる部員たちを指差した。
確かに、取られたら最後、自分で口にする事すら叶わずに部員達の腹を満たすこととなるだろう。
そう思った瞬間、それはごめんだと言わんばかりに、不破が手のうちの包みをしばらく見つめて、
そしてそのままポケットへと忍ばせた。
それを見て、少しだけまた笑って、有希が小走りに先へ進んで。
そして、振りかえって、言った。
「おめでと、不破。誕生日、おめでとう!」
そう言ってまた微笑んで、彼の、笑顔を誘った。
1年で1度だけの。
1年が終わる日に始まったあなたを祝う日。
大した事はできないけれど。それでもちゃんと言いたかった。
おめでとう、誕生日。
本当に、おめでとう。
FIN.
不破有希でございます。
先にウラバナシいたしますとですね。
これパソに一発書きしてたんですけどね。えぇ、ですけどね。
1回目、保存する前に消えてやんの(爆死)
精も根も尽き果てて、完成(今日の)午前3時です(爆)
健闘たたえてそこここの穴は見逃してください(死)
1回目と比べて大分短くなったよなぁ・・・・・(哀愁)
さて、不破と有希で不破のバースデーです。
不破×有希なんだか不破→有希なんだか不破←有希なんだか不破&有希なんだか
わかりゃしません(爆)
でも、この2人は好きです。こーゆーのが好きです。
なんかもー言い訳する気も起こりません。
はぁー・・・・・・保存しとくんだったなぁ・・・後悔ー・・・・。
・・・・・あ。ゴミ箱の方にも不破のBDSSありますー。見てねv(笑)
モドル