それは、彼の落とした一枚の写真から始まった。











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「シゲ、何か落としたで」




彼はそう言って、寝転がっていたベッドから体を起こして
シゲがカバンを探っていた際に落ちた『何か』を拾い上げた。
声をかけられたシゲが、その落としたものを見て、
一瞬しまったという顔をした・・・ような気がしたけれど、
あまり気にせず拾い上げて、そして目を通して、そして、彼はぽつりと呟いた。




「写真やん・・・・・・・」

「あー・・・・・・・べ、つに珍しいもんでもないやん。はよ返してえな、ノリック」

「どっかで見たことあるでな、こいつら。これって、今日会うた人らちゃうん?」




目敏い彼が、早々と見つけてしまった面識のある面々の存在に、
シゲは先ほどの後悔の表情を更に深めて、そして観念したようにため息をついて、
一向に返してくれそうにない光徳の手から、その写真を取り上げた。




「そーや。向こうで入っとった部活の写真や。・・・チームメイトやってん」

「で、その写真を後生大事に持っとったんや?未練大アリやなー」

「やかましわい」




けたけたと笑う光徳を横目に、悔しそうに吐き捨てるシゲを見て、光徳が更に笑う。
そのことが気に入らなくて、自分もベッドに横たわり不て寝に突入しようとしたシゲに、
光徳が声をかけた。




「なあ、シゲ」

「・・・・・・・・・・・・・何や」

「そこに映っとった女の子、誰なん?」

「・・・・・・・・・・・・・・・忘れたわ。偶然近くにおったから、映っただけやったと思うで」

「・・・・・・・・へー、そーなん」

「せや」

「ふーん・・・・偶然なー・・・・・・・・」

「そうや。偶然や、偶然」




断固として偶然を貫いて、そして寝て逃げようとするシゲ。
それに対して怯むことなく、そして嘘だと決め付けている光徳は、
にやりと笑んだ後で、さも白々しく言った。





「・・・・・・・・・・・・・・それにしても偶然やなあ。
僕、この子さっきロビーで見たで」



「小島ちゃんっ!?」





言葉につられて、がばっと起きあがる。
口を突いて出た言葉は、無意識のうちのもの。
起きあがった後で、「へー、小島て言うんやー」と平然と呟く光徳を見て、
シゲは謀られた、と小さく呟いた。

普段人の揚げ足を取っている人間にも、上には上がいたらしい。







「・・・・・・・・・セコいでノリック」

「嘘つく方が悪いんやろー」

「うるさいわい」

「可愛い子やなー。何なん、この子」

「・・・・・・マネで、女子部の部長や」

「この子もサッカーするんや?へー・・・・・・・」




シゲの言葉に、光徳が感心したように声を洩らす。
その瞬間、シゲに嫌な予感が走った。




「・・・・・・・ノリック」

「何や?」

「先言うとくけどな、小島ちゃんはかなり競争率高いで」

「せやろな」

「おまけにガードも固いで」

「あー。そんな感じやなー」

「しかも住んどるんは東京や。そこんとこ、よー考えや」

「せやなー・・・・・・・。
なあ、シゲいつかまた東京行くんやろ?そん時僕も連れてってや」

「・・・・・・・全然話聞いてへんやん」

「聞いとったで。競争率高うてガード固うて住んどる所が遠いんやろ」




ひょうひょうと言い連ねる光徳に、そうや!とシゲが強く頷く。
シゲの態度が示す意味は、だから下手に興味を持つな、の一言。
しかしそれは、全くもって伝わってなかったらしくて。











「―――でも、いっかい会うてみな何もわからへんやん?」







平然として呟くこの目の前の人間が、
どっかの部長よりクラッシャーより怖いような、そんな気が、シゲはした。らしい。







FIN.

有希が出てこない有希受け。そしてシゲが揚げ足取りで負け(謎)
まあ、始まりはこんな感じだろうってことで受け取っておいてください。
ここから話が発展するのかというと、そういうわけではないのでしょうが(ダメじゃん)

ノリックは個人的に好きですよー。
「愛すべき〜」で無理矢理役を作ったくらい(そして見事にでしゃばっている(笑))
関西弁キャラが増えて、かなり書きやすいしv(そこか)
シゲと関西弁でトークしてくれてるときが、書き易いし楽しいです。かなり。

とゆーわけで、12345HITでノリック×有希でした。
・・・・・・・いつやねん、12345て・・・・(自己嫌悪)

 

 

モドル