当たり前の事を、当たり前と呼べなくなったのは、いつからだろう。











[[[ 
今昔 ]]]














「空に星があるのは、当たり前だと思っていたわ」





突然そう呟いた陽炎に、
水鏡が、ずっと空にやっていた視線を下げて、陽炎に目をやった。
不思議そうに、怪訝な表情を示す水鏡に、
陽炎が小さく微笑んで、空を見上げて、また言った。





「傍らに木が・・・森があることも。地面に土があることも。
花が咲くことも。虫や鳥が飛び交うことも。
全て、当たり前のことだと思っていた」





そこまで言って、小さく息を吸って。
また、水鏡を見て、にこりと、しかし哀しげに笑って。続けた。





「いつから、そんなことを当たり前と呼べなくなったのかしらね」




昔を懐かしむように、何かを失ったときのように、哀しそうにそう言って。
また黙って、静かに目を閉じた。



















いつのまにか、空の星は作りモノの光りにかすんで見えなくなった。


いつのまにか、木々は人間の勝手な事情で切り倒され始めた。


いつのまにか、地面は、灰色のコンクリートで塗り固められ始めた。


いつのまにか、季節を彩る花は、人工的に植えられたものしか見なくなった。


いつのまにか、鳥や虫の姿は、見なくなった。
















段々と便利になる世の中。


その傍らで、人は一体、何を失ってきたのだろう。






















「・・・僕には、その答えを出す事は出来ないが」





しばらく、何も言わずにただ下を向いていた水鏡が、
少しためらってから口を開いて。
途中、1つ息をついて、そしてまた、言った。








「それを取り戻すのは、今からでも遅くないんじゃないか?」


















例え無くしたものを取り戻すことは出来なくても。



同じモノを、新しく作り出す事は、出来ないわけじゃないから。





例えそれが、長い時間のかかることだとしても。





可能性は、ゼロじゃない。


















「そうだと・・・・・・いいわね」





水鏡の言葉を聞いて、閉じていたまぶたを開いて、また空を見上げて。
水鏡の方は見ずに、また、かすかに微笑んで。
陽炎が、そう呟いた。




















気付かぬうちに、人は一体何を失ったのだろう。


どれだけのことを、忘れていったのだろう。









FIN.


みーかげですなあ・・・・・(ほんとにそうか?←痛い)
20000HITキリリク作品だと言うのに、なんとお祝いの欠片もないことよ(死)
これが私んとこのみーかげなんです、許してください(ひれ伏し)
陽炎さん好きです。本当に好きです。だから許して(脈絡無し)

毎度毎度くらいなあと思いますが、
それだけ寂しいことが、現実で実際あるということですよ。
昔馴染んだものが、段々消えていく寂しさ。
たかだが16年生きたくらいの小娘に何がわかるって感じですが(苦笑)

これ以上語ると墓穴掘りそうなんで逃亡しませう。
ありがとう20000HIT.最近のねこまんま、1日100HIT回ってないか?(複雑)

ちなみに、タイトル『こんじゃく』だからな、『いまむかし』とか読んだ人いないでしょうね?(笑)


モドル