願った奇跡は、夢ではなくて。
キセキ
少しずつ暖かくなる日々。
もう、日が差す時間体は、上着すら脱いでしまえるほど、
暖かな陽気になりつつあった。
春は、もう来つつある。
もう、来ているかもしれない。そんな日。
3月も半分ほどが過ぎたそんな日。
世間では、ホワイトデーと呼ばれている日だった。
「でさ、柳がすっごく喜んでたんだ。
烈火にも、そんなシャレたコト出来たんだねー」
どうやって聞き出したのか、あるいは相手から話し出したのか・・。
烈火達の『今日』が、どのようなものであったかを楽しそうに話す、風子。
それに軽く返事を返しながら、隣を歩く僕がいる。
いつのまにか、下校を共にするようになって、
それが当たり前のようにもなってきた。
別に不都合はなかったし、特に深く考えることもなかった。
思えば、そこから、何かが違っていたのかも知れないが・・。
「・・で、その後・・・って、ちょっと。
みーちゃん、聞いてる!?」
「・・・あ、ああ・・・」
何ボーッとしてんのさ。
と釘を指され、意識を風子に戻す。
聞いていなかったわけではないが、
意識の半分は違うことに費やされていた。
あの烈火ですら、
『ホワイトデーに何かを返す』という芸当をしている。
小金井などなら、無邪気に笑顔でやってのけていそうだ。
土門に至っては、頼んでも居ないのに一人はりきっていそうな気もする。
早い話が、自分はどうするか。ということ。
1ヶ月前の同じ日、
ついで、という風に。そういえば、といった感じに。軽く渡された。
そんなもの相手に、下手に悩むのもどうかと思うが、
対処法は、なかなか見出せなかった。
家まで、そう遠くない。
悩める時間は、長くないのに。
「やっぱりみーちゃん、話聞いてない!!」
先程より、数10m進んだ辺りで、怒ったように風子が喚いた。
「別に、ちゃんと聞いて・・・」
「ない!ボーッとしちゃってさ!何考えてんのさ!
悩むんだったら教えてよ!私も一緒に考える!!」
1人でしゃべってたって、つまんないじゃんか。
最後にそう加えて、いじけたようにそっぽを向いた。
誰のせいだと思ってるんだ・・。
ため息を吐きつつ、心の中で悪態をつく。
少し、自分勝手な思考だとも思ったが、本音。
原因を作ったのは、目の前の少女であるのは間違い無いから。
考えるよりは、聞いた方が楽かもしれない。
結局、辿り着いた考えはこれ。
どうせ、これに辿り着くなら、早いうちに言っておけば良かった。怒らせる前に。
少しの後悔を抱えて、またため息を吐き、話し出す。
「・・・・何がいい?」
「は?」
主語と述語のみで表された文に、風子が間抜けな返事を返す。
まとまっている。といえばそうなのだが、理由がさっぱり抜けている。
・・・当然と言えば当然の返答。
それに、次はほんの少し視線をそらして、
今度はちゃんと伝わるように、言う。
「烈火、土門、小金井・・・。
僕だけ何もしない・・・とはいかないだろう」
「それって・・・・ホワイトデーのお返しのこと?」
いつになく察しのいい風子に、そうだ。と言って、頷く。
「別にいいよ。みーちゃん、いーーっぱい貰ったんでしょ?どーせ。
それに全部返そうと思ったら大変だし・・・」
「返す気などない」
きっぱりと返された言葉に、やっぱり・・といった風に軽くため息を吐く。
「せめてさ〜、お世話になった人・・くらいには返せば?
あと・・・ほら、き・・・気になる子・・・とかは?」
せっかくの機会なんだから。
ね?と相槌を求めるように言い、少し慌てた様子で前を向いた。
その様子の不自然さを、少し不思議に思いながらも、また悩む。
つまり、結局どうすればいいのか。
別にいらない。と言われた。
なら、何もする必要はないのか。
しかし、何もしないのは何故か気が引ける。
それに、さっきの言葉もひっかかる。
悩んだ結果+風子の言葉=結論
わけのわからない方程式が、水鏡の頭の中で成り立つ。
つまりは、何でもいいんだな・・・・。
どこをどう解釈すれば、そうなるのかが疑問ではあるが、
特に間違っていないような気もする。
聞いただけ無駄・・とも言うかもしれない。
そこまで思考をまとめて、ごそごそとカバンを探る。
数秒後、目的の物を見つけたように、顔を上げ、
不思議そうに見つめていた風子の眼前に、何かを取り出す。
陽に反射して、眩しく光る、十字を象った、それ。
前に水鏡が首からさげていた、十字架のネックレス。
「え?あ・・えーっと・・・・・?」
「やる」
あっけなく一言そう告げて、地に落とさぬように風子の手元に落とす。
依然戸惑う風子も気にせず、また歩き出す。
「ちょ、ちょっと!別にいいって言ってるのに!!」
「・・・世話になったヤツ。気になるヤツにくらいは返せ。
とさっき言ったばかりだろうが」
「!!」
自分の言ったことを、早速否定するつもりか?
まだ混乱している風子にそう言い放ち、少し笑ってみせる。
「・・後者だとは、限らないがな」
「な・・、何よそれーー!!」
嫌味な笑顔に、完全にヘソを曲げた風子を、
気付かれぬようにまた違う笑顔で見て、それなりのいいわけをする。
きちんとした言葉で伝えられない自分が恨めしいときもあるが、
それすらも、今更のような気がして仕方ない。
それでも、今は、これでいいと思った。
願った奇跡はすぐ近くにあって。
見ているだけの夢ではなかった。
いつでも傍にいてくれる存在。
何よりも大切と思える存在。
願った奇跡は夢ではなくて、すぐ傍の、当たり前の日常。
〜言わなきゃならんコト〜
600HITを運悪く(爆死)取ってしまった、涼月しゃんへの贈り物☆
その名も『キセキ』です。・・・・奇跡でも、輝石でも、好きなように漢字当ててください(爆笑)
初めて?かな、ホワイトデーネタで書いたのって。
てゆーか、バレンタインもロクに書いたことないクセに、いきなりホワイトデーですか・・・(死)
自分としては好き・・・なんだけど・・・・・(汗;;
涼月しゃんのリクは、『水鏡の告白話』だそうな。
・・・・・・・・・・。してないじゃん。告白。水鏡さぁ・・・(倒置法活用(死))
してるかしてないか、きわどいところですが・・・・・。
人生経験の浅い私です。ここらで許してやってください(爆)
てゆーか、
>どこをどう解釈すれば、そうなるのかが疑問ではあるが、
の1文。カンペキに、ギャグのノリです(死んでこい)
・・・だめだ、だめだ・・・・。ギャグが進行してる・・・・(爆死)
大っぴらには広められない場所のために、ギャグばかり書く毎日・・・(笑)
・・・友達が笑ってくれるから、つい書いちゃうのが現状。
うぅっ・・・ごめん、涼月しゃん。こんな小説にギャグ入れんなっつーの(ホントにな)
てゆーか、そのノリでキリリク(ギャグモノ)書けよ、自分・・・・。
んではでは、2度目のキリ番ゲットありがとでした!!
3度目はさすがに怖いです(笑)