TELLLLLLLLL・・・・・・






夜というにはまだ早い、でも日が完全に沈みかけている時間帯。
霧沢家の電話のベルが、勢いよく部屋中に響き渡った。


「はいもしもし?霧沢ですけど」


そのとき、一番電話機に近かったのと、
母親が手を離せなかったからということで、風子が受話器に手をかけ、
そして相手に応対する。


『・・・・・・』


「ん?もしもし?」


聞こえなかったのか、
はたまた間違い電話で間違えたことに動揺しているのか、
電話の向こうの相手は何も言わない。





・・・・・・・プツッ


「!?」


そして電話は無言のままに切れる。
握った受話器から聞こえる機械音が、空しく部屋に響いていた。








喜悲劇








「っつーわけなんだけどさ!腹立つよねー、ホントに!!」


「・・だから今日荒れてたのかよ、風子〜」



翌日。
いつものように集まる昼休憩。
溜まり場である屋上で、風子は昨日の出来事を余すところ無くグチっていた。


「この風子ちゃんに無言電話なんていい度胸してるわ!
絶っっっ対見つけ出してやるんだから!!」

「無謀なことは止めておけ。時間の無駄だ」


一人怒りを露にする風子の隣で、
淡々と正論を述べつつ、水鏡は昼食を口に運ぶ。
烈火や土門も、水鏡の意見に同意しつつ、
同じく昼食にありついていた。
姿の見えない柳のことを聞くと、何やら用事があったらしい。

そんなことはさておき。


「やってもないのに簡単に諦められるわけないでしょ!」


やはり諦めきれない風子が、
力を込めて空に向かい、叫ぶ。

いい加減、隣で叫ばれることに嫌気がさしたのか、
静かな正午を過ごすべく、水鏡が呆れ気味に声をかける。


「いいから、少しは黙って・・・・」

「・・・・ちょっとくらい、協力してくれたっていいじゃない・・・・・・」


言葉半ばにがらっと風子が表情を変える。
そしてそのままの表情で、すこしいじけたような素振りで呟く。
彼女の『悪女』の異名はダテではなかったらしく、それは万人に通用するものらしい。

と、いうことで。


「・・・・・・・何をすればいいんだ、何を」

「うん。私が思うにはさー


小金井並の百面相で、風子がまた笑顔を浮かべ、
自分の意見、考えを並べる。



「あ・・・操ってやがる・・・・・」


2人のやり取りをハタで見ながら、
本人達に聞かれていたら、間違い無くあの世行きのセリフを
烈火は呆然と呟いていた。




***




「・・・で、心当たりあんのかよ、風子」

「それがぜーんぜん。さっぱり」


烈火や土門に、水鏡並の言い訳や意見が思いつくはずもなく、
敵に水鏡がオトされた以上、泣く泣く付き合うほかに道は残されていなかった。

そんなわけで、犯人の絞込みまで話は進んでいた。
というものの、検討などはさっぱりついていなかったが。


「恨まれるようなことでもしたのか?」

「なっ・・・そんなことしてるはずないでしょ!!!」


水鏡の呟きに、即座に風子が否定をいれる。


「そっかー?
昔フッたヤツとか、問答無用で叩きのめしたヤツとか」

「ありそーだよなー・・・。
他にねーか?錐で病院送りにされたヤツとか」


思いつくだけの可能性を上げていく烈火達は、
それが増えるに比例して、風子の怒りが高まっていくことに気付かない。


「さんざひっつきまわってケンカふっかけられたヤツとか・・・」

「一番気にしてることズバッと言われちまったヤツとか・・・・」


「あ・・・・んたらぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


どっかで聞いたことあるよな〜。というような『可能性』を上げ始めた頃、
我慢の限界を超えた風子が、地を這うような声を上げる。
その時初めて。自分達のやっていたことの恐ろしさを知る烈火達。だが。



「人のことなんだと思ってんだーーー!!!!」


「「うぎゃああっぁぁあぁあぁっぁぁぁぁあっっっ!!!!」」



すでに時遅しだった。



「本っ当にないのか、思い当たる節は・・・・?」


姿の変わり果てつつある烈火達を眺めながら、
本人には聞こえぬ程度に、水鏡は疑問を述べていた。




***




「結局わかんない〜・・・・・・・」


数分後、気が済んだのか、
風子がはぁ〜っとため息をついて元いた位置に座り込む。

後ろに倒れる2人の姿が気になるも、
特に触れるのは止めておこうと水鏡は心に決める。


「いい加減諦め・・・・」

「・・るのは嫌」


きっぱりとそう言い放ち、
後ろの烈火達に、一緒に考えろとカツを飛ばす。



トントントントントン・・・・・



起きあがらない(正確には起きあがれない)
烈火達をむりやり起こそうと、風子が立ち上がる。

すると、昇降口のほうから、誰かが駆け上がる音が響いてきた。



トントントン・・・ガチャッ



「ごめんなさいっ!先生に呼ばれてて・・・」

「柳・・・」


担任に渡されたのか、結構な枚数のプリントを抱え、
柳がカバン片手に屋上に現れる。


「重そうだね〜・・・これ、配るの?」

「うん、そうだよ」


見るからに重そうなそれらを、とりあえず床に置き、
残り少ない昼食時間で、柳も食事を取ろうとする。


「そうだ、聞いてよ柳。実はさ〜・・」

「あ、ねえ風子ちゃん。昨日、FAX届いた?」

「・・・・・・へ?」


いただきます。と言ったあと、
話を切り出す風子に、ふと思い出したように柳が言う。
それにたっぷり間を取って、間抜けな声を風子が上げる。


「昨日・・・・FAX!?」

「うん、風子ちゃんに新作の下書き見てもらおうと思って昨日送ったの。見てくれた?」


新作・・・つまり、『レッカマン』の最新刊・・・・。
いや、今問題にしたいのはそんなところではなく・・・・。


「うち・・・・FAXないんだけど・・・・・」

「えっ!?そ、そうなの?」


風子の告げた事実に、驚いたように柳が口に手を当てる。

問題解決。
その間抜けな結末に、風子が拍子抜けたように大きく息を吐いた。


つまり、昨日のアレは無言電話でもなんでもない。
ただ、霧沢家にFAXが存在していないことを知らなかった柳が、
悪気も無しに新作を送ろうとしていたために起こった悲劇。



「ごめんね、風子ちゃん。私知らなくて・・・。
じゃあ、昨日変な電話行ったでしょ!?」

「いや、も・・いいよ・・・・・」


力無くそう返す風子の後ろには、
咎められない少女の行いの犠牲となった哀れな亡骸が2つ、転がっていた。


 


〜言わなきゃならんコト〜

222HIT取得してしまった凍月さんに贈ります。
なんかもう、目一杯おまたせしたのに、こんなのでごめんなさーーーいぃいい!!!!(叫び)

ギャグは難しい。書こうと思って書けるものではない。・・と今回思いました(笑)
ギャグってね・・・・気が向いたときに一気に書かないとダメみたい。時間置くと全然進まんのさ。
だから・・・最初から書きなおした。ら、1時間かかんなかった♪(爆死)
調子に乗るとは恐ろしいものですな・・・・ホントに(死すべし)

てゆーか、オチてないし(爆)
どこがオチなんだろう・・・関西人として、そーゆーメリハリは付けたかった・・・(謎)
それにリク内容に背いてるような気がして・・・(いつもじゃん)
リクでは『仄かにみーふー』だったのです・・・・が、が;;
みーふーしてるかしてないのかわからん(死)・・これでもみーふー好きなのだろうか(TT;
例えみーふーしてなくても、『風子に弱い水鏡』は書けた!・・・はず(おい)

何気に一番困ったのはアタマの電話のベル(爆死)
ふつー、家の電話のコール音て、どんなんなのでせう??
いっつも悩むんだよなぁ・・・・・・・・・そんだけ電話ネタ多いのか、自分(笑)

ではでは、長ったらしい言い訳になりましたが(ホントにな)
222HITありがとうでした!!以後ご贔屓に〜vvv


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