風が吹く。

木が揺れる。ざわざわと喧しく声を上げて。
葉を落として。枝ごと揺らして。



辺りは、少しずつ色づく。

季節の変わりを知らす、力強い風に吹かれて、
少しずつ、形を変えて。色づく。








一歩










「おめでとうございます」



突然の登場には、もう前ほどに驚かなくなっていた。



「雷覇くん」



先輩達の旅立ち。
それを見送る、卒業式。
暖かに、とはいかない天候の中。
無事に執り行われ、それは終了した。


春の兆しも、なんとか見え始めた、そんな午後。
静かな、でも、いつもよりは賑やかな公園で、桜を眺めていた。

まだ花は咲かない。
つぼみが、やっと見え始めた程度。
花は咲かない。
でも、咲くための準備を見るために。眺めていた。




「おめでとうございます」



突然背後から現れて、繰り返しそう言う雷覇に、
少し肩をすくめて、隣の水鏡に目配せをする。



「私じゃないよ?」



胸につけていた、
卒業生に貰った(正確には貰わされた)リボンを見て勘違いしたと思い、
少し笑みを含んで、そう答える。

それに、知ってますよ。と当然のように、雷覇は答える。



「僕でもないぞ」



その勘違いが自分に向けられたものだと思い、
以前のような警戒もせず、次は、水鏡が言う。

知ってます。
同じようにそう答えて、雷覇は笑う。




「じゃあ、何が?」




わからないことを、少しだけ悔しそうに。
そのことを、わざと演じるように、むくれて、問いかける。

それにもやはり笑顔を返して。
たっぷり間を取って、雷覇も言う。



「さあ、何でしょう?」



楽しそうに笑顔を向ける雷覇に
聞いても無駄。そう思い、軽く息をつく。




まあ、いっか。




暖かくなってきた日差しに手を掲げて、独り言のように言う。
堅苦しいものを振り払うように伸びをして、降り返って、笑う。

それに、雷覇は笑顔を返して。
水鏡は肯定を意味する沈黙を返して。


また、風子が笑う。









少しずつ暖かくなる日差しを浴びて、また歩き出す。
嫌いな沈黙が、時々訪れるこの場所を。
けれど、居心地のいいその場所を、後にして。
また、歩き出す。


徐々に色づく世界を見て、また歩み出す。
霞んだ空が、まだどことなく寂しいけど。
咲かない花が、まだ少し哀しいけど。
また、歩み出す。


風が吹く。
新しい季節をつれて、強く吹く。

風が吹く。
新しい、何かを乗せて、強く吹く。




風が吹く

 

 

 


〜言わなきゃならんコト〜

涼月しゃんに贈りました。555HITキリリクでございます。

祝☆stmimiの小説に雷覇くん初登場〜★(爆死)・・・なのですよ(笑)
リク内容が『雷覇の出てるみーふー。季節モノならなおよし』・・・で。
雷覇くん居ます。みーふー(のつもり)です。季節は・・・・季節は・・・・(滝汗;;;
自分的には、冬と春の境目。季節の変わり目です。・・・うっわー、なんて中途ハンパ(爆死)
てゆーか、卒業式あったばっかなので、どーしてもそれが入ってしまうのですね。はい;;

・・結局雷覇くんは何がめでたいと思ったのか(爆死)
小説内に入りきりませんでした。ようは、タイトルのこと(余計わからん)
つまり、卒業がめでたいって言ってんじゃないの。
『何かに区切りがついて、新しい何かを始める一歩を踏み出す準備』が出来たことに祝いを述べているのですね(謎)
それは、卒業式だったり。終業式だったり・・・。
新しい何か・・・進学、進級。それに対する「おめでとう」なの。

何はともあれ、キリ番有難うでした★これからもご贔屓に♪
結構すんなり出来上がってくれたからよかった・・・・。
もっと苦労すると思いました(おい)でも短いね。ごめんなさーい(汗;;;
てゆーか、雷覇くんセリフ作りにくいんだってば!!!(泣/死)

 

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