月明かりの眩しい夜。
風に乗って何処からか優しい、唄が届いた。
[[[ EFFECT ]]]
「唄・・・・?」
ずっと文字を追っていた視線を少し上げて、音のするほうを見る。
月明かりで本を読み始めて、もうどれだけの時が経ったのだろう。
いつのまにか皆が寝静まり、
暖を取るために焚いた火だけが、パチパチと音を立てていた。
睡眠を削るのは、決してしないほうがいい事くらいは理解している。
それでも、自分の理論を証明したい。
そのためには、今以上に知識を必要とする。
・・せっかくの静かな・・・。
まともに読書のできる夜に眠ってしまうのは、どうも惜しい気がするのだ。
そんな理由で徹夜をした後は、必ずファラに怒られた。
わかっては・・・いるんだけどな・・・・・・
そう考えて、やっと腰を上げる。
テントの中で眠っているであろう仲間を起こさぬよう、
なるべく足音を立てず、音のしたほうへと足を進める。
誰か・・・・いるのか?
少し草を掻き分けて、音のする場へ歩み寄る。
月明かりの下で、薄紫の髪が微かに揺れていた。
「メルディ・・。唄って・・る・・・のか?」
小さく、聞こえないように呟いて、思わず口をつぐむ。
少しの雑音が混じれば、聞こえなくなるような歌声が、唄を紡いでいたから。
これは・・・・
心の中でそう呟いて、少し昔のことを思い出す。
そう確かこれは、水晶霊の河で聞いた。唄。
あの時は、最後まで聞くことは叶わなかった。
続きを催促することすら、出来なかったから。
気付かれないように静かに座り込んで、大人しく聞き入る。
風に乗って、唄が紡がれる。
聞いていると、どこか心地よかった。
なん・・だろうな、落ち着く・・・・・
少しだけ疲れた目を閉じて、側にあった木に凭れ掛かる。
流れ込む唄に聞き入って、小さく息を吐く。
「・・・・?」
少しして、流れる音が、止んだ。
前も、ここで止まったような・・・・?
止んだ音を不思議に思い、少しだけ顔を覗かせる。
髪が揺れて、クイッキーと被る。
寂しそうに笑って、メルディがクイッキーに話し掛けていた。
「いつも、ここでお終いな。続き・・・唄いたいよ・・・」
そう、寂しそうに呟く。
心配そうに鳴き掛けるクイッキーに力無さげに笑いかける。
「ない・・のか?続き・・・・」
「キール!!」
涌き出てくる疑問に耐え切れなくなり、意を決して姿を表す。
想像の通り、少し驚いて、・・いつものように笑っていた。
「そんなところで終わってるのか?
えらく半端な・・・いや、それにも何か意味が・・・?」
「ううん、違うよー。メルディが知らないだけ」
メルディの側に腰掛けて、思いついた自分の意見を並べて見せる。
・・そしていともあっさりと否定される。
「・・・知らない?」
「メルディ、続き知らない。・・教えてもらわなかったよ」
「そう・・・なのか」
そう聞いて、少し残念に思う。
聞いていると、心地よかったのは事実だ。
特に催促しなくても、機会があれば、いつかは全て聞けると思っていた。
しかしそれも、無理なのか・・・。
「だ・・誰に教わったんだ?」
会話に困り、聞いてもどうしようもないことを口にする。
聞いてから、その意味の無さに自分自身呆れる。
しかし、そんな質問にも、メルディは楽しそうに答えた。
「セレスティアが家のご近所さん!!唄が上手よ!」
「・・・そうか」
セレスティア。
大晶霊を集めて、光の橋で向かう。
途方も無いくらい、遠い存在。
今から向かう、場所。
そう簡単に辿り着けるとは思っていない。
しかし・・
「なら、セレスティアに渡れば、続きを教わることも可能なんだな」
「・・・?」
試す前から諦めるのは、どうも性分に合わない。
なら、必ず達成してみせるさ。
心のうちの決意を、なるべく面には出さぬようにして、キールが言う。
それに困惑の面持ちでメルディが疑問符を浮かべる。
「そこまで聞いたんだ・・・続きが気になるだろう。
き・・聞かせろよ、最後までちゃんと!!」
初め、不思議そうに呆け、
首を傾げていたメルディの表情が次第に明るくなる。
そして、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
「はいな!メルディ、セレスティア戻って教えてもらう!!
覚えたら、キール、聞いてくれるな?」
「だ、だから。そう言ってるんだろうが!!」
月明かりの眩しい夜。
風に乗って紡いだ唄に、まだ終わりは無い。
いつか聞けたらと、願いながら、
夜は、徐々に深けていった。
はぴばーすでぃ、フィン!!
つーわけで、フィン嬢へのバースデープレゼントでふ。
彼女のバースデーを知る方々。「いつの話やねん」は禁句♪(死)
だって、教えてくれなかったんだもの・・・・(笑
それにしても彼女は怖いです(笑)
キルメル初心者の私に、いきなりこんな小説リクしてきたし(再笑)
・・・・楽しかったけどさ(死)
設定とか、本気にするべからず。
ネタを探すべく、スキット物色してるとき、やーーーっと見つけたネタだったのよ・・・。
修飾しまくり。げふんげふんっ(死)
・・・私がキルメル書くと、本当にこの2人しか出ない(汗;;
うぅっ、精進しますぅ・・・・・(焦)
モドル