どさどさどさぁっ!!!




お世辞にも立派だとは言えない小さなドラッグストアの入り口で、
小さな悲鳴とともに見事に荷物をぶちまけた制服姿の少女が、1人せっせと落としたものを拾い集めていた。




こーゆー場合、入るに入れなくて立ち往生してる俺は、どーすりゃいいんだ。













[[[ 出会いは必要も無いのに突然やってきたりなんかする ]]]












そう広くない入り口を作る自動ドアが、
立ちふさがる少女によって、閉まるに閉まれず、やかましい機械音を立てていた。


重すぎた中身。
耐えきれなかったビニール袋。
そして、役目を終えることなく力尽きたそれ。

詰め込むだけ詰め込まれた商品達は今、袋を飛び出して好き勝手に散らばっていた。


しゃがみこんで、それらを拾い集める少女の目の前で、ただ立ち尽くす人影が1つ。
まさに店に入らんとしていたところ、目の前で荷物をぶちまけられたので、動くに動けなくなったのだ。

こういう場合、どうするべきなのか。




@文句を言う

A無視する

B手伝う




おおよそこんな選択肢が用意され、彼―三上は数秒黙り・・・。
足元に転がっていた1つを拾い上げて、しゃがみこんでいた少女に差し出した。









「ほらよ」


「え?あ――・・・・・ありがとう」






差し出されたそれを笑顔で受け取り、少女が中身の確認を始めた。



・・・どけよ、とりあえず。


内心そんなことを思いながら、
彼女が確認を終えて立ちあがったのを見て三上がその横を通りすぎる。

そして、レジにいた店員と二言三言話してから、もう一度、少女のところでやって来た。







「ん。」





簡潔な一文字を呟きながら差し出したのは、先ほどのものより、少し大きめのビニール袋。



いつから、こんな善人になったんだ、俺は。


心の中で苦笑しながら、戸惑い気味の少女に、加えて言う。




「それ全部、抱えて帰る気かよ」




キズテープ。シップ。冷却スプレー。エトセトラエトセトラ。
どこまで行くのかしらないが、抱えて帰れるような距離でもあるまい。
見たところ、カバンのようなものを持っている気配もなかったし・・・。


そんな思考の中、差し出した袋をなかなか受け取らない彼女にイライラし始めた頃、
少女が、くす、っと笑って、手を出した。






「どうもありがとう。三上サン?」






















・・・・・なんだって?

『三上サン』・・・だぁ?











 

 

 


「・・・・・なんで知ってんだよ」

「敵校の選手くらい知ってるわよ」

「サッカー部のマネージャーでもしてんのか?」

「ちょっと違うけど・・・、まぁ。そんなもんね」

「は?」



曖昧な返事を返して、少し笑んだ彼女に、わけがわからずそう言葉を洩らした。
それに対して、また少し笑うと、少女が荷物を全て入れ直したことを確認し、改めて、店の外へ歩み出た。





「ありがと。助かった」

「あ?あぁ・・」




そう言って、そのまま帰り道なのだろう方向へ歩いていった。


・・有耶無耶のうちに、逃げられたと思うのは、気のせいだろうか。

なんとなく晴れない気分で、また店に戻ろうとしたとき、
道の先の彼女が、振りかえって、言った。










「私、桜上水の小島有希」









重そうな荷物を苦にせず、先程よりずっと明るい笑顔を背負って、さらに続ける。










「うち(学校)の近くに来たら、寄って。何かお礼するわ」










そして、そのまま踵を返して、桜上水校があるであろう方向へ歩き出した。








桜上水・・・・・・小島有希?




あの少女は、本当に自分のことを知っているのだろうか。
知った上で、自分の学校に寄れと言っているのだろうか。

歓迎しない輩が、確実に1人はいるということを、理解しているのだろうか。



そんな疑問が頭の中を交差して、彼の思考はしばらくストップ。
有希の後姿をたっぷり見送り、そして見えなくなって十分時間を置いてから、
やっと、にやりと口元で笑った。




変な奴。


律儀なんだか傍迷惑なんだかわかりゃしねえ。





そう、悪態気味に笑ってから、改めて店内に入る。




今度、藤代辺りでも連れて、行くか。





自分が訪れれば、多かれ少なかれ、波瀾でも起こるだろ。

そんな、ろくでもないことを考えながら、彼は、
おもちゃを見つけた子供のように、もう一度笑顔を作った。








そのころ桜上水では。



「お帰り小島さん、遅かったねー」

「んー、ちょっとね」

「1人で大丈夫やったんかいな」

「大丈夫よこれくらい」

「その荷物の量で、よく袋がもったな」

「もたなかったわよ」

「え?じゃあ・・・どうしたの?」

「三上さんが助けてくれたの」


どさぁっ!ばさばさっっ!!


「・・・ちょっと水野、どうしたのよ」

「あ・・部日誌が・・・・」

「三上・・・・って言ったか、お前」

「言ったわよ」

「三上がどうしたって?」

「困ってる私を、助けてくれた」

「・・・で?」

「・・・・お礼がしたいから、今度うち来てって言ったけど?」

「・・・言ったのか」

「言ったわよ」

「言ったのか・・・・」

「・・・何よ、感じ悪いわね」




彼が訪れなくても、しっかり波瀾は起こってたりなんかしたのだった。





そんなこんなで、彼と彼女の出会い完了。




 

終わっとけ。


書いた・・・・書いたよ、三上×有希。
最後は何気に総受な感じで(笑)
しかも、何気に続きそうな感じで(爆死)

彼と彼女の出会い編。
どうだまいったか、三上の口調なんてわからんわい!(笑)
うぅ・・・資料欲しかったじょ・・・慣れんことはするもんじゃない;;

でも、ま。こんな三上有希でいかがでしょ?RIN.
君の勇気ある鬼リクに拍手(笑)
これで私は、ついに学校の垣根を越えた(爆笑)
なんかもー、このさいなんでも来やがれ!って感じ?(笑・・えない)

そんなこんなで言い訳強制終了。
とにもかくにも9179(悔いなく)心意気カウンタさんくすでした。

・・・でも、これってアリかよ、おい(笑)


モドル