「どうかしましたの?アシュトン」



洋服を物色する手が止まり、セリーヌの声が小さな店舗に響いた。








[[[ 背負うもの ]]]







「え?あ・・・・。別に・・・・」

「そう?私には、そうは見えませんでしたわよ」


言いながら手に取っていた洋服を、カタン、と音を立てて、元あった位置に戻す。
そして、さらに困った顔をしていたアシュトンの服をつかみ、有無を言わさず店の外へ連れ出した。

途中、何か文句(なのか独り言なのかはわからないが)言っているようであったが、
それすら気にせず、引っ張りつづけて辿り着いたは、静かな公園。






「・・・で。一体どうしたんですの?」


都合良く空いていたベンチに腰掛けて、セリーヌが切り出す。
続いて隣に座り、次にアシュトンが答える。



「本当に、何でもないですよ」

「隠したってムダですわよ。気付いてないとでも思ってるんですの!?」

「でも、本当に・・・・」



いつまで経っても終わらないそんな言い合いに、
これはキリが無い。と感じたセリーヌは、
気付かれぬようにニヤリと笑って、強行手段を決行。











「・・・・そう。なら、私と一緒にいるのがつまらないんですのね・・・・・」






そんなセリフを、さも悲しげな表情で、汐らしく言ってしまえば。
すでに勝ちは決まったようなもの。
慌てた素振りで必至に弁解するに決まっている。

そんな感じで余裕綽々で相手の出方を待っていると。




「そ、そ、そうじゃなくて!!」




とまあ、見事予想通りに答えてくれたり。




「そう、なら。別に原因があるんでしょうね?」

「あ・・・・」



ぱっ。と変わった表情に。やられた・・・という風に声を洩らして、
助けを求めるように、1度ギョロとウルルンに目をやってから、
最後に、観念したように話し始めた。






「・・・・・・・・・こんな風にしてて、いいのかな。って思ったんだ」


「・・・どういうことですの?」



前かがみにそう言うアシュトンに、
意味わからなさそうに首を傾げて、セリーヌが言う。
それに、少し悲しげに笑って、アシュトンが続ける。



「エクスペルはネーデの消滅と引き換えに元に戻って。
僕達も、ネーデと引き換えにここに生きてて。
いろんな人達が犠牲になったのに、こんなことしてて、いいのかな。って思ったんだ」


「・・・・・・・そう」




見上げる空にある無数の星の中から、消えた、1つのほし。
出会って、話をして、助け合った人達は、もういない。
それと引き換えに今こうしていることは、許される事なのだろうか。


誰も知らない。誰も気付かない。共に戦った仲間以外。知らない事実。





「・・・・・・ずっと、そんなこと考えてたんですの?」

「ずっと・・・っていうか・・・・・・・・・うん」



そう。

独り言のように呟いて、セリーヌは黙り込む。
昼間だというのに、静かすぎる公園で、沈黙が流れる。



「・・・・貴方が気にすることありませんわよ」

「でもっ・・・・・!」


「数々の犠牲は、貴方1人で背負えるものじゃありませんわ」



きっぱり言い放った一言に、アシュトンが一瞬怯む。
しかし、それに引く事も無く、また噛み付く。



「でも・・っ!確かに僕だけじゃ荷が重いかもしれないけど!
だからって忘れていいわけじゃないよ!」

「えぇ、だから。皆で背負いましょ」



「・・・・・・・・え?」



あっさりと返った返答に、間抜けな返事を返すアシュトンに、
にっこり笑ってセリーヌが言う。



「皆で背負いましょう。私達以外、誰も知らなくても。
知らなくても出来る、背負い方だってありますわ。
救ってもらったこの場所で精一杯生きるのも、きっと背負い方ですわよ」


「――・・・いいのかな?そんなので」

「あら、他にありますの?いい案」



そう言ったセリーヌの言葉に、真面目にアシュトンが悩み出す。
ギョロとウルルンも一緒になって、顔を見合わす。
その様子を見て、セリーヌが立ち上がる。




「悩んだって仕方ありませんわよ。
今はダメでも、いつか見つかりますわ」



そうでしょう?

相槌を求めるように言って、また店の方向へ歩き出す。
それに気付いて、慌てて追ってくるアシュトンに、また笑った。












誰かの分を生きること

何かを背負って生きること

いけないとは言わないけれど

多分誰にも喜ばれない




精一杯生きましょう

救ってもらった この場所で




FIN.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・逃げていい?(死)

ついにやってしまいましたアシュセリ。
アシュセリのED見たので、今気分がこれに向いてまして(笑)
ED後のことなので、終わってない人にはネタバレです。
・・・いないと思うけどね。私がクリアすんの遅いだけ(笑)

これねー。描けるもんならマンガにしたかった。
絵が描けないって痛いねー(泣)
構図はしっかり頭の中にあるのに、画力が追いつかないって泣けるよ?

私の中のアシュセリ図。セリーヌ姐さん最強(死)
ところでー。アシュトンってセリーヌさんのことなんて呼んでました?(爆死)
あと、話し方とか・・・・・(再爆)


モドル