照りつける太陽の下、屋外ではセミの大合唱が響いている。
さすが夏。とでもいった風に、風は熱く、噴水の水などゆるくなっていた。

風に吹かれれば熱く、水に触れればぬるいという熱気の中。
部屋の中はどうかと言うと。



やっぱり暑かったりするのだった。





  






夏の日の水鏡家。
その部屋に位置する2人の人物のうち、1人が扇風機からの風に当たりながらも、
なおだるそうに右手に握られた団扇を忙しなく動かしていた。


窓際に居れば、風は当たれど陽が暑く。
壁際に寄れば、陽は当たらずとも風が来ず。

なかなか噛み合わぬ条件のため、涼を求めるのは中々困難となっており。




「あつい〜・・・あついあついあつい!!!!」



思わず連呼してしまうのも、仕方の無い状態だった。




「―――・・・うるさい」



机に向かっていた水鏡が、ふと顔を上げ、
結局壁際に落ち着いた風子に、簡潔な文句を言った。
文句の1つも言いたくなるのも無理はない。
先程から、ずっと『暑い』の一言を連呼しつづけているのだから。

しかし、風子も負けてはおらず。



「だって、暑いんだもん!」


などという、なんとも理不尽な文句で応戦してみたり。

キリがない。と悟った水鏡は、それ以上言うのはやめて、
再び机上の課題に戻ろうとした。が。



机の上に、先程まであった問題集が、なくなっていたりするのだった。






「―――・・・おい」



問題集が勝手にトコトコ歩いてどこかに消えるわけはないので、
持ち出した犯人が必ずいる。
そして、この部屋に人間は2人しかいないのだから。

必然的に、犯人は目の前の彼女となるのだった。


少し怒りを込めた水鏡の言葉にも、
風子はにやりと笑ってこう言った。




「かき氷食べに行こう!」



「・・・・・・・は?」




たっぷり数秒ためてから返した間抜けな返事に、
風子は笑顔でもう一度言った。




「だから、かき氷。食べに行こうよ」


「一人で行って来・・・」


「一緒に行こう」


「僕が今何をしているかわかって・・・」


「うん、わかってる。だから行こう」


「・・・全然わかってな・・・」


「行・く・の!!」


「・・・・・・・・・・もういい」






観念したように呟いた水鏡の言葉に、
一層笑顔を増して風子はパタパタと玄関へ走っていた。
それを追うようにしてのっそり立ちあがる水鏡。


視線の先の問題集。
いつ終わるのかどうか。それは定かではなかった。





FIN.


*御礼*

ありがとう5000HIT stmimiはまだまだ頑張ります!


ところで、なんて出来の悪い小説・・・。
こんなの貰って嬉しいヤツがどこにいるよ?(死)

フリー小説ですので、お持ち帰りもご自分のHP等の展示も可。
可愛がってあげてください。
ちなみにタイトルは『かき氷』でいいです(待て)


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