■ P&K ■ 小島家に電話の着信音が鳴り響いた午後7時過ぎ。 はい小島です。と口にした瞬間、 電話口の向こうの人間は、唐突に用件を言い放った。 電話に出たのが私で、本当に良かったと思った。 『サッカーを教えて欲しい』 「・・・・・・・・・・・・京介さん、ですか?」 『そうだが』 「・・・・京介さん。お願いだから、まず最初に自分の名前を言ってください。 もし出たのが私じゃなかったら、どうする気だったんですか?」 『心配は要らない。ちゃんと声で判別している』 「・・・・・・・そう、ですか」 『ああ、安心しろ』 どこらへんで安心しろと? 相手が電話なので、表情が相手まで伝わらなくて良かったと思えるほど、 表情だけで脱力の意を表す。 わかってはいたけれど、あの血筋というのは本当に・・・・・。 『普通』というものを要求するのがそもそも間違っているのだろうか? ふと、そんなことを思ってしまった。 「サッカー教える分には別にかまわないですけど、一体どうしたんですか?」 『実は大地に勝負を申し込まれたのでな』 「・・・・・・・・・勝負・・・・・・・・?」 『ああ。来週、PK5本勝負を決行するそうだ』 「するそうだ、って。そんな他人事みたいに・・・・・・・。 で、なんでそんなことになったんです?」 『先日知り合いから映画のチケットを2枚もらってな。 私だけで行っても仕方がないので有希を誘うつもりだと大地に言ったところ、口論になったので、仕方なく勝負をすることになった。それだけだ』 「・・・・・・・『それだけ』、ですか」 『というわけで、サッカーの練習のコーチを頼みたい。問題はないか?』 「まあ。理由は何にせよ、京介さんがサッカーに興味持ってくれるのは私も嬉しいですし。いいですよ、別に」 『有り難い』 「それにしたって、何でPK戦なんですか?そんなの、明らかに京介さんが不利じゃないですか。そこのところ、もう少し考えたら良かったのに」 『問題ない。大地に出来ることで、私に出来ないことがあるわけがないからな』 「・・・・・・・・さいですか」 堂々と大それたことを言ってしまう京介の態度に、また少し力が抜ける。 そんな反応を思わずしてしまうけれど、彼が言うと本当にそうな気がしてくるあたり、すごいと思う。 「じゃあ・・・・・・・・・京介さん、明日の午後空いてますか?」 『有希が言うのなら空けておこう』 「なら、2時くらいにうちに来て下さい」 『わかった。そうだ、何か用意するものはあるか?全てこちらで用意するが』 「別にいりませんよ。必要なものっていっても、ボールくらいだもの」 『ではボールを購入していこう』 「それもいりません。家にあるやつ、使いますから」 『そうか・・・・・すまない』 「いえいえ」 申し訳なさそうな京介の声に、有希も若干声のトーンを和らげて答える。 電話の雰囲気が少し和やかになったところで、じゃあ、と一言置いて、有希が受話器を置こうとした。 そのとき、そうだ。とまた一言言ったので、有希がもう1度受話器を耳に当てた。 「どうかしましたか?」 『大した事ではない。 練習をするにあたり、服装はいつものスーツで問題はないか?』 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・京介さん。時間変更。午前中に来てください。 サッカーっていうのがどんなスポーツか。基礎からみっっちり教えてあげます!」 前途多難な予感。 FIN. ―――――――――― 今回リク内容裏切りまくり。いや、ちょっとかすってる?(裏切ってる事には変わりない) 黒須有希。リク内容は『京介さんにサッカーを教える有希』。 教えてませんね・・・・・・・・・(遠い目) だって、私サッカー知らないんだもの・・・・・・!(言い訳) というわけでした。 お気に召しましたでしょうか、投票者T様(笑) あ、ちなみにタイトルに意味ないっすよ? 普通に「PK」ってするのは何か嫌だったので、間に「&」入れただけなんですから(おい) |