24時間
「小島、シャーペン貸してくれ」
「んー」
「ついでにそこのノート取ってくれるか」
「これ?」
「それ。そこにあるタオルも頼む」
「・・・・・・はい」
「サンキュ。あと、そっちにテーピングテープあったよな、それも・・・・」
最後まで言い終えるのを待たず、あれやこれやと頼みまくった彼の悪気のカケラもないその行動に怒りを覚えた有希の手によって、御所望のテーピングテープは水野の元に届けられた。顔面ジャストミート。甲子園くらい狙えるかもしれないような見事な投球によって。
「あんたねえ・・・・・」
未だ収まらぬ怒りをふつふつと感じさせる口調で言いながら、有希がきっと水野を睨みつけた。
「黙って素直に聞いてれば、あれ取ってこれ取って・・・!
自分で動きなさいよ、自分で!!」
角が額に直撃したらしい痛みに耐えかねて頭を抱える水野を労わる気などまるで無しに、有希が怒りでばんばんと机を叩いた。
「お前の近くにあるから頼んだだけだろ。
そんなに怒るなよ」
「うるさい!何か、使われてる気がして癪なのよ!
私はあんたのコンビニじゃないんですからね!」
「コンビニって・・・・・何だよそれ」
怒りで頭に血が上った(のだろう)有希の突拍子のないその例えに、水野が顔をしかめて問う。すると、彼女は(何故か)胸を張って答えた。
「24時間近くにあって、手頃なものが揃ってるってことよ!」
「24時間近くにあって、手頃なものが揃ってる、ねえ・・・」
「そうよ。しかも、コンビニでもお客が出向くんだから。
こっちが動かなきゃならないあんたの方がずっとタチ悪いわ」
「コンビニねえ・・・・・」
叫ぶだけ叫んで気が少し晴れたのか、立ちあがって怒っていた有希が、はぁとため息をついてまた椅子に座りなおす。
水野はというと、その有希の言葉を何故か復唱し、しばらく考え込むように俯いてから至極真面目に呟いた。
「・・・・・いいな、それ」
「よくないわよ!」
再沸した怒りに押されて、有希の手元にあったノートが、またも水野の顔面を捉えた。
いつでも貴方のおそばに。
24時間営業、コンビニエンスストア。
FIN.
久々に(本当に久々)あんまり可哀想でない水野を書きました(爆)
何だ、頑張れば書けるじゃん自分(笑)
本当はこのネタは他のCPで使いたかったんだ、好きだから。が、しかーし。
相手をアゴで使いそうな人が他にいなかったのよう!(泣(悔しいらしい)
ま、そんなこんなは置いといて。
とりあえず、せっかく水野が誕生日なんだからっつーことで
あんまり水野が可哀想でない小説なんか書いてみました(笑)
ちなみに、小説中で誕生日を祝っていないのは、水鏡の誕生日小説もまだ書いていないのに、水野の誕生日を祝うのが癪だったからです(死)
(誤解を招く前に言っておきますが、stmimiは水野好きです。いじりやすくて(待て)