授業間際に降り出した雪はいつのまにか吹雪きと化し、
5分と経たぬうちに、見渡す景色は真っ白になっていた。











[[[ 雪道 ]]]












「ねぇ水野・・・・」


「言うな・・・・」


「部活するの・・・?」


「言うなって言っただろ・・・」





呆然と立ち竦むキャプテンズの目の前には、ごうごうと雪の吹荒れる、
5分前までは運動場だと胸を張って言えていた空間が広がっていた。
地面はうっすら(程度だと思いたい)と白く染まり、グラウンド脇に植えられてある木々は、
まるで粉砂糖をふりかけられた、ケーキの上のオーナメントのようになっている。
いや、そんなことより、サッカーゴールはどこだよ。
思わずそう言いたくなるほど、
白いカラーリングのほどこされているゴールは、雪に霞んでか紛れてか同化してか、
全く持って姿の確認すら出来ない状態となっていた。




「水野・・・・」




再度呼びかける有希に、水野が、はー・・・・と深くため息を吐き。




「放送いれてくる・・・」




とだけ告げて、グラウンドを後にした。



いってらっしゃい。と水野の背中に小さく呟いて、白い息を吐いて空を見上げる。
止めど無く降り注ぐ雪が強い風に吹かれて波を打ち、壁にぶつかっては崩れていった。
寒さなどはいつもにも増してかなり厳しくなっている。
服によって暖を取る事の出来ない箇所、顔や膝などは、もうすでに感覚の欠片も残っていない。
暖房に頼り、寒さを知らない現代で、久しぶりに“冬”を見たような気がした。








「―――寒い」


「当たり前だろ」









独り言のつもりで呟いた言葉に返事が返る。
驚いてふりかえると、そこには飽きれた顔の水野。








「何?もう放送終わったの?」


「聞こえなかったのかよ」


「全然。で、もう帰っていいの?」


「ああ・・」








そう。と、簡単な返事を水野に返して、有希がまた空を見上げる。
雪はまだ、止みそうもなかった。






「――風邪引くぞ」







空を見上げる有希をじっと見ていた水野が、呆れるようにまた呟く。
それに、少し顔を水野に向けて、微かに笑って、有希が返す。






「大丈夫よ。誰かさんと違って、体は丈夫な方だから」


「誰の体が弱いって?」


「あ、弱いのは胃だったっけ?」


「おまえな・・・」





あはははは。と、楽しそうに有希が笑う。
その笑顔すら、雪が邪魔で直視はままならなかった。
しばらく、ぼんやりとその場に立ち尽くしてから、有希がふと息をついて、水野を見やる。






「帰ろっか」


「・・そうだな」


「このまま私がここにいたら、水野が風邪引くもんね」


「・・・どういう意味だよ」


「別に。ただ、せっかく送ってくれるみたいだから
たまにはご好意に甘えようかと思って」








そのつもりで、待ってたんでしょ?

イタズラに有希が笑って、コートについた雪を、ぱっぱと払った。








「帰ろ」









一言、もう1度繰り返して。校門へと向かう。
先に歩み出した有希に追いつこうと、水野が小走りにそれを追いかける。










雪は止まない。風も止まない。

雪は、依然波を打ち、壁に当たって崩れていた。





そんな、稀に見るような異常気象。


そんな中で帰路に着く2人には、








久々に、平和な時が流れていた。







FIN


むしろ平和過ぎて怖いです(爆)
何があったんだstmimi!こんな平和な終わり方で良いのかstmimi!!(おい)
えー・・・シゲにも不破にも風祭にも邪魔されない水有希は初めてです。
いえ、本来の意味での水有希が初めてです(爆死)
えー・・・とね。雪が降ったんですよ。
それはもう冒頭の2行並の雪が(笑)
そしたらこうなりました(ワケわからん)
ところで、「有希」と「雪」の変換ミスが多かった・・・。
特にあの場所の変換ミスはヤバイよなぁ・・・。
壁に打ちつけられる(自主規制)



モドル