好きなことをやって、笑っている自分は好き。
挫けて、諦めそうになる自分は嫌い。
だから私は、今の自分が好き。
[[[ 多分、私は ]]]
「小島は自分が好きか?」
唐突にこんなことを言われると、普通人はどういう反応は示すものなんだろう。
突如として現れて、唐突にそんなことを口にした不破を目の前に、
思いのほか冷静にそんなことを思ってしまった有希が、数秒ぽかんと呆けて、
次の瞬間にはぁ、とため息をついた。
「今度は何の考察?」
ぱちん。ぱちん。と、部員達に配る冊子のホッチキスを止める作業を再開し、
当然のようにそう聞き返す。
少なくとも、過去数回のこんな突拍子もない質問は、全て彼の考察のためのサンプル調達。
さすがに初めの頃は焦ったが、何度も回を重ねているうちにこのパターンには慣れてしまった。
何故涙は流れるのか。とか、何故笑うのか。とか。
全ての出所はシゲだということだったので、つい最近クギをさしておいたのに・・・。
余り効果はなかったようだ。
「人の感情についてだ」
「そうなんだ」
あっさりと答えた不破に、有希もあっさりと答えて。
視線はそのまま冊子に向けたまま、しばらく悩んで、また有希が口を開いた。
「サッカーして、笑って。いろんなことを頑張ってる自分は好き」
でも
「挫けて。諦めて。無駄に生きてる自分は嫌い」
ぱちん。と、また、ホッチキスを下ろす音が、部屋に響いた。
「・・・つまり、どうなのだ?」
好き。と、嫌い。
両方の論を出した有希に、不破が答えを促すように、そう問う。
すると、出来あがった冊子を、とんとんと整えて、1つの束にして。
有希が、やっと不破の方を見て、言う。
「だから、今の自分は好きよ」
そう言って、少し笑った。
校舎の窓から見ているしか出来なかった頃とは違う。
あんなこと、して。時間を無駄にしてた昔とは違う。
今私は、ちゃんとサッカーやってるもの。
唄うそうにそう付け足して、微笑む。
忙しいくらいの毎日は、以前より遥かに充実していて。
好きなことをして笑っているときでさえも、一歩ずつ、夢へと近付いている。
それはまるで夢のような、日々。
「――考察はそれでおしまい?」
だったら、私帰るけど。
そう言って、出来あがった冊子達を軽くビニールテープで縛って、脇に抱えて立ちあがる。
そんな有希に、ふむ、と一言呟いて、不破が黙って。
しばらくしてから、思い出したようにまた呟いた。
「ならば、小島は俺が好きか?」
「・・・また、変なこと聞くのね」
「参考にな」
「はいはい」
何の参考なんだか。とつっこみながら。
また少し考えて。にっ、と笑う。
「考察に没頭してる不破は嫌い」
「何故だ」
「人の話聞かないから」
「・・・・」
「でも、考察で、ちゃんと自分で答えを出そうとしてる不破は好き」
「どっちなのだ」
「さあね。それで、素直にサッカーを好きだって言わない不破は嫌い。でも」
「?」
「それでも、ちゃんと真面目にサッカーしてる不破は好きよ」
次々と並べられる好きと嫌いに、不破がまた、先ほどのような、
「つまりはどうなのか」という怪訝な顔をして、首を傾げる。
その様子をくすりと笑って、そうね・・と数秒悩んだふりをして、また口を開く。
「好きなんじゃない?」
「・・・・そうか」
にこりと笑っていった言葉に、不破が言葉を返したのを確かめてから、
さっきまで座っていた椅子をきちんと直して。帰ろっか。と呟いて、有希が部室を後にする。
そして、不破も続いて、部室を出ていった。
好きなことを、自分のために頑張ってる自分は好き。
でも、それを少しでも妥協して、挫けて諦める自分は嫌い。
だから、今の私は好き。
いろんなことに一途過ぎて、それしか見えなくなってる君は嫌い。
でも、それくらい真剣に、ちゃんと取り組んでる君は好き。
うん、だから。
多分私は、君が好き。
FIN
うーん。微妙・・・・(第一声それか)
あー。でも。まぁ。
パソ打ち一発書きでこれだけ書ければ十分かと(おい)
いえ、決して手抜きじゃありません。悪しからず(笑)
なんか・・・久しぶりにほのぼのな感じ?(笑)
依然、あんたら何やってんねん的展開ではありますが(それいっちゃおしまい)
てか。マジで何の参考なんでしょう。アレ(お前が言うな)
あー・・コメントないー・・・・(撲)
モドル
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