昼下がり





「不良生徒みーっけ」



春が近くなってきた、天気の良い日はすっかり暖かい今日この頃。
降り注ぐ日差しを全身に受けることのできる屋上で寝転がる人影に向かって、
有希がおどけてそう言った。



「・・・・・小島も人のことは言えんな」

「まあね」



寝転がっていた体を起こして、
予想外の人間がきたことに驚きながら、不破がそう言う。
その言葉に小さく笑いながら返事を返して、有希がその隣に腰を下ろした。



「今の授業、何?」

「確か数学だ」

「そ、うち国語なの」

「受けなくていいのか?」

「その言葉、あんたにそっくり返すわ」

「俺は気分が悪くて保健室で寝ていることになっている」

「あら奇遇ね。私は頭が痛くて保健室にいってることになってるの」



似たり寄ったりな言い訳に、顔を見合わせて笑った。
普段からこんなことを続けているわけでも、授業に出るのが嫌なわけでもない。
でも、こんな風に天気の良い日は、窓から差し込む日差しなんかでは満足出来ないのだ。



「こんな日にあの狭い教室で授業受けてるなんて、もったいないものね」

「窓を閉め切った部屋では、風も通らんからな」

「あー・・・気持ち良いー・・・・・」



ごろんと後ろに寝転がる有希が、寝転がったまま器用に背伸びした。
それに習うようにしてまた不破が寝転がる。
見上げた空を、小さな雲がいくつも流れていった。



「上は風が強いな」

「ここも結構強いけどね」

「寒くはないか?」

「全然。暖かくて気持ちいいわ。あと何分でチャイム鳴る?」

「20分といったところか」

「じゃ、残り20分は、頭痛に苦しめられとくことにするわ」

「では俺も気分の悪さに苦しんでいよう」

「嘘つき」

「お互い様だ」



素っ気無く返った不破の言葉に有希が声をあげて笑った。
会話はそれきり止んだ。けれど、決して居心地は悪くなかった。
暖かな日差しを差していた。見上げた空が青かった。そんな午後。





FIN.


卒業して以来何度か中学校にも足を運んでいるのですが、
私がいた時分よりも、授業時間に校内徘徊してる輩が増えていました。
それを見るたびに、教師って大変だと思います。

別に勉強だけがすべてじゃないとは思うけどね。
私の人生には、たまたま勉強が絶対必要だっただけで。
勉強する以外でも、道は続いているのでしょうし。
中学高校で学ぶべきは、数学でも国語でも社会でも理科でも英語でもなくて。
自己抑制力と協調性と礼儀だと思っています。本気で。
だから学力ばかりにとらわれたうちの高校の中等部は礼儀知らずが多い。小学校から出直して来い。

有希も不破も真面目だからこんなことしないとは思うけど。
授業をきちんと受けることも大事だけど、たまには視点を変えてみてもいいかと思う。
もっといろんなものが見えてくるさ。うん。

(2004.2.28)



ぶらうざばっく