サッカー面白い? と。
休憩中で木陰に座り込んでいた不破に向かって有希は声をかけた。
今日はいい天気ね。そんな、答えを必要としないような呼びかけに似ていた。
不破が、黙って有希を見上げた。
太陽が反射してよく顔が見えない。
「私はサッカー、面白いわ」
立ったまま、隣に座ろうとしない有希が、
グラウンドを見つめながら独り言のように呟いた。
風が吹いて、木の間から差し込む光が揺れたように見えた。
「サッカー好きだし。
・・・・・・それ以上に、こうやって一緒にプレイできる仲間が出来た。
だから、面白いし 楽しい」
そう言って、グラウンドに向けていた視線を不破に向けて、にこりと笑う。
何かを期待しているような、それでいて構えているような、笑顔。
「仲間だって呼べる間柄が好きだし、仲間として一緒にいる空間が好きよ。
楽しいし、面白いし、何より気が楽だもの」
だから私はサッカーが好きで、その仲間が好き。
確かめるように再度呟いて、もう一度有希がグラウンドを見た。
「私にとって、不破も大事な仲間よ」
抑揚の無い、静かな声が言葉を綴った。
「・・・・・ずいぶん『仲間』という言葉に執着するんだな」
「『仲間』でいたいから、かしらね」
「どういう意味だ?」
例えば。
そう呟いて、風で乱れた髪をかきあげる。
見上げた先は、雲の流れがことに早い。
「例えば、私が仲間だと思ってた人に、私を仲間としてみてないと言われたとしたら」
「・・・したら、なんだ?」
「裏切られたような気分になるわ」
「・・・・・・・・・・」
「今まで、私が仲間として接してきた楽しい時間は何だったんだろう、って。
仲間だから一緒に居て、それでいて楽しかったっと思っていた時間が、全部、私の中で嘘になるの」
仲間という間柄でいることの心地よさ。
それが全て否定されてしまうような、喪失感。
大げさといわれるかもしれない。
でも、それは確かに裏切りに似ていた。
「・・・・・仲間だと思われて居ないにしろ、それなりの交流が持たれていたのであれば
少なくとも相手に悪意はないと思うが・・・?」
「そうね」
不破の辛苦の一言に、驚くほどあっさりと有希が返事を返す。
そして、その上で、未だ空を見上げながら、微かに眉をひそめた。
風が、彼女の髪をさらっていった。
「でも、例えそれが好意でも。『仲間』以下でも・・・・・以上でも。
それは、私にとって裏切りでしかないのよ」
仲間以下でも、以上でも。
呟いた彼女の顔に、表情は無かった。
「・・・・・・・・・・・それを、何故俺に言う」
やっとの思いでそれだけ言った不破を、有希がやっと振り返る。
そして、目をあわせようとしない不破にまたにこりを笑みを浮かべて、言った。
「別に・・・・・・。ただの予防線よ」
言い終えた後訪れた沈黙を遮るように、ざっと土を踏んで有希はその場を離れた。
残された不破は、足元の土を見つめていた。
眩しさに霞んだ彼女の横顔と、表情と、声を思い出しながら。
この想いを裏切りと呼ぶのなら。
彼女の引いた予防線の威力を、徐々に思い知りながらそんなことを考えていた。
FIN?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
別に続くわけじゃないんですが、歯切れが悪いので。
えーと、不→有です。
なんかここんとこ不破有希で片思い系しか書いていないような気がしますが。
なんででしょうね(聞くなよ)
そのうち両思いのとか、甘いのとかギャグとかかけるようになるよね。うん。
(2004.5.12)
ぶらうざばっく