*** 友達の条件 ***
「ネル殿、ソニエールに向かうパーティーは決まりましたか」
「ああ。僕とグレミオとフリックとビクトール。
そしてクレオとルックだ」
「わかりました。では、侵入の方法と内部の構造ですが・・・」
「―――フリックまかせた」
「お前が聞くんじゃないのかよ!」
「面倒だからパス」
「ネルーーっ!!」
部屋の中で繰り広げられるくだらない漫才(恐らく当人達にその意識はない)に、
呼び出しをくらって同じく部屋に待機していたルックが、
早くしろと言わんばかりに壁にもたれながら不機嫌そうにため息をついた。
どう足掻いてもどうせ連れていかれるのなら、とっとと終わらせて帰りたい。
そう、願って止まない彼なので、こんなところで出足をくじかれるのは非常に気に入らないらしい。
全てを自分に押しつけようとするソラに向きになって怒るフリックも、その原因を作ったソラの態度も、
全てが全て気に入らなくて、その、戯れる時間すらも惜しくて、ルックのイライラはその度に積もる。
目に入れること自体が最終嫌になったのか、
呆れた――怒りも含んだ何度目かのため息をついて、ルックが、彼らから視線を外した。
「次はないからな、ネル!!」
しばらく呆然と何もない――敢えて言うなら壁しかないその部屋で視線を泳がせていると、
結局根負けしたのか、マッシュに背を向けたソラに向かって怒りながら叫ぶフリックの声が聞こえた。
結局押しつけられてるじゃないか。押しに弱い奴。
聞くなら聞くで、最初から聞いとけ。
内にそんな意味を含む悪態を心でついて、ようやっと出発のめどがたったらしいことに嘆息する。
面倒なことはしたくない、それがダメならさっさと終わらせる。
その希望が、やっと叶いそうなことに少しだけ安堵して、下を向いた。
「バカだなフリックも。
どう足掻いたって僕には敵わないんだから、最初から素直に聞いとけば良かったものを」
下を向いた途端聞こえてきた声に、言葉に。
1度は閉じかけた目を見開いて、
ルックが何とも言いようのない視線と表情を浮かべて、聞こえた方向へ顔を向ける。
向けた先にあったのは。
やはりというか何というか――予想通り表情を浮かべた、予想通りの人間。
とどのつまりは、見る人間が見れば恐怖しか覚えないような笑顔を浮かべた、ネルだった。
「そう思うだろ、ルック」
自分の方にルックが顔を向けたことに気付いて、ネルもまたルックの方を見てにこりと笑ってそう尋ねる。
しかし、尋ねられた方の人間―ルックは、
「何でここに」と「いつのまに」という2つの素朴で深刻な疑問に答えるどころではなかったらしく、
嫌味のひとつも言う事も出来ず、ただ素直に「まあね」と返した。
「―――・・・いつのまに来たんだよ」
しばらくして、混乱も治まってきたらしいルックが、少し躊躇いながらもネルに尋ねる。
それに対し、少し悩むように天井を見上げてから、ソラが答えた。
「君がぼけっと俯いてる間に」
「俯いてはいても、呆けていた覚えはないけど」
「僕が来た事に気付かなかったんだから、似たようなものだよ」
「・・・・・・」
反論できない正論に、言い返す言葉が簡単に思いつかず、
心底悔しい思いをしながらも、そこは負けを認めるように、ルックがふいとネルから視線をそらした。
あまりにもわかりやすいくらいに不機嫌に顔をそむけるルックのそぶりがおかしくて、
その様子を見ながら、ネルが小さく笑った。
「しっかりしてくれよ、ルック。あんまりぼけっとしてるようなら置いてくよ」
「是非そうしてくれると有り難いんだけど」
「絶対嫌だね」
「・・・・・・・・・・・・言ってることが違う」
「そうかな」
地を這うような恐怖を覚えるルックの声を言葉に全く動じることなくさらりとかわしたネルに、
不機嫌と不満を一層強めて、前を向いたまま、ルックが反撃に乗り出した。
「だいたいどうしていつも僕なんだよ。紋章使いは他にもいるだろ」
「僕が強制的にパーティーに入れられて苦労するのに、
君に居城でのんびりされるのが癪だからに決まってるじゃないか」
「そんなの僕の知ったことじゃないね」
「そう、君には関係ないよ。これは僕の気持ちの問題だから」
「だったら勝手に解決してくれ。僕を巻き込むな」
「そうもいかないから、いつも君が巻き込まれてるんじゃないか」
付け入る隙のない、ネルの数々の言葉の応酬に、次に返す言葉を失った――というか、
相手にするのもバカバカしくなってきて、しらじらしくため息をついて、ルックがまたそっぽを向いた。
そのまま、無言のままに数十秒が過ぎて、やっと、フリックとマッシュの話が済んだ。
その様子に気付いて、ルックの隣で同じく壁にもたれていたネルが、体を起こす。
そして、隣のルックに、行くぞ、と一言言って、その場を離れた。
フリックと何やら話をし始めたネルの姿を見ながら、
しぶしぶ、ぶつぶつと文句を言いながら、ルックも体を起こす。
立てかけてあった杖を手にとって、ゆっくりとした歩みで、集まるパーテぃーの輪に向かう。
何かフリックが話しているらしいが、そんな話はもとより聞く気がないので、特に急ぐ事もせず。
そうやって、ゆっくりゆっくりと歩いていると、
突然、ばん、という音がして、ルックの背中に、軽い痛みが走った。
「チンタラ歩いてたら置いてかれるぞ」
剣を片手に持ったビクトールが、彼特有の気の良い笑顔でそう言った。
誰も彼も同じようなことを言うものだ、と。当然背中を叩かれたことに怒りを感じながら、
また、先程と同じようにルックも言い放つ。
「是非そうして欲しいよ」
「・・・そんなトゲトゲすんなよ。いいじゃねえか、別に」
「良くない。何で毎回毎回・・・・・」
「あー、そりゃ、あれだ。友達だと思ってんだろ、おまえのこと」
軽い気持ちで言ったであろうビクトールの言葉に、
一瞬ぴたりと動きを止めたルックが、次の瞬間顔を引き攣らせながらビクトールを見上げた。
「―――本気で言ってんの、それ」
「いや、冗談だ」
お前何だかんだで使い勝手良いからな。紋章バカ強いし。
即答で答えたのにそう付け加えて、ビクトールが豪快に笑う。
それに対して、ふざけるな、と言いたそうに恨みがましい視線をビクトールに送るルックに、
ビクトールもしばらくして笑うのを止めて、そしてさらに続けて言った。
「まあ、ネルの様子見てる限り、俺の言ってる事も強ち外れちゃいねえと思うけどな」
ほら、行くぞ。
そう言って、エレベーターに乗り込もうとするソラ達に本当に置いて行かれないように、
ビクトールが足を速めて、瞬く間にエレベーターに走り込んだ。
別にそんなに急がなくても、先に行くわけないだろ。
また、心内で悪態をついて、ルックが少し下げていた目線を、真っ直ぐとエレベーターに合わせる。
箱の中のネルが、しきりに、早くしろ、と声をかけていた。
『友達だと思ってんだろ、お前のこと』
耳障りの悪いビクトールの言葉がリフレインして、
気分が悪いとばかりにふんと一つ鼻を鳴らして、ルックが杖を持ち直して、心持足を速めた。
悪い分だけ仲が良い。
わかりにくいけど、多分そんな感じ。
FIN.
最後の2文が、私ん中の坊とルック。
もろまんま、素直な私の中の彼等の姿です。わかりにくいけどそんな感じなの!(主張)
てゆーか、どうしてこう幻水で小説書くと、尻切れだったり歯切れ悪かったりするの?
まとまらなかったりわかりにくかったりキャラの性格掴めてなくてセリフがおかしかったりするの!?(それは未熟なだけだろ)
一番扱い難いのはルックです。一番扱いやすかったのはビクトールでした。愛の差か?(待て)
ルックが扱いにくいのは、14歳で性格極悪・・・・という人間が、どんな感情を持っているのかがわからないから。
――気がつきゃ私も17だもんなー。3年前だよ?ちょうど小説書き始めた頃だ(だからどうした)
そしてそれに加えて、標準語がマスター出来ていないんだよ早い話が!!!!!(大問題)
だから正直、セリフに大きな特徴のない、標準語を話すキャラクターは全般的に苦手です。
グレミオやマッシュはは敬語。ビクトールは親分口調(どんなや)。フリックは・・・まあともかく(待て)
坊は既に性格極悪というマイ設定が完成しているので、口調には困りません。
が、ルックは・・・ルックは・・・・・・・・・!!
私自身、男が「だよ」だの「だろう」だのの語尾を使う事が許せないんです。はい(死)
私の目の前でそんな口聞いてみろ、思わず条件反射で回し蹴りしちまうわ(だから待て)
ごめんねごめんね。生まれてこの方17年。関西圏以外住んだことないんだもの;;
まあとにかく。
これはヒノエに贈る、『「せんちひ」鑑賞会鑑賞権取得用小説』でしたとさ。
あのコに見せるために書いた小説が既に2つ3つ。
こうしてルック関連小説が増えていくうちのサイト・・・先行きが不安だ(マジで)
(そして作品の言い訳もせずにこそこそと逃げる(死))
ぷりーずぶらうざばっく