くどいようですが、うちとこの坊さんはネルといいます。










星に願いを ***










「遠い国、ジパングにおいて、今日と言う日は七夕と呼ばれているらしいんだ」



久々に泊まった宿屋の、食堂での食事中。
窓から覗く、すっかり暮れた空と微かに見える星を見ながら、彼―ネルは言った。



「タナバタ?」

「なあ。ジパングなんて国あったのか?」

「俺に聞くなよ・・」

「・・・・」

「そう、七夕。聞いた事はないかい、ロッテ?」



彼の唐突な呟きに、間違った反応を示したビクトール、フリック。
そしてさして興味なさそうに無言で食を運ぶルックをさらりと無視して、
ネルは、不思議そうに聞き返すロッテにのみ、笑顔で言葉を返した。



「七夕の日に星に願いを託すと、その願いを叶えてくれるらしいよ」

「ふーん・・・・。星が・・・・・・・」



そう呟いて、ロッテが浮かしていた手を下ろして、ネルと同じく窓の外を見た。
その脇では、「そんなことあるわけないだろ」とか、
「随分都合いい話だな」などと冷静につっこんでいる人間に対して、
「夢も希望もないな・・・おまえら」と肩を落としている人間などもいたらしいが、
そんな人間達など、すでにアウトオブ眼中。
しばらく外を見つめていたロッテに、またにこりと微笑んで、そして言った。



「せっかくだから何か願うかい、ロッテ。叶えてあげるよ」



さらりとそう言ったネルに、その言葉に、
テーブルに向かう人間達の手が、ぴたりと止まった。



「・・・・・・・叶えて“あげる”?」

「そう」

「ネルが、か」

「そうだよ」

「・・・・・何で」

「星だから」

「――――は?」



最後にハモった間抜けな答えに、一人ゆうゆうと水を飲んで、
飲み終えてからネルが続ける。



「せっかく星の下にいるんだから、一人分くらい願いは叶えないとダメかな、と」

「あー、なるほど」

「さすが、腐っても天魁星」

「―――誰が腐ってるって?」

「いや・・・・・・・・・き、聞き違いじゃねーか?」



すっと目を細めたネルの据わった視線に、
一瞬びくりと体を震わせて、ビクトールが即座に目をそらした。
口は災いの元とはよく言ったものである。
とりあえず、怯えてはくれたらしいビクトールの態度に満足したのか、
また笑んで、ネルがロッテに向き直った。



「で。何か願いは?」

「うーん・・・」

「ゆっくり考えればいいよ、夜はまだ長いから」

「―――何でもいいの?」

「努力するよ」



きっぱりと言い放ったネルに、またうーんと唸ってロッテが悩む。
彼女とて子供ではないので、
叶えられる範囲の願い事を何とか考えつこうとしているらしいのだが、
叶えられようが叶えられまいが、願いそのものがなかなか浮かんでこないらしい。
欲がないのかそれとも満たされているのか。はたまた今浮かばないだけなのか。
事実真実はわからないけれど、とりあえず彼女は悩んで―――。
そしてしばらくして、少し俯き加減に下げていた顔を、上げた。



「決まったかい?」

「うん、決まったよ。それが欲しいな」



ネルの微笑に負けないくらいの笑顔を浮かべて彼女が指した「それ」。
フォークを持った手の指す方に皆が視線をやると、そこにあったのは。

赤く光る――――丸いもの。










「―――――――――――――トマト?」

「そう。ちょうだい」

「・・・・・・・・いいけど」

「ありがとー、ネル」



かちゃん、と軽い音を立てて食器を上げて、ロッテに差し出す。
そこからひょい、とそれだけを摘み上げて、ロッテはそのまま口へと放り込んだ。



「・・・・・・・・ロッテ、本当にそんなことで・・・・・・」

「え。美味しいよ?これ」

「いや、美味しい美味しくないの問題じゃなくて・・・・」

「ネルがあんまり美味しそうに食べるから、欲しくなっちゃって」

「―――喜んでくれて嬉しいよ」

「うん。ありがとー」



笑顔でそう礼を述べて、段々と暗さを増す空へ、またロッテが視線を戻した。
その正面では、簡単なことで済んでよかったはずだけれど、どこか釈然としないらしいネルが、難しい顔をしてテーブルを睨んでいた。










「――なあ、結構世界って平和なんじゃねーか」

「星に願ってトマトもらって幸せになれるんなら、そうかもな・・・・」

「能天気なだけだろ、単に」




その他3名の正直な意見が星に届いたかどうか定かではないが、
とりあえず、そうして穏やかな夜は更けていった。







fin.

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

なんだかとっても尻切れトンボ(死)
いいんだもん、いいんだもん。
日常なんてものは完結しないもんなんだから(謎)

と、ゆーわけで。
坊ロテと見せかけた、坊とロッテと愉快な仲間達のお話でした(死)
――ごめん、大好きなんだこの組み合わせ。
どこに行くにもこいつら・・・・プラスそのときの気分で誰か一人。

で、いちよう解説ですが。
うちの坊さんは性格極悪です(待て)
笑顔で人が殺せてしまうくらい(だから待て)
それが何故か一番しっくりくるんです。何でかは知らんけど。
――といっても、極悪振りを発揮するのは、
フリックとかビクトールとかが相手のときだけですから。
ロッテに対しては無害です。だってうちの坊さんだし(笑)

で、やっぱり各人の口調がおかしいけど我慢して下さい(死)
性格も取り違えてるかも知れんけどほっといて下さい(死)
でもね、ロッテは多分、こういう些細な事で幸せになれると思うんだ!
だって猫好きだし!(どういう根拠だ)
ネコと一緒にいるだけで幸せな人は、些細な事で幸せになれるんです。
だって私がそうだし!(いっしょにするな)

(つーか、このままズルズルと本格的に坊とロッテにハマったらどうしよう)
(・・・・・・・・がんばれ私(待て))








上の文章で満足した良い子はぷりーずぶらうざばっく。



















こんなもんCPでも何でもねえや。
・・と、期待してただけにがっかりしたり憤ったりしたアナタは
ここからどうぞ。
(何があっても私は責任負わないけどね(待て))