ちなみに、うちの2主の名前は「イクタ」。城は「イルニー」で軍は「クルトン」。
なさそうで実はある名前の法則がわかった人には素敵なものをプレゼント(嘘)
生きていることが全てではないと、思っていたつもりだった。 生きているから浮かぶ幸もあっても、生きているからこそ味わう苦痛もある。 だから、生きていることが全てではないと、常々思っていた。 思っているのだと、思っていた。 [[[ ハナムケ ]]] ほぼ隠居生活に身をおいている人間の所にも、風の噂くらいは時折届いた。 遥か彼方の国の話でも、隣国の仲間達が茶話として時折運んできた。 釣りに没頭する毎日でも、そんな時々の話を楽しみに日々を過ごしていた。 そんな風に運ばれている話はいつでも笑いに溢れていて、暗い話などは、いつでも話す側がシャットアウトしていた。 だから、あの隣国の英雄達が君の名を暗い表情で口にした時も、悲劇や惨劇などは、想像もしなかったんだ。 「今日―――イクタ君が来て、教えてくれたよ」 君が、死んだって。 バナーとトランを繋ぐ山道。 名前一つ彫られていない、小さな小さな墓標を。 誰も気付かない、誰も立ち止まらない、誰も誰も、気にも止めないその場所を見下ろして、彼は静かにそう言った。 「この墓はあの二人が僕を訪ねる道すがら立てたものだから――多分君はいないんだろうけど。 まあ・・・・・・もしいたんなら、聞くフリでもしといてくれ」 そう言ってその場に座り込み、手にしていた酒瓶を、地におく。 次いで逆の手に持っていた2つのグラスも置いて、酒瓶の蓋を開けた。 「何がどうなってこうなって―――そうなったのかは、イクタ君達の話だけじゃ詳しくはわからなかったけど」 注ぎ終えた2つカップのうち1つを手にとって、口には運ばずに、墓標へと視線を落とす。 しばらく見つめたまま黙り込んで―――そしてまたしばらくして、何かを切り替えるように一度目を閉じて、開いた。 「・・・・・・・・残念だよ、正直」 そして視線を、墓標から地へと移した。 「君は・・・・・僕にとって数少ない、永遠を共に歩める人間だった。 それがいなくなるのは―――正直心細いよ。・・って、言ったら、多分君は気味悪がるだろうな」 苦笑を含んだ笑みを浮かべて、そう言う。ふと、脳裏に、墓標の主の姿が鮮明に蘇った。 「僕や、イクタ君やジョウイ―――皆、尽きぬ命という呪いを受けている。 なのに―――――君だけがその運命からリタイアするなんて、ずいぶんずるいじゃないか」 人が死んで、また生まれて。 知っている人間が死んで、知らない人間がまた生まれて。 段々と孤独へと追いやられていくその悲劇を、残酷な運命を。 勝手に―――一人でリタイアしてしまうなんて。 「何が不満だったのか――なんて、月並みの質問はする気はないけど」 永久に生かされる運命。 目的無き生。 意図せずして続けられる命。 自らを形取る紋章という存在。 おそらく全てのことが―――全てが許せなかったのだろうから。 「そんなこと―――考えているのは君だけじゃないだろうに」 少なくとも君の近くには、こんなにもたくさん、同じ運命を背負った人間が、いたのに。 「君は―――その呪いから逃げ得て満足かもしれないけど」 君は、気付いていなかったかもしれないけど。 そう付け加えて一つ息をついて、また続けた。 「君が死んだら、泣く人はたくさんいるんだよ」 トランに戻って、彼を知る人間全てにこの事実を伝えれば。 多くの人間が君のために涙を流して――きっと悲しみにくれるに違いない。 「君のために泣く人は、ちゃんといたのに」 戦いしか用意されていない道でも。 生かされるだけの、利用されるだけの生でも。 それでも、君のそばには。あんなにも、君の事を必要とする人間が、いたのに。 「君は人の形をしただけの生き物でも。 ―――感情のない人形でも・・・・・・・何でもなかった。 ただの人間。ルックという、存在無二の、ただの人間だったのに」 どうして、わからなかったんだ。 出生がどうであっても。 事実がどうであっても。 君が君であることは。 君が君として生きたことは。 僕らが、君と共に生きたことは。 偽りようのない、本当のことなのに。 確かに君はそこに存在して。常に常に、今と言うときを共に生きていたのに。 「全てを――――かつて仲間と呼んだ僕らをも捨てて、君は逃げたんだ」 この尽きぬ命から。目的無き生から。生かされるだけの運命から。真の紋章という存在から。 全てのものの、重みに耐えかねて。 「とんだ、負け犬だよ」 負け犬。負け犬。 同じ言葉を何度か呟いて、一度何かを思い立ったように、黙った。 そしてかすかににやりと笑って、また、口を開く。 「負け犬。敗北者。悪ガキ。冷血漢。自己中。生意気。」 一言一言に抑揚をつけて、存分に感情をこめて。 一つ一つをかみ締めるようにそう言い連ねる。 「・・・・・パシリ。―――――――――負け犬。」 思いつけるだけの悪態がついに底を付いた時、ふう、と息をついて、もう一度墓標に目をやった。 「ちょっとは―――――カチンときたかい?」 そう問いかけても相変わらず無言のままの、物言わぬそれに、 当然のことだけれど、それがあまりにらしく見えて、小さく笑った。 「何だかんだ言って君は怒りっぽいから。ムカつかないわけないだろ」 そう言って立ち上がり、服についた土を、気休め程度に払った。 「君は勝手に独りで運命を断ち切って――――僕らのことなんか無視して、希望を叶えたんだ」 そう言って自分の手にしていたグラスを、一気に空にして。 傍らにおいていたもう一つのグラスを手にとって、そして、墓標に向けて掲げて―――落とした。 夜道に盛大な音を響かせて砕け散ったガラスの破片に、零れたワインが滴り落ちていた。 「ということは、君はこの世に未練なんかないだろう?希望を叶えたんだから。 だから―――僕が作ってやるよ、その未練」
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ぷりーずぶらうざばっく