「じゃあ、私がいない間ミナのことお願いね」
「はい、わかりました!」
まるで日課のように、どこかへ出かけるたびに繰り返されるこの行為。
よく飽きないものだと、見るたびにそう思った。
「過保護」
いつものようにテレポートをし終え、早々に目的地に到着した矢先。
前を歩くネル達に遅れないようにその後ろを歩いていたロッテに、ルックが突然そう言った。
「毎回毎回、よく飽きずに同じことが続けられるね」
「・・・って、さっきのこと?ミナのお世話頼んだやつ・・・・」
「そうだよ。本拠地を出るたびに同じことを言ってるんだ。
いい加減、あっちだって言われなくても世話くらいするんじゃないの。
だいいち、あの猫だったら自分のエサくらい自分でなんとかすると思うけど」
「そんなのわかんないでしょー!
それに、ちゃんと言っておかないと私が心配なんだもん!」
「過保護」
「もう!ルック!!」
素っ気無いルックの態度に怒ったのか、ロッテがロッドを振り上げる。
怒ってはいるものの、本気で殴るわけがないことを理解しているルックは、
それに対して慌てることもなく、むしろさらに呆れたようにため息をついた。
「人に頼んだくらいで、安心なんかできるわけ?」
「出来るよ」
言外に、頼んだ相手を信用できるのか、という意味を含んだルックの言葉にも、
ロッテは即答して返した。
その、人をすぐに信じてしまうお人よしぶりにまた呆れて、ため息をついてロッテを見て。
ふと目にしたロッテの表情が思いのほか真剣であることに、驚いた。
「私がいない間、誰かがお世話をしてくれる、って。
ミナのこと一人にしないで済む、って。安心できるの」
そう言い終えた後、また、いつものように笑った。
「君が、いない間?」
「そうだよ。私が本拠地から出て参戦してる間」
きっぱりと言い放ったロッテの言葉に、ルックが目を細めた。
まるで、本当にそれだけなのかと、尋ねるように。
私がいない間、誰かが。
一人には、しないように。
毎度のように繰り返される彼女の願いは、まるで。
いつか言えなくなった時に備えての、たった一つの心残りに対する保険のようなもののように思えた。
遺言のつもりかい。
そう言おうとして開いた口は、上手く言葉を紡がなかった。
『私がいなくなっても、誰かが』
そう、聞こえたような気がした。
FIN.
戦闘中に倒れてもいいように、心残りは無くしていく。
彼女の心残りというのは、本当にミナだけだと思うのです。
例えば彼女がルックを好きでも、ルックに告げずいたことを心残りとはしないと思う。
死んでしまえば、想いも一緒に消えるからね。言わなければ。
逆にルックが死んでしまったら、言わなかったことをすごく後悔しそうですが。
最近ふと思う。
私は、好きであればあるほど、そのCPで暗い話が書きたくなる、のだろうか。
え、ヤな傾向。笑っとけ。
(2004.3.28)
ぶらうざばっく